コンテナ輸送を選んだのに、費用を安く抑えられると思ったら大間違いです。デバンニング料を加えると、LCL輸送より高くつくケースが3割以上あります。
関税を支払って輸入許可が下りた後、荷主が最初に直面するのがデバンニング費用です。デバンニングとは、海外からFCL(フルコンテナロード)で運ばれてきた貨物をコンテナから取り出す作業のこと。物流関係者の間では「デバン」と呼ばれます。
輸入手続きの流れを整理すると、「通関・関税支払い → 輸入許可 → コンテナを指定地に搬送 → デバンニング」という順番になります。つまり、デバンニング費用は関税と並んで輸入コストの重要な構成要素です。
重要なのは、コンテナ輸送を選んだ時点でデバンニングは必ず発生するということです。自社でやるか外注するかは選べますが、どちらにしても費用はかかります。自社で行う場合は「目に見えない人件費・設備費」として発生するため、「外注しないからデバン費用はゼロ」という考え方は誤りです。
費用が発生する仕組みが原則です。
もしデバンニングを避けたければ、輸送形態をLCL(混載輸送)に変える選択肢があります。LCLの場合は、港のCFS(コンテナ・フレート・ステーション)でフォワーダーがデバンニングを行い、各荷主に配送してくれるため、荷主がデバンニングを手配する必要がありません。
| 輸送形態 | デバンニングの責任者 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| FCL(フルコンテナ) | 荷主が手配・費用負担 | 大量輸入時に1ケース単価が下がる | デバン費用・設備が必要 |
| LCL(混載) | フォワーダーが実施 | デバン不要、少量でも輸入可能 | 1ケースあたりの輸送コストが上がる |
コンテナ輸送が必ずしも安い選択肢とは限りません。デバンニング費用を含めたトータルコストで判断することが大切です。
デバンニング費用の相場を理解するために、まずはコンテナサイズ別の目安を把握しておきましょう。市場で公表されている複数の業者の料金を集計すると、以下のような相場感が見えてきます。
| コンテナサイズ | 費用相場(目安) | サイズ感の目安 |
|---|---|---|
| 20FTコンテナ | 15,000円〜30,000円 | 乗用車2台分の長さ(約6m) |
| 40FTコンテナ | 20,000円〜50,000円 | 乗用車4台分の長さ(約12m) |
複数の業者比較データによると、40FTコンテナの平均は約23,600円、20FTは約15,200円という数字も出ています。これが基本的な相場感です。
ただし、この金額はあくまで「標準的な貨物・標準的な作業」を想定した場合の話。実際には、以下の要素で料金が大きく変わります。
割増になる条件が複数重なると、最終請求が相場の2倍近くになることもあります。
料金算出の方法として、業者によっては「コンテナ1本いくら」という固定料金制ではなく、「1m³あたり2,000円」という従量制を採用しているところもあります。例えば15m³の貨物の場合、2,000円 × 15 = 30,000円という計算になります。見積もりを取る際は、どちらの計算方式かを必ず確認しましょう。
デバンニング費用の相場を把握しただけでは、実際のコストを正確に読めません。なぜなら、デバンニング料金以外に「待機料」と「ドレージ費用」という2つの追加コストが発生する可能性があるからです。これを知らないと、予算オーバーの事態になりかねません。
まず待機料について説明します。コンテナを運んできたドレー(専用トラック)は、到着から原則2時間以内にデバンニングを完了させることが求められています。これを「2時間ルール」と呼びます。2時間を超えた場合、30分ごとに6,000円〜10,000円の待機料金が発生します。
痛いですね。
さらに作業が大幅に遅れると、ドレーとコンテナが「台切り」といって切り離され、空のトラックだけがいったん返ってしまいます。この場合、荷主はドレーの往復2回分の費用を負担することになります。ドレージ費用は距離や路線によって異なりますが、1往復あたり2万〜5万円が一般的な相場です。台切りが発生すると、それだけで計4万〜10万円の追加コストになり得ます。
ここで絶対に注意すべきポイントがあります。ドレーの運転手は、デバンニング作業に一切関与しません。ダンボール1箱すら運ばないのが原則です。この事実を知らずに、「運転手も手伝ってくれるだろう」と計算した人員計画を立てると、2時間以内に作業が終わらず、多額の待機料が発生します。
デバンニング時の人員確保が条件です。
加えて、港から倉庫までの距離もコストに直結します。港から倉庫(または自社敷地)が遠いほどドレージ費用は高くなります。デバンニング料金が安い倉庫を選んでも、ドレージ費用が高ければトータルコストは上がります。倉庫選びは「デバンニング料金」と「立地(港からの距離)」をセットで判断することが大切です。
「外注費用を節約したい」と考えて自社デバンニングを検討する輸入担当者は少なくありません。ただし、自社でデバンニングをするためには、クリアしなければならない4つの条件があります。
条件①:自社の敷地・倉庫を確保できること
公道上でのデバンニングは禁止です。必ず自社敷地内に駐車してから作業します。また、コンテナを運ぶドレー(大型トラック)が転回できる広さが必要です。敷地が狭ければ、倉庫や駐車スペースを借りる費用が発生します。
条件②:通行規制がないこと
都市部では、朝の時間帯に大型車通行禁止の道路があります。コンテナ到着予定時刻と通行規制時間帯を事前に確認しておかないと、当日に予期せぬ待機料が発生します。
条件③:作業員を確保できること
自社スタッフが少ない場合は、スポットで便利屋や派遣業者に依頼することになります。20FTコンテナで3〜4人、40FTコンテナで4〜5人程度が目安の人員数です。ただし、作業員が増えすぎると倉庫内で渋滞が起き、かえって効率が落ちます。
条件④:2時間以内に作業を完了できること
前述の2時間ルールに対応できる人員と段取りが不可欠です。
これらの条件を自社で用意するコストを計算すると、外注費用と大きく変わらないケースがあります。例えば、作業員4人を4時間確保するだけで人件費が3〜4万円かかることも珍しくありません。設備費やリスクも含めると、外注の方が総合的にコストパフォーマンスが高いことがほとんどです。
結論は外注検討が基本です。
特に輸入量が多い場合は、発送代行サービス(フルフィルメント業者)に荷受けからデバンニング・入庫検品・保管まで一括委託する方法が、コスト面でも管理面でも効率的です。
デバンニング費用の「相場」を知ったうえで、実際に費用を抑えるにはどうするか。ここでは、検索上位の記事にはあまり書かれていない、実践的な業者選びと交渉の視点を紹介します。
まず業者の料金体系を確認する際には、「固定料金制」か「従量制(m³単価)」かを確認することが第一歩です。輸入貨物の量や品目が毎回安定している場合は固定料金制の方がコスト予測がしやすく、量が変動する場合は従量制の方が有利になることがあります。見積もりは必ず複数社から取ることが原則です。
次に「港からの距離」を意識した倉庫選びが重要です。デバンニング料が1万円安くても、ドレージ費用が2万円高くなれば、差し引きでマイナスになります。港近くの倉庫を持つ発送代行業者を選ぶことで、ドレージ費用を削減できます。東京港・横浜港・名古屋港・大阪港・神戸港などの主要港に近い倉庫を選ぶと、ドレージ費用を年間で数十万円単位で抑えられるケースがあります。
また、「バラ降ろし」対応の可否を事前確認することも見逃せないポイントです。コンテナ内の貨物をパレットで降ろすより、バラ(手降ろし)で降ろす方が1コンテナに積める量が増え、1ケースあたりの輸送費を下げられます。ただし、バラ降ろしは手間がかかるため、対応を断る倉庫もあります。バラ降ろし対応OKかどうかを業者選びの条件として確認しましょう。
これは使えそうです。
さらに、デバンニング時間帯の柔軟性も確認が必要です。「午前9時のみデバンニング対応」という倉庫では、コンテナの到着時間が合わないだけで待機料が発生します。フレキシブルに対応してくれる倉庫を選ぶことが、予期せぬコスト増を防ぐことにつながります。
なお、デバンニングを外注する際には、デバンニング料金だけでなく検品料(1個あたり10〜200円)・入庫料(1個あたり10〜30円)なども発生するため、見積もり書の全項目を確認することが大切です。
参考:デバンニングの料金比較・複数業者の情報が掲載されています(倉庫CLUB)
https://souko.club/devanning-charge/
デバンニング費用の話をするうえで、「デマレージ」を理解していないと大きな金銭的損失を招くリスクがあります。デマレージとは、コンテナが港のコンテナヤードに到着してから一定の「フリータイム(無料保管期間)」を超えても引き取られなかった場合に課される超過保管料のことです。
フリータイムは航路や船会社によって異なりますが、一般的には5〜7日間程度です。この期間内にコンテナを引き取ってデバンニングを完了させなければなりません。
デマレージが怖いのは、料金が「累進制」になっている点です。滞留日数が増えるほど1日あたりの料金が上がります。例えば、40フィートコンテナを10日間滞留させた場合、コンテナ1本の輸送代金とほぼ同額のデマレージを支払うことになったという事例があります。つまり、デバンニングの手配が遅れるだけで、輸送費が実質2倍になるリスクがあるのです。
デマレージには期限があります。
デマレージを回避するためには、輸入許可が下りる前から倉庫やデバンニング業者の手配を進めておくことが重要です。フォワーダーから「輸入許可見込み日」を事前に確認し、デバンニング業者と作業日程を仮押さえしておくことが現実的な対策です。
また、自社の倉庫スペースが不足している場合に起きやすいパターンとして、「保管場所がないためにコンテナを引き取れず、デマレージが積み上がる」という事態があります。この場合は外部倉庫(シェアリング型の物流倉庫など)をバッファとして活用し、まず貨物を移動させてからデマレージを止めることが、損失を最小化する対策です。
参考:デマレージの仕組みと輸入コストの関係についてJETROが解説しています
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010920.html
参考:デバンニングの基本から2時間ルール・料金まで詳しく解説(国際輸送119)
https://container119.com/container-devanning