STC Expertを取得していなくても、いきなりExpert試験に申込める制度になっています。
CISTEC(一般財団法人安全保障貿易情報センター)が実施する「安全保障輸出管理実務能力認定試験」は、安全保障輸出管理に携わる企業の法務・技術・営業担当者を主な対象とした資格試験です。輸出管理の基礎から高度な実務能力まで、3つの級(+派生資格)で段階的に認定する仕組みになっています。
この試験は「STC(Security Trade Control)」を冠した3グレードで構成されています。それぞれの位置づけを整理すると、次のようになります。
| 試験の種類 | レベル | 試験形式 | 受験料(税込) | 年間実施回数 |
|---|---|---|---|---|
| STC Associate | 初級(基礎) | ○×方式 25問・40分 | 6,600円 | 年3回 |
| STC Advanced | 中級 | 記述含む形式・複数科目 | 6,300円 | 年2回 |
| STC Expert/STC Legal Expert | 上級(専門) | 法令編120分+貨物・技術編45分 | 8,800円 | 年1回 |
STC Associateは「輸出管理の枠組みや我が国の法制度に対する基礎的知識」を問うもので、受験資格は特にありません。日本国内で受験できる方であれば誰でも申し込めます。STC Advancedは輸出管理の現場で直面する問題を扱う中間レベルで、いわゆる「一人前の担当者」を想定した内容です。
STC Expert(安全保障貿易管理士・総合)は、法令・取引審査・該非判定まで含む専門的レベルです。STC Legal Expert(安全保障貿易管理士・法令)は法令編のみを対象とした資格で、Expert受験者が法令編だけ合格レベルに達した場合でも取得できます。つまり段階的に取得できる仕組みです。
重要なポイントがあります。STC ExpertはSTC Associateを取得していなくても受験できます。資格の取得順序に制限はありません。関税や輸出管理の実務経験がある方は、いきなり上位級からチャレンジすることも選択肢に入ります。
参考リンク(CISTEC公式:試験の種類と受験のご案内)。
安全保障輸出管理実務能力認定試験トップページ(CISTEC公式)
試験の申込みは試験日の約2か月前から始まります。
2026年度(2026年4月〜2027年3月)の認定試験実施スケジュールは以下のとおりです。なお、開催日は諸般の事情により中止・延期となる可能性があり、開催日の約2か月前に正式な開催可否がCISTECのホームページで発表されます。
| 試験日 | 試験の種類 | 開催方式 |
|---|---|---|
| 2026年5月28日(木) | STC Associate | 会場型(東京・名古屋・大阪) |
| 2026年7月24日(金) | STC Associate | オンライン試験 |
| 2026年9月11日(金) | STC Expert/STC Legal Expert | 会場型(東京・名古屋・大阪) |
| 2026年10月21日(水) | STC Associate/STC Advanced | 会場型(東京・名古屋・大阪・福岡) |
| 2027年2月5日(金) | STC Associate | オンライン試験 |
| 2027年3月12日(金) | STC Advanced | オンライン試験 |
なお、STC Advancedについては2026年3月6日(金)にオンライン試験が実施済みです(2026年度開始前の2025年度分・受付終了)。2026年度の次のAdvancedは2026年10月21日、その次は2027年3月12日の2回が予定されています。
会場については、東京はTOC有明、名古屋はウインクあいちまたはアイ.エム.ワイ、大阪は天満研修センターまたは大阪国際会議場、福岡は電気ビル本館が使用されます。
オンライン試験の場合は、試験前に「デモ受験」期間が設けられます。この期間中に動作確認を済ませておかないと、当日に機器トラブルが起きてもキャンセル不可となります。これが原因で本番受験できなかった例があるため、見落とし厳禁のポイントです。
参考リンク(CISTEC公式:試験スケジュール最新版)。
認定試験実施スケジュール(CISTEC公式)
参考リンク(CISTEC公式:2026年度研修会・認定試験 年間スケジュールPDF)。
2026年度 研修会・認定試験 年間スケジュール一覧(PDF)
キャンセル期限を1分でも過ぎると、6,600円は全額請求されます。
申込みはCISTECのWEBサイトから行います。申込み受付期間は試験日の約2か月前から始まり、おおむね試験日の2〜3週間前の15時が締切となります。申込み完了後、受験者のメールアドレスに「CISTEC認定試験お申込完了のお知らせ」というタイトルで確認メールが届きます。24時間以内にメールが届かない場合はドメイン受信設定(@cistec.or.jp)やフリーメールのフィルタリングを確認してください。
受験料は試験当日に請求書が発送され、試験終了後に銀行振込で支払います。支払期限は試験開催日から2か月後です。支払いを怠ると督促を経て法的手続きに移行し、今後の受験を断られる場合があります。これは原則です。
キャンセルについては以下の点に注意が必要です。
試験当日の持参物も細かく定められています。受験票(A4印刷必須・スマートフォン提示は不可)、身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートのいずれか)、HBまたはBの鉛筆またはシャープペン、プラスチック消しゴム、腕時計(任意)が必要です。ボールペンは使用不可です。
試験開始から10分以上遅れると受験できません。また試験開始から20分経過前に退場すると失格となります。時間管理は徹底してください。
参考リンク(CISTEC公式:受験要項)。
STC Associate 受験要項(2025年度・CISTEC公式)
STC Expertの合格率は約10%未満になることもあります。
各試験の合格率と難易度は以下のとおりです。合格基準は毎回CISTECが問題の難易度をもとに設定するため、点数が固定されているわけではありません。その点が特徴的です。
| 試験の種類 | 平均合格率 | 合格点の目安 | 難易度コメント |
|---|---|---|---|
| STC Associate | 60〜80%前後 | 25点満点中19〜21点以上 | 初学者でも取り組みやすい |
| STC Advanced | 50〜60%前後 | 毎回変動 | 実務経験者向け・難易度上昇傾向 |
| STC Expert(法令編) | 約10〜13%程度 | 30点満点中25点前後以上 | 専門的・高度な内容 |
STC Associateの勉強時間は、初学者で40〜60時間が目安とされています。STC Expertは約120時間(実務経験者でも)が必要とされており、これはほぼ毎日1時間勉強して4か月分に相当します。
STC Associateに関しては、試験直前3〜5回分の過去問がCISTECのサイトで無料公開されています。正解発表は試験日の3日後ごろ、合格者発表は試験日から約2週間後に行われます。認定証の発送は合格発表からさらに約1か月後(12月中旬ごろ)となります。これが原則です。
注目すべき点として、法令の改正が試験に直接影響します。試験は「試験開催時に施行されている法令」に準拠して出題されます。たとえば2025年10月9日に施行されたキャッチオール規制の一部改正は、2025年10月20日実施の第67回STC Associate試験に反映されています。最新の法令改正情報は経済産業省のサイトで確認することが重要です。
参考リンク(CISTEC公式:STC Associate 受験Q&A・合格率データ)。
STC Associate 受験のご案内・Q&A(CISTEC公式)
参考リンク(CISTEC公式:STC Expert 受験Q&A)。
STC Expert/STC Legal Expert 受験のご案内・Q&A(CISTEC公式)
STC Expertは一発合格しなくても「部分合格」として2年間有効なステップが使えます。
STC Expertには、他の試験にはない独自の「段階的取得制度」があります。この仕組みを知っているかどうかで、受験計画が大きく変わります。つまり資産になる制度です。
具体的な流れは以下のとおりです。
この制度の活用例を整理するとこうなります。初年度にSTC Expertを受験してLegal Expertを取得。翌年か翌々年の9月(年1回のExpert試験)に貨物・技術編だけ受験(受験料3,850円)。合格すればSTC Expert完成です。1回の受験で全部合格しようとするより受験コストと精神的負担を分散できます。
ただし注意点があります。STC 準 Legal Expertの資格を持っていても、貨物・技術編単独の受験はできません。貨物・技術編単独受験には「STC Legal Expert(準ではなく正式)」の認定証が必要です。STC Expert合格を目指すなら、まずLegal Expertの正式合格を確実に目指すことが条件です。
また、認定証には有効期限がありません。ただし輸出管理の法令は随時改正されるため、資格取得後も自身で最新情報をキャッチアップし続けることが実務では不可欠です。この点はCISTEC自身も明示しています。
参考リンク(CISTEC公式:Expert試験の段階取得制度の詳細)。
STC Expert段階取得の仕組み(CISTEC公式Q&A)
CISTECの公式テキストを2〜3周するだけで合格できる仕組みになっています。
STC Associateの対策としては、CISTECが発行する「STC Associate テキスト・問題集」の繰り返し学習が最も基本的かつ有効な方法です。CISTEC公式によると、合格者の多くはこのテキストを事前に2〜3回繰り返し学習しています。これが基本です。
過去問はCISTECのWebサイトに無料で掲載されています。正解も公開されているため、独学でも活用しやすい環境が整っています。また、経済産業省が毎年全国各地で実施している「安全保障貿易管理説明会」を活用することも、法令の全体像を把握する上で効果的です(無料)。
STC Advanced・Expertについても公式の演習問題集が販売されています。Expertは法令編と貨物・技術編が別冊となっており、各選択肢を正確に判断できるレベルまで繰り返し解くことが推奨されています。また経済産業省のQ&Aページは実務でも重要とされており、試験対策でも必須の確認事項です。
研修会との組み合わせも検討する価値があります。CISTECは試験に対応した各種セミナーを年間を通じて開催しており、2026年度の主な研修会は次のとおりです。
録画映像はDVD版・ダウンロード版でも販売されており(研修会開催の約2か月後から発売)、都合が合わない方でも後からキャッチアップできます。これは使えそうです。
試験問題は「試験開催時に施行されている法令」に準拠するため、法令改正が直前に行われた場合も出題範囲になります。受験直前には必ず経済産業省の最新法令・通達を確認しておくことが安全策です。
参考リンク(経済産業省:安全保障貿易管理に関する法令・Q&A)。
安全保障貿易管理に関する法令・通達(経済産業省公式)
参考リンク(CISTEC公式:研修会・認定試験 年間スケジュール)。
CISTECセミナー・研修会のご案内(公式)