買主が輸入通関を怠ると、留め置き料は全額買主負担になります
参考)【深堀】DAP、DPU、DDPの違いや注意点は?インコターム…
DAPは「Delivered At Place(仕向地持込渡し)」の略称で、売主が買主の指定した仕向地まで貨物を輸送し、荷卸しの準備ができた状態で引き渡す取引条件です。売主は輸出通関から国際輸送、さらに輸入国内の指定場所までの輸送費用とリスクをすべて負担します。
参考)インコタームズのDAP(仕向地持込渡し)とは?DDP・DPU…
ただし、輸入通関に関する手続きや関税の支払いは買主の責任です。つまり、物理的な輸送は売主が完了させるものの、法的な輸入手続きは買主が行うという分担になります。
この条件は、買主が輸入国での通関業務に精通している場合に有効です。買主は自社で信頼できる通関業者を選定でき、関税率や税金の管理を直接コントロールできます。
参考)DDP vs DAP:取引条件の違いを理解する
費用面では、売主が国際輸送費を負担するため、買主は到着後の限定的な費用のみを負担すればよいという利点があります。荷卸しの準備完了時点で費用負担が買主に移るのが基本です。
DAP、DDP、DPUの3条件は、いずれも売主が買主の指定場所まで貨物を輸送する「Dグループ」に属しますが、費用とリスクの移転タイミングが異なります。
DAPでは荷卸しの準備ができた時点で買主に責任が移りますが、DPUは荷卸し完了時点で移転します。つまりDPUでは、売主が荷卸し作業とその費用も負担するのが特徴です。
DDPは最も売主の負担が大きい条件で、輸入通関費用や関税まで売主が支払います。インコタームズ11規則の中で、DDPは売主の費用負担と責任範囲が最大になります。
参考)https://www.digima-japan.com/knowhow/world/17424.php
| 条件 | 荷卸し費用 | 輸入通関 | 関税 | 売主のリスク |
|---|---|---|---|---|
| DAP | 買主負担 | 買主負担 | 買主負担 | 中程度 |
| DPU | 売主負担 | 買主負担 | 買主負担 | やや大きい |
| DDP | 買主負担(※) | 売主負担 | 売主負担 | 非常に大きい |
※DDPでは荷卸し準備完了時点でリスクが移転するため、荷卸し自体は買主の責任です。
買主が関税を負担する場合はDAPまたはDPUを、売主が関税まで負担する場合はDDPを選択するのが原則です。関税率が不明確な国との取引では、DDPを避けてDAPにする方が売主にとって安全です。
参考)インコタームズ(貿易条件)「DAT」「DAP」「DDP」3つ…
輸入通関はDAPでは買主の責任範囲です。売主は指定仕向地まで貨物を配送しますが、買主が通関手続きを怠ると、港や倉庫で留め置き料が発生します。
参考)DAP、DPU、DDPの違いや注意点は?インコタームズD条件…
この留め置き料は全額買主負担になります。貨物が港に到着してから通関が完了するまでの期間、保管料や留め置き料が日々発生するため、通関の遅延は買主にとって大きなコストリスクです。
関税や消費税(VAT)の支払いも買主の義務です。買主は自国の関税率を事前に確認し、支払いに必要な資金を準備しておく必要があります。
通関業務を円滑に進めるため、買主は信頼できる通関業者と事前に契約しておくことが推奨されます。通関業者は関税計算や必要書類の準備をサポートし、迅速な通関を実現します。
費用面では、買主が通関業者や運送業者を柔軟に選択できるため、コスト削減の余地があります。ただし、通関手続きに不慣れな場合は、専門家のサポートが不可欠です。
荷卸し作業とその費用は買主の責任です。売主は荷卸しの準備ができた状態で引き渡すだけで、実際の荷卸し作業は行いません。
参考)【インコタームズ2020対応】DAP条件とは?メリット・注意…
荷卸しに伴う追加費用、例えばクレーン使用料や特別な荷役設備の手配料が発生する場合、契約書で明確に負担者を定めておく必要があります。売主が買主の合意なしに荷卸しを手配した場合、後日の費用請求ができないリスクがあります。
参考)インコタームズのDAPとは?他条件(DPU・DDP)との違い…
実務では、買主と売主が合意すれば、売主が荷卸しを手配することも可能です。ただし、この場合でも事前の合意形成が不可欠です。
荷卸し遅延によるリスクは買主が負います。輸送機関上で引き渡しが行われるため、荷卸しが遅れて追加の保管料や遅延料が発生した場合、それらは全て買主の負担になります。
参考)DAPとインコタームズとは?貿易で使われる重要な言葉の意味を…
このため、買主は荷役業者との調整を迅速に行い、到着予定に合わせて荷卸し準備を整えておくことが重要です。
指定仕向地が不明確な場合、双方の認識の相違により費用負担やリスクに関してトラブルが生じる可能性があります。契約時には、具体的な住所や施設名を明記することが必須です。
港湾地区の倉庫、コンテナヤード、鉄道駅などのターミナルが指定場所となる場合、ターミナル内での貨物の移動費用(THC: Terminal Handling Charge)がどちらの負担になるかを明確にする必要があります。THCは荷卸し後に発生する費用であり、買主負担が原則です。
参考)https://businesslife.com/content/file/wikotuxakiv_tubanin.pdf
米国ではTHCをDDC(Destination Delivery Charge)と呼びます。これは仕向港に到着したコンテナをCY(Container Yard)の所定位置まで運ぶ費用で、船会社が荷主に課金する料金です。
こうした費用は契約書に明記されていないことが多く、買主が到着後に初めて請求されるケースがあります。事前に船会社や物流業者に確認し、見積もりに含めておくことが重要です。
また、貨物が港で留め置かれた際の紛失や損傷の責任も買主側にあります。保険でカバーできない場合、買主は大きな損失を被る可能性があります。
DAP規則では、売主が指定仕向地に到着した輸送手段の上で荷卸しの準備ができている状態で物品を買主の処分に委ねた時点で、費用負担およびリスク負担が売主から買主に移転します。
参考)DAP(仕向地持込渡し)での輸出時の海上保険付保の必要性:日…
リスクが移転するまでの期間、売主は貨物の損傷や紛失に対する責任を負います。そのため、売主は輸送中のリスクに備えて海上保険を付保することが一般的です。
買主側も、荷卸し準備完了後のリスクに備えて保険を検討すべきです。特に高額貨物や壊れやすい商品の場合、荷卸し中の事故や保管中の損傷をカバーする保険が有効です。
輸送距離が長距離になる場合、輸送途中で天候不良や事故などのトラブルに巻き込まれ、貨物が損傷したり紛失したりするリスクが高まります。売主はこうしたリスクを最小限にするため、信頼できる運送業者を選定する必要があります。
参考)貿易取引に欠かせないインコタームズとは|2010と2020の…
買主は、貨物が到着してから実際に荷卸しが完了するまでの短い期間でも、万一の事故に備えた保険を検討することで、安心して取引を進められます。
通関業務従事者にとって、DAP条件は買主側の業務負担が大きい条件です。輸入通関をスムーズに進めるため、貨物到着前に必要な書類(インボイス、パッキングリスト、原産地証明書など)を売主から入手しておく必要があります。
書類に不備があると通関が遅れ、留め置き料が日々増加します。事前に書類の内容を確認し、税関が求める要件を満たしているかチェックすることが重要です。
また、関税率の確認も不可欠です。商品分類(HSコード)を正確に特定し、適用される関税率を事前に把握しておくことで、予想外の高額関税を避けられます。
通関業者との連携も重要です。経験豊富な通関業者は、税関とのやり取りを円滑に進め、迅速な通関を実現します。買主は複数の通関業者から見積もりを取り、コストとサービス品質のバランスを考慮して選定すべきです。
DDPと異なり、DAPでは買主が輸入国での許認可取得や通関許可を自ら管理できます。これにより、特殊な商品や規制品の輸入にも柔軟に対応できます。
買主は自社の通関能力を正確に評価し、必要に応じて専門家のサポートを受けることで、DAP条件のメリットを最大限に活かせます。
三井倉庫グローバルロジスティクス - インコタームズのDAP条件の詳細解説
DAPとDDP、DPUの違いを図解とともに解説しており、実務での選択基準が理解できます。
Digima - DAP・DDP・DPUの契約時の注意点
貨物の引渡し場所や関税負担について、具体的な契約時の注意点が記載されています。
商船三井ロジスティクス - D条件の比較と輸入通関の責任範囲
輸入通関手続きを怠った際の留め置き料リスクについて詳細に説明しています。

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