コルレス手数料を依頼人負担にすると受取額が2~3割減ることがあります。
correspondent bank(コルレスバンク)とは、海外送金において送金元の銀行と受取先の銀行を結ぶ仲介銀行のことです。日本語では「コルレス銀行」「中継銀行」「仲介銀行」と呼ばれ、"correspondent"は「通信者」「代理人」を意味します。
国内の銀行振込では日本銀行が中央銀行として清算業務を担いますが、国際送金では各国をまたぐため中央銀行のような組織がありません。そのため、各銀行は海外の銀行と個別にコルレス契約(Correspondent Agreement)を結び、お互いの口座を使って送金や決済を代行しています。
つまりコルレス銀行は国際決済の橋渡し役ですね。
通関業務では、輸入代金の支払いや輸出代金の受け取りで必ずこの仕組みが使われます。信用状(L/C)付きの輸入手形決済でも、コルレス銀行が発行銀行と買取銀行の間で資金決済を行います。国際取引の約70%がこのコルレス銀行業務を通じて処理されているとされ、グローバルな貿易と商取引に不可欠な存在です。
参考)Correspondent banking - Socie…
コルレス銀行を使った国際送金は、SWIFT(国際銀行間通信協会)のネットワークを通じて行われます。SWIFTは各銀行を識別するコード(SWIFTコード)を使い、送金指示のメッセージを世界中の銀行間でやり取りする共通基盤です。
参考)“SWIFT”が果たす意外な役割とは?世界経済の資金の流れを…
具体的な流れは次のとおりです。
参考)https://blog.naver.com/PostView.naver?blogId=lily_919amp;logNo=222092424717
送金先によっては複数のコルレス銀行が介在することもあります。
参考)いま話題の「SWIFT(スウィフト)」を理解する【鈴木淳也の…
通関業務で輸入信用状(L/C)を使う場合、発行銀行(輸入者側の銀行)がコルレス銀行に決済を依頼し、コルレス銀行が買取銀行(輸出者側の銀行)との間で資金決済を行います。信用状なしの送金ベース(T/T決済)でも同様にコルレス銀行が中継します。
コルレス銀行を経由する国際送金では、送金手数料や取引手数料に加えて「コルレス手数料」が別途発生します。この手数料は送金金額や経由する銀行の数によって変動し、実費精算が基本です。
参考)https://www.77bank.co.jp/kokusai/tesuryo.html
主な手数料の種類は以下のとおりです。
| 手数料の種類 | 金額の目安 | 説明 |
|---|---|---|
| 送金手数料 |
7,500円程度 |
送金依頼時に送金元銀行に支払う |
| 取引手数料 | 送金額の0.05%(最低2,500円) | 外貨両替や異なる通貨間の交換で発生 |
| コルレス手数料 |
2,000~2,500円+実費 |
中継銀行が請求する処理手数料 |
| 電信料 | 2,000円 | 送金ベース決済で発生 |
コルレス手数料が原則です。
通関業務で特に注意すべきは、信用状付き輸入手形の決済時です。リンバース方式または回金方式で先方銀行手数料を依頼人負担にした場合、コルレス銀行からドキュメントチェックや決済手続きの手数料が別途請求されます。これが「実費」として上乗せされるため、受取額が当初の予定より大幅に減るリスクがあります。
輸出代金を受け取る際、手数料負担を「送金人負担(SHA)」ではなく「受取人負担(BEN)」に指定すると、コルレス手数料がすべて輸出者(あなた)の負担になります。金額によっては受取額の5~10%が手数料で消えることもあるため、契約時に負担者を明確にしておく必要があります。
輸出代金の請求方法と送金に関する銀行諸費用の負担(ジェトロ)
送金手数料の負担区分(SHA、OUR、BEN)の違いと実務上の注意点が詳しく解説されています。
コルレス契約を結ぶ際、日本の金融機関は犯罪収益移転防止法(犯収法)により、相手方の銀行が「シェルバンク」でないことを確認する義務があります。シェルバンクとは、営業実態のない架空銀行のことで、マネー・ローンダリングやテロ資金供与に利用されるリスクが高いためです。
犯収法で求められる確認事項は次のとおりです。
参考)https://www.soumu.go.jp/main_content/000326858.pdf
確認の結果、シェルバンクであることが判明した場合は契約の締結・継続を遮断しなければなりません。
厳しいところですね。
通関業務を行う企業がコルレス契約を結んでいる銀行を利用する場合、間接的にこのリスクに晒されます。コルレス先の管理体制が不十分だと、あなたの取引がマネロン・テロ資金供与のルートに組み込まれる可能性があります。このリスクを回避するには、取引銀行が定期的にコルレス先を監視しているか、またAML/CFT(マネロン・テロ資金供与対策)ガイドラインに沿った態勢整備をしているかを確認することが重要です。
参考)金融機関における不正資金対策:コルレス契約、モニタリング、信…
近年は規制強化の影響でコルレス契約が減少し、一部の途上国では送金手段が制限される「デリスキング」が問題になっています。通関業務でも送金ルートが突然使えなくなるリスクがあるため、複数のコルレス銀行を持つ取引銀行を選ぶことが対策になります。
通関業務で輸入信用状(L/C)を使う場合、コルレス銀行は複数の役割を担います。具体的には「通知銀行(Advising Bank)」「買取銀行(Nominated Bank)」「確認銀行(Confirming Bank)」のいずれか、または複数を兼ねることがあります。
参考)https://www.emagia.com/ja/resources/glossary/accounts-correspondence/
信用状取引でのコルレス銀行の主な役割は以下のとおりです。
これらの役割によって権利・義務・責任が変わります。
通関業務では、輸入者が信用状を発行する際、通知銀行がコルレス銀行以外の場合に注意が必要です。リンバース方式または回金方式で先方銀行手数料を依頼人負担にすると、信用状付き輸入手形決済でドキュメントチェックおよび決済手続きの手数料が先方銀行から請求されるため、コルレス手数料として実費を負担することになります。
信用状なしの送金決済(T/T remittance)でも、コルレス銀行は送金元と受取先をつなぐ役割を果たします。この場合、電信料やコルレス手数料が別途かかるため、輸出者は受取額を事前に計算しておく必要があります。輸入者側も、支払指示書に「手数料負担者」を明記しないと、後でトラブルになることがあります。
従来のコルレス銀行を経由する送金は手数料が高く、着金までに数日かかるため、近年は代替手段が注目されています。特に少額送金や急ぎの決済では、オンライン送金サービスやブロックチェーン技術を使った新しい方法が選ばれるケースが増えています。
参考)https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fbloc.2019.00014/pdf
主な代替手段は以下のとおりです。
参考)仲介銀行とは
これは使えそうです。
通関業務で少額の輸入代金を頻繁に支払う場合、オンライン送金サービスを使えば手数料を抑えられます。ただし、信用状(L/C)取引や大口の貿易決済では、銀行の信用保証が必要なためコルレス銀行経由の送金が依然として主流です。
今後は、CBDCやブロックチェーン技術が普及すれば、コルレス銀行の役割が縮小する可能性があります。しかし現時点では、通関業務における国際決済の大部分がSWIFTとコルレス銀行のネットワークに依存しているため、この仕組みを正しく理解しておくことが不可欠です。
手数料負担を最小限に抑えるには、契約時に「手数料負担者」を明記し、複数の送金ルートを確保しておく戦略が有効です。取引銀行に対して、コルレス先の管理体制やAML/CFT対策の状況を定期的に確認することも、リスク回避につながります。