贈与税税率計算と特例税率の違い

通関業務に携わる方が知っておくべき贈与税の税率と計算方法を詳しく解説します。一般税率と特例税率の違いや、意外な落とし穴とは何でしょうか?

贈与税税率計算の基本と特例税率

親から500万円の贈与を受けたあなたは、兄から受けた500万円と合算して申告が必要です。

この記事の3つのポイント
📊
税率は関係性で変わる

親や祖父母から18歳以上の子・孫への贈与は特例税率、それ以外は一般税率が適用され、同じ金額でも税額が大きく異なります

💰
基礎控除は年間110万円

1年間に受けた贈与の合計額から110万円を差し引いた金額に対して贈与税が課税されます

⚠️
申告漏れには重いペナルティ

故意の無申告は5年以下の懲役または500万円以下の罰金、さらに延滞税や加算税が発生します

贈与税の計算に使う2種類の税率の違い


贈与税の計算では、贈与者と受贈者の関係によって「一般税率」と「特例税率」のどちらかが適用されます。直系尊属(父母や祖父母)から18歳以上の子や孫への贈与には特例税率が適用され、それ以外の贈与には一般税率が適用されます。
参考)No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁


この2つの税率の違いは、同じ金額の贈与でも税負担に大きな差を生みます。特例税率は一般税率より段階的に低く設定されており、高額の贈与ほど節税効果が大きくなります。たとえば、課税価格が600万円の場合、一般税率では税率30%ですが、特例税率では税率20%となります。
参考)贈与税の一般税率と特例税率の違いは?仕組みと注意点を解説


つまり税率の選択で税額が変わります。
兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から未成年の子への贈与は一般税率の対象です。一方、父から21歳の息子への贈与は特例税率が適用されます。贈与を受ける側の年齢は、贈与を受けた年の1月1日時点で判断します。
参考)贈与税がかからないケースや計算方法、注意点までを網羅解説!【…


贈与税の計算式と基礎控除110万円の仕組み

贈与税の計算は、次の式を使います。
参考)贈与税の税率表|特例・一般の違いと計算方法を分かりやすく解説…

(1年間にもらった財産の合計額 - 基礎控除額110万円)× 税率 - 控除額 = 贈与税額
基礎控除は年間110万円です。この金額を超えなければ贈与税は発生せず、申告も不要です。複数の人から贈与を受けた場合でも、基礎控除は受贈者1人あたり年間110万円だけです。
参考)複数の人から贈与を受けたら贈与税はいくら?暦年課税・相続時精…

700万円の贈与を受けた場合の課税価格は590万円(700万円 - 110万円)となります。この課税価格に対して、税率表の該当する税率と控除額を適用します。
参考)贈与税の早見表付き|贈与税の税率・税額の計算方法を解説


速算表を使えば簡単に計算できます。
たとえば、父から500万円の贈与を受けた21歳の人の場合、課税価格は390万円(500万円 - 110万円)です。特例税率を適用すると、税率15%、控除額10万円となり、贈与税額は48万5,000円(390万円 × 15% - 10万円)です。​

贈与税の特例税率の速算表と計算例

特例税率の速算表は以下の通りです。
参考)贈与税の2つの税率・特例贈与財産と一般贈与財産の違いとは


基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円


この速算表を使えば、課税価格から直接税額を求められます。課税価格が該当する区分の税率を掛けて、控除額を差し引くだけです。
参考)【贈与税の計算】シミュレーションで初心者も簡単税額チェック!…


1,000万円の贈与を受けた21歳の息子の場合、課税価格は890万円(1,000万円 - 110万円)となります。特例税率を適用すると、税率30%、控除額90万円で、贈与税額は177万円(890万円 × 30% - 90万円)です。
参考)1,000万円の贈与を受けた時の贈与税はいくら?計算方法・特…

計算ミスを防ぐには速算表が便利です。
贈与額に応じた税額の早見表も便利で、贈与額500万円の場合、特例税率では48万5,000円、一般税率では53万円と記載されています。この差額は贈与額が大きくなるほど広がります。​

贈与税の一般税率の速算表と適用ケース

一般税率の速算表は以下の通りです。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円


一般税率が適用されるのは、特例贈与財産に該当しない贈与です。具体的には、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から未成年の子への贈与などがこれに当たります。​
同じ課税価格でも税額が違います。
課税価格が300万円超400万円以下の場合、特例税率では税率15%ですが、一般税率では税率20%となり、5ポイントの差があります。この差は贈与額が増えるほど大きくなり、600万円超1,000万円以下では10ポイントの差(特例30%、一般40%)になります。​
通関業務従事者が海外から高額な贈与を受ける際も、この税率が適用されます。国外財産であっても、受贈者が日本居住者であれば原則として贈与税の対象です。
参考)https://tomorrowstax.com/knowledge/2025081515382/

通関業務と贈与税の関係で注意すべきポイント

通関業務に携わる方が知っておくべき贈与税の特殊なケースがあります。輸入貨物の中には、寄贈物品として送られてくるものがあり、課税価格が20万円を超えても輸入申告が不要な場合があります。
参考)2025年片山立志先生の通関士合格ポイントコラム 第10回

これは税関での扱いです。
ただし、税関で輸入申告が不要でも、贈与税の申告は別問題です。個人が海外の親族から高額な物品を無償で受け取った場合、贈与税の課税対象となる可能性があります。受贈者が日本居住者の場合、国内財産・国外財産すべてが贈与税の対象です。
参考)https://creas-souzoku.com/columns/zouyo/find-out/


海外送金にも注意が必要で、金融機関は100万円以下でも税務署に報告する可能性があります。通関業務を委託する際の納税義務者は、通関業者ではなく委託した者本人です。このため、贈与として受け取った輸入貨物の価値を正しく把握し、必要に応じて贈与税の申告を行う必要があります。
申告漏れは後で発覚します。
税務署は相続時の調査や金融機関からの情報で贈与を把握します。故意の無申告には5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されます。さらに無申告加算税(最大20%)、延滞税(年7.3%~14.6%)、悪質な場合は重加算税(40%)が加算されます。
参考)贈与税に時効はある?申告期限や申告漏れのペナルティなどについ…


贈与税が非課税になる特例制度の活用法

一定の条件を満たせば、110万円を超える贈与でも贈与税が非課税になる特例があります。代表的なものは、住宅取得資金の贈与、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与の3つです。
参考)【2025年版】贈与税の「住宅取得資金」「教育資金」「結婚・…


住宅取得資金の贈与は、省エネ住宅で1,000万円、その他の住宅で500万円まで非課税です。適用期限は2026年12月末の贈与分までで、受贈者は18歳以上、合計所得2,000万円以下などの条件があります。翌年3月15日までに取得資金へ充当し居住予定であることも必要です。
参考)https://www.invest-concierge.com/qa/purpose-gift-exemption

条件を満たせば大きな節税効果があります。
教育資金の一括贈与は、金融機関との契約により最大1,500万円まで非課税です。結婚・子育て資金の一括贈与は最大1,000万円まで非課税となります。ただし、これらの特例を利用する場合は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与税の申告が必要です。
参考)贈与税がかかるのはいくらから? 贈与税の計算方法や非課税にな…


相続時精算課税制度を選択すれば、累計2,500万円まで贈与税が非課税になります。超過分には一律20%の税率がかかり、将来の相続時に贈与額が相続財産に加算されます。この制度を選ぶと、同じ贈与者からの贈与について暦年課税には戻れません。




一番わかりやすい【図解】相続&贈与のすべてわかる本 令和8年度改正対応版 (扶桑社ムック)