親から500万円の贈与を受けたあなたは、兄から受けた500万円と合算して申告が必要です。
贈与税の計算では、贈与者と受贈者の関係によって「一般税率」と「特例税率」のどちらかが適用されます。直系尊属(父母や祖父母)から18歳以上の子や孫への贈与には特例税率が適用され、それ以外の贈与には一般税率が適用されます。
参考)No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
この2つの税率の違いは、同じ金額の贈与でも税負担に大きな差を生みます。特例税率は一般税率より段階的に低く設定されており、高額の贈与ほど節税効果が大きくなります。たとえば、課税価格が600万円の場合、一般税率では税率30%ですが、特例税率では税率20%となります。
参考)贈与税の一般税率と特例税率の違いは?仕組みと注意点を解説
つまり税率の選択で税額が変わります。
兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から未成年の子への贈与は一般税率の対象です。一方、父から21歳の息子への贈与は特例税率が適用されます。贈与を受ける側の年齢は、贈与を受けた年の1月1日時点で判断します。
参考)贈与税がかからないケースや計算方法、注意点までを網羅解説!【…
贈与税の計算は、次の式を使います。
参考)贈与税の税率表|特例・一般の違いと計算方法を分かりやすく解説…
(1年間にもらった財産の合計額 - 基礎控除額110万円)× 税率 - 控除額 = 贈与税額
基礎控除は年間110万円です。この金額を超えなければ贈与税は発生せず、申告も不要です。複数の人から贈与を受けた場合でも、基礎控除は受贈者1人あたり年間110万円だけです。
参考)複数の人から贈与を受けたら贈与税はいくら?暦年課税・相続時精…
700万円の贈与を受けた場合の課税価格は590万円(700万円 - 110万円)となります。この課税価格に対して、税率表の該当する税率と控除額を適用します。
参考)贈与税の早見表付き|贈与税の税率・税額の計算方法を解説
速算表を使えば簡単に計算できます。
たとえば、父から500万円の贈与を受けた21歳の人の場合、課税価格は390万円(500万円 - 110万円)です。特例税率を適用すると、税率15%、控除額10万円となり、贈与税額は48万5,000円(390万円 × 15% - 10万円)です。
特例税率の速算表は以下の通りです。
参考)贈与税の2つの税率・特例贈与財産と一般贈与財産の違いとは
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | - |
| 400万円以下 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
| 3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
| 4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 640万円 |
この速算表を使えば、課税価格から直接税額を求められます。課税価格が該当する区分の税率を掛けて、控除額を差し引くだけです。
参考)【贈与税の計算】シミュレーションで初心者も簡単税額チェック!…
1,000万円の贈与を受けた21歳の息子の場合、課税価格は890万円(1,000万円 - 110万円)となります。特例税率を適用すると、税率30%、控除額90万円で、贈与税額は177万円(890万円 × 30% - 90万円)です。
参考)1,000万円の贈与を受けた時の贈与税はいくら?計算方法・特…
計算ミスを防ぐには速算表が便利です。
贈与額に応じた税額の早見表も便利で、贈与額500万円の場合、特例税率では48万5,000円、一般税率では53万円と記載されています。この差額は贈与額が大きくなるほど広がります。
一般税率の速算表は以下の通りです。
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | - |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
一般税率が適用されるのは、特例贈与財産に該当しない贈与です。具体的には、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から未成年の子への贈与などがこれに当たります。
同じ課税価格でも税額が違います。
課税価格が300万円超400万円以下の場合、特例税率では税率15%ですが、一般税率では税率20%となり、5ポイントの差があります。この差は贈与額が増えるほど大きくなり、600万円超1,000万円以下では10ポイントの差(特例30%、一般40%)になります。
通関業務従事者が海外から高額な贈与を受ける際も、この税率が適用されます。国外財産であっても、受贈者が日本居住者であれば原則として贈与税の対象です。
参考)https://tomorrowstax.com/knowledge/2025081515382/
通関業務に携わる方が知っておくべき贈与税の特殊なケースがあります。輸入貨物の中には、寄贈物品として送られてくるものがあり、課税価格が20万円を超えても輸入申告が不要な場合があります。
参考)2025年片山立志先生の通関士合格ポイントコラム 第10回
これは税関での扱いです。
ただし、税関で輸入申告が不要でも、贈与税の申告は別問題です。個人が海外の親族から高額な物品を無償で受け取った場合、贈与税の課税対象となる可能性があります。受贈者が日本居住者の場合、国内財産・国外財産すべてが贈与税の対象です。
参考)https://creas-souzoku.com/columns/zouyo/find-out/
海外送金にも注意が必要で、金融機関は100万円以下でも税務署に報告する可能性があります。通関業務を委託する際の納税義務者は、通関業者ではなく委託した者本人です。このため、贈与として受け取った輸入貨物の価値を正しく把握し、必要に応じて贈与税の申告を行う必要があります。
申告漏れは後で発覚します。
税務署は相続時の調査や金融機関からの情報で贈与を把握します。故意の無申告には5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されます。さらに無申告加算税(最大20%)、延滞税(年7.3%~14.6%)、悪質な場合は重加算税(40%)が加算されます。
参考)贈与税に時効はある?申告期限や申告漏れのペナルティなどについ…
一定の条件を満たせば、110万円を超える贈与でも贈与税が非課税になる特例があります。代表的なものは、住宅取得資金の贈与、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与の3つです。
参考)【2025年版】贈与税の「住宅取得資金」「教育資金」「結婚・…
住宅取得資金の贈与は、省エネ住宅で1,000万円、その他の住宅で500万円まで非課税です。適用期限は2026年12月末の贈与分までで、受贈者は18歳以上、合計所得2,000万円以下などの条件があります。翌年3月15日までに取得資金へ充当し居住予定であることも必要です。
参考)https://www.invest-concierge.com/qa/purpose-gift-exemption
条件を満たせば大きな節税効果があります。
教育資金の一括贈与は、金融機関との契約により最大1,500万円まで非課税です。結婚・子育て資金の一括贈与は最大1,000万円まで非課税となります。ただし、これらの特例を利用する場合は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与税の申告が必要です。
参考)贈与税がかかるのはいくらから? 贈与税の計算方法や非課税にな…
相続時精算課税制度を選択すれば、累計2,500万円まで贈与税が非課税になります。超過分には一律20%の税率がかかり、将来の相続時に贈与額が相続財産に加算されます。この制度を選ぶと、同じ贈与者からの贈与について暦年課税には戻れません。