中古資産でも初年度に法定耐用年数を使うと、あとで短縮できません。
財務省令における耐用年数別表は、減価償却資産の使用可能期間を定めた法令上の基準表です。正式には「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」として公布されており、企業が固定資産を購入した際に何年かけて費用計上するかを決める際の根拠となります。
参考)耐用年数とは?償却資産別や中古資産の年数、減価償却の計算方法…
この別表は大きく6つに分類されています。別表第一は建物や車両など機械装置以外の有形資産、別表第二は製造業の設備など機械及び装置の耐用年数を規定しています。通関業務で扱う輸入貨物のうち、製造設備や工作機械は別表第二、コンテナや事務機器は別表第一を参照します。
参考)減価償却資産の耐用年数等に関する省令で耐用年数の疑問を解決!…
耐用年数が短ければ毎年の減価償却費は多くなり、長ければ少なくなります。つまり耐用年数が短いほど早期に費用計上でき、税負担の軽減効果が大きいということですね。
通関業務従事者が輸入申告書類を作成する際、貨物の分類や用途を正確に把握しておかないと、顧客企業が後に減価償却計算で誤った耐用年数を適用するリスクがあります。特に機械装置は設備の種類ごとに細かく耐用年数が設定されているため、輸入時点での仕様確認が重要です。
参考)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/700525/fuhyou/10.htm
国税庁の耐用年数表付表(機械及び装置の詳細区分)では、製造設備の番号ごとに細目と耐用年数が記載されています。輸入機械の型式や用途を申告書類と照合する際の参考になります。
別表第一は建物、構築物、車両運搬具、工具器具備品、船舶、航空機といった機械装置以外の有形減価償却資産を対象とします。たとえば事務机は金属製なら15年、木製なら8年です。
参考)https://support.yayoi-kk.co.jp/file.jsp?id=110240
一方、別表第二は製造業や各種産業の機械及び装置を対象とし、設備の種類ごとに番号と細目が付されています。たとえば半導体集積回路製造設備は5年、自動車製造設備は10年といった具合です。
参考)https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/7142/betsuhyo2.pdf
機械装置は総合償却が原則で、同一設備内の複数機械をまとめて一つの耐用年数を適用します。これに対し別表第一の資産は個別に耐用年数を判定するのが基本です。
参考)Ⅴ.耐用年数
通関業務では、輸入貨物が機械装置に該当するか否かで参照する別表が変わります。工作機械や製造ラインの部品は別表第二、オフィス家具やフォークリフトは別表第一という切り分けが必要ですね。
輸出令別表との混同に注意してください。輸出令別表は安全保障貿易管理のためのリストで、耐用年数とは無関係です。財務省令の耐用年数別表とは目的も内容も異なります。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/qanda03.html
輸入した機械設備を国内で使用する場合、取得価額に輸入諸掛かり(関税、消費税、運賃、保険料など)を含めた金額が減価償却の基礎となります。この取得価額を財務省令別表で定められた耐用年数で割り、毎年費用計上していきます。
たとえば取得価額1,000万円の資産を法定耐用年数5年で定額法償却すると、毎年200万円ずつ減価償却費を計上します。償却方法には定額法と定率法がありますが、2016年4月以降に取得した建物附属設備や構築物は定額法のみです。
輸入コンテナは長さ6m超(20フィート以上)なら耐用年数7年、6m未満なら5年です。コンテナを免税扱いで輸入し定期的に国際輸送に使う場合は関税がかかりませんが、国内専用として所有する場合は資産税の対象となり減価償却が必要になります。
参考)https://www.rhinos.jp/clearance/
免税コンテナを用途外使用する際は、税関へ用途外使用等承認申請を行い、コンテナの簿価に対する関税消費税を納付します。この手続きを経て初めて国内運用が可能になるため、通関業務従事者は顧客に事前説明を行うことが重要です。
減価償却の計算ミスは後年度の税務調査で指摘されるリスクがあります。輸入申告時に貨物の仕様書や用途を正確に記録し、顧客企業の経理部門と共有しておくと安心ですね。
中古資産を輸入する場合、使用可能期間を合理的に見積もれるならその年数を耐用年数とできます。見積もりが困難なときは簡便法で算出します。
参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/service-life/
簡便法の計算式は次の通りです。
たとえば法定耐用年数7年の農業用設備を、使用開始から7年以上経過した中古品で輸入した場合、7年 × 20% = 1.4年 → 2年が耐用年数です。同じ設備を1.5年経過品で輸入すると、(7年 − 1.5年) + 1.5年 × 20% = 5.8年 → 5年となります。
見積耐用年数は初年度のみ選択可能で、初年度に法定耐用年数を適用すると翌年以降は変更できません。これは計算方法の誤りではなく選択の問題とみなされるため、更正の請求もできません。
参考)減価償却の耐用年数を間違えていたら?個人事業主・法人の対処法
中古機械を輸入する際は、製造年や稼働実績を通関書類に明記しておくと、顧客企業が見積耐用年数を適用しやすくなります。書類不備で法定耐用年数を使ってしまうと、償却期間が長くなり資金繰りに影響が出ることがあります。
freee会計の耐用年数解説ページでは、中古資産の簡便法計算例が図解されています。顧客への説明資料として活用できます。
耐用年数を誤って長い年数を適用していた場合、個人事業主は過年度分について更正の請求が可能ですが、法人は認められません。ただし翌年度からは正しい耐用年数で減価償却を再開できます。
逆に短い耐用年数を適用していたときは、個人・法人とも修正申告が必要です。本来より多く費用計上していたことになるため、過少申告加算税や延滞税が課される可能性があります。
参考)個人事業主が減価償却の耐用年数を間違えたときの対処│松野宗弘…
中古資産で法定耐用年数を選んだ場合、翌年以降は見積耐用年数に変更できません。初年度の選択がその後の償却期間を確定させるため、輸入申告時に製造年や使用履歴を正確に把握しておく必要があります。
通関業務従事者が気を付けるべきは、顧客企業の経理担当者が耐用年数を誤認するリスクです。輸入申告書にHS番号や品名だけでなく、設備の詳細仕様や製造年を記載しておくと、後のトラブルを防げます。
耐用年数の判定に迷ったときは、国税庁の「耐用年数の適用等に関する取扱通達」を参照するか、税理士に相談することをおすすめします。建物の構造や機械の肉厚など、外観だけでは判別しにくい要素もあるため、製造元の仕様書を確認するのが確実です。
関田税理士事務所の解説記事では、耐用年数間違いの具体例と更正請求の可否が詳しく説明されています。顧客対応のマニュアル作成に役立ちます。
通関業務で扱う輸入貨物のうち、工作機械や製造設備は別表第二の機械装置に該当するケースが多く、設備番号と細目の確認が必須です。たとえば数値制御工作機械は輸出令別表第1の2項(12)に該当する場合があり、安全保障貿易管理と耐用年数の両面でチェックが必要です。
輸入申告書には品名、型式、用途、製造年を明記し、顧客企業の経理部門が減価償却計算をスムーズに行えるよう配慮します。特に中古機械は経過年数の記録が見積耐用年数の適用に直結するため、インボイスやパッキングリストに記載漏れがないか確認してください。
免税コンテナの用途外使用には税関承認が必要で、承認前に国内運用すると関税法違反となります。顧客から「コンテナを倉庫に転用したい」と相談されたら、用途外使用等承認申請の手続きを案内しましょう。
複数の設備をまとめて輸入する場合、総合償却が適用されるかどうかも考慮します。同一工場内の同一設備種類であれば、個別に耐用年数を割り当てずワンセットで償却できることがあります。
輸入機械の位置決め精度や制御軸数は、輸出令該当判定だけでなく耐用年数にも影響する場合があります。工作機械メーカーに測定を依頼するなど、スペックの裏付けを取っておくと後々安心です。
通関業務従事者が耐用年数に詳しくなると、顧客企業の税務リスクを未然に防ぎ、信頼関係を深めることができます。財務省令別表は頻繁に参照する資料なので、ブックマークやPDF保存をしておくと業務効率が上がりますね。