固定資産いくらから個人事業主が計上すべきか 10万円・20万円・30万円基準と減価償却

個人事業主が固定資産を計上する基準はいくらからか、10万円・20万円・30万円の金額ごとに処理方法が異なります。通関業務従事者も知っておくべき減価償却の仕組みや特例、償却資産税の申告義務について詳しく解説します。あなたは正しく処理できていますか?

固定資産いくらから個人事業主が計上すべきか

10万円未満なら全額経費にできると思っていませんか?

この記事の3ポイント要約
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固定資産の計上基準

個人事業主は取得価額10万円以上の資産を原則として固定資産に計上し減価償却する必要があります

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金額別の処理方法

10万円未満は全額経費、20万円未満は一括償却資産、30万円未満は少額減価償却資産の特例が適用可能です

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償却資産税の申告

個人事業主も毎年1月31日までに償却資産の申告が必要で、少額減価償却資産の特例を使うと償却資産税の対象になります

固定資産の計上基準は取得価額10万円以上が原則


個人事業主が事業用の資産を購入した場合、固定資産として計上する基準は取得価額が10万円以上です。この10万円という金額は、税法上の重要な分岐点になります。
参考)固定資産はいくらから計上できる?固定資産税についても解説


取得価額には、資産本体の価格だけでなく設置費や運送費、購入手数料なども含まれます。つまり、パソコン本体が9万円でも、送料や設置費用を含めて10万円を超えれば固定資産として扱う必要があるということです。
参考)減価償却の計算方法とは?定額法・定率法それぞれわかりやすく解…

10万円以上の資産は、購入した年度に全額を経費にすることはできません。耐用年数に応じて複数年にわたって減価償却を行います。これが基本ルールです。
参考)個人事業主の減価償却の計算方法は?法人との違いも解説 - 確…

一方、10万円未満の資産は「少額の減価償却資産」として、購入した事業年度に全額を消耗品費などで経費計上できます。この場合、固定資産台帳への記載も不要です。
参考)パソコンは固定資産に計上すべき?取得価額ごとの勘定科目や注意…

通関業務で使用するパソコンや事務機器、車両などを購入する際は、この10万円基準を意識して経理処理を行う必要があります。領収書や請求書をしっかり保管しておくことが大切です。

固定資産の一括償却資産は20万円未満で3年均等償却

取得価額が10万円以上20万円未満の資産については、「一括償却資産」として処理する方法があります。この方法を選択すると、耐用年数に関係なく3年間で均等に償却できます。
参考)白色申告の一括償却資産について!具体例で分かりやすく解説!


具体的には、取得価額×1/3の金額を毎年の償却費として計上します。例えば18万円のパソコンを2台購入した場合、36万円×1/3=12万円を3年間にわたって償却するということです。
参考)一括償却資産とは?一括償却を使う場面は限られる!元国税・税理…

一括償却資産のメリットは何でしょうか?
通常、パソコンの法定耐用年数は4年ですが、一括償却資産にすると3年で償却できるため、早期に経費計上が可能です。また、償却資産税の対象外になるという税務上の利点もあります。​
この方法は青色申告だけでなく白色申告でも利用できます。通関業務で使用する測定工具や検査機器、事務用家具などが該当するケースが多いでしょう。​
ただし、一括償却資産を選択するかどうかは任意です。通常の減価償却を選んでも問題ありません。自分の事業の状況に応じて有利な方法を選択してください。

固定資産の少額減価償却資産特例は30万円未満が上限

青色申告をしている個人事業主には、さらに有利な特例があります。30万円未満の資産を取得した場合、年間300万円を限度として全額を取得年度に経費計上できる「少額減価償却資産の特例」です。
参考)少額減価償却資産の特例とは?青色申告の節税制度を活用しよう …


この特例を適用すると、例えば28万円の業務用車両を購入した場合、購入年度に28万円全額を経費にできます。通常であれば耐用年数に応じて複数年で償却しなければならないところを、一括で経費計上できるのです。
ただし注意点があります。
2022年4月1日以降に取得した資産で、貸付用途に供したものはこの特例の対象外です。主要事業として行う貸付は除かれますが、単に他者に貸し付けただけでは適用できません。
参考)少額減価償却資産とは?特例の対象範囲や注意点を解説!

また、この特例を使った資産は償却資産税の申告対象になります。一括償却資産は償却資産税の対象外ですが、少額減価償却資産は対象になるという違いがあります。
参考)https://it-trend.jp/fixed_asset_management_system/article/180-0027

通関業務で使用する高額な測定機器やソフトウェア、車両などを購入する際は、この特例の活用を検討する価値があります。年間300万円の枠内で計画的に設備投資を行えば、大きな節税効果が期待できますね。

固定資産税と償却資産税の違いを理解する

固定資産税は土地や建物にかかる税金として広く知られていますが、個人事業主が注意すべきは償却資産税です。これは事業用の機械や器具備品などにかかる税金で、固定資産税の一種として扱われます。
参考)償却資産税の申告とは?申告の流れや方法をご紹介

償却資産税は、毎年1月1日時点で所有している償却資産を、その資産が所在する市町村に申告する必要があります。申告期限は毎年1月31日までです。
参考)小田原市


申告が必要な資産は何でしょうか?
事業用として使用できる機械、器具備品、車両などが対象です。パソコン、プリンター、エアコン、陳列棚、看板、工具類など、幅広い資産が該当します。
参考)【税理士監修】償却資産の申告対象・対象外の資産とは?税率も解…

ただし、土地や建物、自動車税課税対象となる車両、無形固定資産などは償却資産税の対象外です。また、取得価額10万円未満で費用処理したものや、一括償却資産として処理したものも申告不要です。​
通関業務に従事する個人事業主の方は、検査機器や測定工具、事務機器などを多く所有しているケースがあります。これらの資産については、毎年1月に忘れずに申告を行う必要があります。申告を怠ると過料が科される可能性もあるので注意が必要です。

固定資産の減価償却方法は定額法が個人事業主の原則

個人事業主が減価償却を行う場合、原則として定額法を使用します。定額法とは、毎年同じ金額を償却していく方法です。​
計算式は「取得価額×定額法の償却率」となります。例えば、耐用年数4年のパソコン40万円を購入した場合、償却率は0.25なので、毎年10万円ずつ4年間で償却します。​
一方、定率法という方法もあります。こちらは「(取得価額-前年までの減価償却累計額)×定率法の償却率」で計算します。初年度の償却額が大きく、年々減少していく特徴があります。​
個人事業主でも一部の資産については定率法を選択できますか?
はい、できます。ただし、事前に税務署に届出を提出する必要があります。届出をしない限りは自動的に定額法が適用されます。​
通関業務で使用する車両や機械装置などは、定率法を選択することで初年度の経費を大きくすることも可能です。ただし、償却方法を一度選択すると簡単には変更できないため、慎重に判断する必要があります。
また、減価償却は事業年度ごとに必ず行わなければなりません。利益が出なかったからといって償却を skip することはできないので注意してください。
参考)No.2100 減価償却のあらまし|国税庁

固定資産の取得価額に含めるべき費用の範囲

固定資産の取得価額を正確に把握することは、適切な減価償却を行う上で非常に重要です。取得価額には、資産本体の購入代金だけでなく、様々な付随費用が含まれます。​
具体的には、運送費、設置費、購入手数料、関税、不動産取得税などが取得価額に含まれます。通関業務従事者の方であれば、輸入機器の場合は通関手数料や関税も取得価額の一部として計上する必要があることをよくご存じでしょう。
例えば、海外から20万円の測定機器を輸入し、関税2万円、運送費1万円、設置費2万円がかかった場合、取得価額は25万円になります。つまり少額減価償却資産の特例(30万円未満)の対象になるということですね。
一方、取得後に発生する修繕費や保守費用は取得価額に含めません。これらは通常の経費として処理します。ただし、資産の価値を高めたり耐用年数を延ばしたりする「資本的支出」に該当する場合は、取得価額に加算する必要があります。
境界線が曖昧な場合はどうなりますか?
20万円未満の修繕費用であれば、修繕費として処理することが認められています。また、おおむね3年以内の周期で行われる修繕は、修繕費として処理できます。
通関業務で使用する機器のメンテナンス費用については、この基準を念頭に置いて適切に判断することが大切です。判断に迷う場合は、税理士に相談することをおすすめします。
国税庁の減価償却に関する詳しい情報は、以下のページで確認できます。
国税庁「減価償却のあらまし」- 減価償却資産の定義や計算方法の基本的な解説




令和5年7月改訂/問答式 固定資産・減価償却の税務と会計