all risks 保険 通関業務の担保範囲と免責事項を実務で使いこなす

all risks 保険は通関業務で多用される貨物海上保険ですが、実は「すべて補償」とは限りません。戦争やストライキ、梱包不備など重要な免責事項があることをご存じですか?

all risks 保険の基本と通関業務での注意点

all risks保険でも梱包不備の損害は全額自己負担です。


この記事のポイント
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all risks保険の正体

「全危険担保」の名称だが、免責事項が複数存在し完全補償ではない

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重要な免責項目

戦争・ストライキ・梱包不備・遅延・自然消耗などは基本補償外

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通関実務での対応

保険条件の確認方法と追加特約の必要性を理解する

all risks保険とは何か


all risks保険(オールリスク担保)は、貨物海上保険における包括的な補償条件です。ICC(A)条件とも呼ばれ、特定の危険を列挙して補償するのではなく、すべての偶然な事故による損害を補償するという考え方に基づいています。


参考)【図解で解説】オールリスク担保条件と特定危険担保条件の違いと…


通関業務従事者にとって、輸入貨物に保険をかける際の最も一般的な選択肢です。ICC条件にはA・B・Cの3種類があり、ICC(A)が最も広い補償範囲を持っています。ICC(B)は中間的な補償、ICC(C)は最低限の補償という位置づけです。


参考)輸入者側で貨物の保険を手配する際の留意点:日本


CIF取引では売主が保険をかけますが、FOB取引などでは買主側が保険手配を行う必要があります。補償範囲が広いため保険料は高めですが、貨物の価値や輸送条件によっては十分な価値があります。


参考)輸入リスクを最小限に! 確認しておきたい保険の種類


all risks保険の主な免責事項

「all risks」という名称にもかかわらず、補償されない項目が複数存在します。最も重要な免責事項は、戦争危険とストライキ危険です。これらは世界情勢の変化に左右され、発生時の被害が甚大になるため、基本約款では免責となっています。


参考)補償内容


地震・噴火・津波も免責対象です。別途地震保険を付保しなければカバーされません。梱包不備による損害も重要な免責項目で、輸出梱包の不十分さや不適切さが原因の減失・損傷は填補されません。コンテナへの積付けも梱包の範囲に含まれます。


参考)オールリスク(All Risk)


貨物の自然消耗や通常の漏損、重量・容積の減少も免責です。コーヒー豆の袋詰めや液体貨物の気化による量の減少などがこれに該当します。故意や重過失による損害、遅延による損害も補償対象外となります。


参考)貨物海上保険で填補できない免責事由と危険回避の対処:日本


all risks保険で補償される主なリスク

基本的には外部的な偶発原因による損害が補償されます。船舶の沈没・座礁・衝突、火災・爆発、投棄(貨物を海に捨てる緊急措置)などの重大事故は確実に補償対象です。


参考)海上貨物保険とは?ICC(A/B/C)の補償範囲と違いをわか…


荷物の積み込みや荷卸しの最中に起きた損害もカバーされます。輸送中の盗難や破損、濡れなども基本的には補償範囲内です。共同海損の分担額や救助料も支払い対象となります。


参考)オールリスク担保 « JAIBO 日本輸入ビジネ…


落雷による損害も補償されます。これらは「海上危険」として分類され、遅延や荷造りの不備以外に起こりうる輸送中の損害として扱われます。

通関業務における保険条件の確認方法

輸入通関時には保険書類の提出が必要です。包括保険契約の場合、船積み毎に保険会社が発行する「保険料請求書(Debit Note)」が求められますが、一定要件を満たせば税関宛に「包括保険扱い申請」を行い、個別提出を省略できます。


参考)ご契約手続き

保険証券に「オールリスク担保条件」や「all risks」の付記があるか確認してください。保険約款の「保険金を支払う場合」の項目を見れば、all risks条件かどうか判別できます。「当会社はすべての偶然な事故に対して保険金を支払います」という記載があればall risks条件です。


参考)https://www.jastpro.org/files/libs/793/202104071600513955.pdf


L/C(信用状)取引では、免責約款への言及が保険書類に見られても、all risksの付記または条項が含まれていれば受理されます。保険申込書(Application for Marine Cargo Insurance)にはICC(A)、W.A.、F.P.A.などの選択肢があり、どの条件を選ぶか明記します。


参考)https://www.globalbizgate.com/lpd/bk01/bkforms/insuranceapplication1a.pdf


戦争危険・ストライキ危険の追加担保

基本約款で免責となっている戦争・ストライキ危険は、別途特別約款で担保できます。これを「復活担保」と呼び、2009年協会戦争約款や2009年協会ストライキ約款を使用します。


参考)https://www.hoken.kli.co.jp/marine/marine-journal_202205


戦争危険には、宣戦の有無を問わない戦争、内乱、捕獲、だ捕などが含まれます。ストライキ危険は、職場閉鎖中の労働者、労働紛争、暴動に加わっている者によるものが対象です。

追加保険料が必要ですが、紛争地域や労働争議が多い国への輸送では検討する価値があります。保険会社に「War Risks」や「S.R.C.C Risks(Strike, Riots and Civil Commotion)」の追加を依頼してください。


参考)貨物海上保険の保険条件を分かりやすく解説!

all risks保険の実務上の注意点と対策

梱包不備による損害を避けるため、出荷前に梱包状態を必ず確認しましょう。ただし保険適用期間開始後に第三者が行う梱包については保険の填補を受けられます。被保険者や被雇用者以外が行う梱包なら問題ありません。

小損害が予想される貨物では、免責歩合(franchise)や超過額担保(excess)が適用される場合があります。これは被保険者の損害防止策を促す意味で設定されるものです。保険証券で免責金額の有無を確認してください。

遅延による損害は補償されないため、納期が重要な貨物では輸送スケジュールの余裕を持たせることが大切です。遅延が保険で担保された危険によるものでも、遅延そのものが原因の損害は免責となります。


参考)貨物保険の免責事項とは?トラブル時に“保険が下りない”落とし…


ジェトロの貨物海上保険ガイドでは、保険の種類と留意点について詳しく解説されています。通関業務で保険関連の疑問が生じた際の参考資料として役立ちます。
東京海上日動の外航貨物海上保険ページでは、補償内容や免責事由の詳細が確認できます。実務で保険条件を判断する際の信頼性の高い情報源です。
保険事故が発生した場合、初動対応と必要書類の準備が重要になります。事故発生時は速やかに保険会社または代理店に連絡し、損害状況を報告してください。保険金請求には船荷証券(B/L)、インボイス、パッキングリスト、損害明細書などが必要です。


貨物の種類によっては、all risks条件での引き受けができない場合もあります。高リスク貨物や特殊な輸送条件の場合、保険会社と事前に相談して適切な補償プランを設計することが大切です。保険料と補償範囲のバランスを考慮し、実際の輸送リスクに見合った保険条件を選びましょう。


参考)http://sec1.hokenforum.com/products/sonpo2008/pdf/23_nipponkoa_2008doc/23_27_2008.pdf




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