Open L/Cなら好きな銀行で買取可能ですが、Straight L/Cでは買取銀行指定により柔軟性が失われます。
Straight L/Cは信用状開設銀行により荷為替手形の買取銀行を指定された信用状のことで、Restricted L/C(買取銀行指定信用状)とも呼ばれます。信用状の一種として貿易実務で広く使われている形態です。
参考)Straight LC
Open L/Cは買取銀行が指定されていない信用状を指し、輸出者が自由に銀行を選択できる点でStraight L/Cと対照的です。Open L/Cでは輸出者が複数の銀行から条件の良い買取先を選べるメリットがあります。
参考)買い取り銀行指定信用状(Restricted L/C) …
買取銀行の指定は信用状条件に明記されており、輸出者はこの指定を確認してから船積準備を進める必要があります。指定された銀行以外での買取は原則として認められません。
参考)http://jyosai-smeca.com/old/kokusai/kokusaika_sien201606.pdf
譲渡可能信用状(Transferable L/C)は、受益者が信用状の全部または一部を第三者に一度だけ譲渡できる権限を持つL/Cです。信用状上にTransferableの文言が記載されており、中継貿易や3国間貿易にL/Cの保証が適用されます。
参考)譲渡可能信用状 (Transferrable L/C) …
譲渡には条件があり、L/Cが分割船積みを禁止している場合には分割譲渡はできません。また譲渡可能信用状は一般的ではないため、開設に際して銀行に譲渡の必要性などの説明が求められます。
Straight L/Cは買取銀行の指定に関する概念であり、譲渡可能性とは別の軸の分類です。したがって、Straight L/CかつTransferable L/Cという組み合わせも理論上は存在します。
つまり別々の特徴ということですね。
買取銀行は輸出者から船積書類と為替手形を受け取り、L/C条件との一致を確認した上で買取を実行します。買取では信用状発行銀行から輸出代金を受領するまで資金立替が発生します。
参考)L/C貿易とは?仕組みや流れ、メリット・デメリットを徹底解説…
信用状発行銀行は輸入者の依頼に基づいてL/Cを開設し、条件に合致した書類が提示されれば支払義務を負います。発行銀行の信用力が重要で、格付けの低い銀行の場合は支払いリスクが高まります。
通知銀行は開設銀行から受け取った信用状を輸出者に通知する役割を担います。通知銀行自体は支払保証を行わず、あくまで開設銀行と受益者の橋渡し機能です。
信用状を受領したら、まず買取銀行の指定内容を確認する必要があります。銀行名、支店名、SWIFT コードなどが正確に記載されているかチェックしてください。
船積期限、有効期限、提示期限の3つの期限は特に重要です。物流遅延の影響で船積期限の遅延リスクが高まっている点に留意が必要です。期限管理を怠ると代金回収ができなくなるリスクがあります。
L/C条件との書類不一致(Discrepancy)が発生すると、修正対応や買主との交渉が必要となり、支払い遅延や追加費用が発生するケースも珍しくありません。日付・数量・積載港などの誤記で支払いが保留または拒否されます。特にB/Lの記載違いはトラブルの典型例です。
L/G(保証状)扱いは、買取銀行と輸出者との間の「特約」としての効果がありますが、信用状発行銀行には支払いの義務はありません。
これは意外ですね。
つまりL/G扱いで書類不一致のまま買取してもらっても、発行銀行が拒絶すれば最終的に代金回収できないリスクが残ります。
B/L直送要求への対応も注意が必要です。L/C決済でB/Lを1通でも銀行を経由せず相手に送る行為は、貨物の銀行への担保機能というB/Lが本来持つ役割を失うことになります。銀行によっては買い取りをしないこともあります。
参考)輸出代金のL/C決済におけるB/L直送要求:日本
L/C取引の本来的な意味が失われ、掛け売りと同じことになってしまうのです。輸入者が倒産すれば代金や貨物の回収は事実上あきらめざるを得ません。
B/L直送は避けるのが基本です。
代替手段として、保証状(L/G)による貨物の引き渡しがあります。輸入者が後日原本を提出することを条件に、L/Gを船会社に差し入れて貨物を受領する方法で、通常船会社はL/C発行銀行の連帯保証を要求します。L/Gを入れれば貨物の引き取りは可能で、輸入者側での対処で済むので、B/Lを直送する必要はなくなります。
もう一つの方法は、海上運送状(Sea Waybill: SWB)の荷受人をL/C発行銀行とする方法です。本来の荷受人である輸入者は銀行に貨物引渡指図書(Release Order: R/O)を発行してもらい、それに対し運送人がデリバリー・オーダー(Delivery Order: D/O)を発行することで貨物を引き取ることができます。
L/C開設にあたっては銀行に手数料を支払う必要があり、誰が費用を負担するかについて国際的な統一ルールはありません。ただし通常は、買い手(輸入者)の属する国以外の場所で発生した銀行手数料(買取手数料やコンファーム手数料)は、すべて売り手(輸出者)の負担となります。
誰がL/C発行を頼んだのかという点に着目して、原則は輸入者負担となっています。しかし輸出者の取引銀行の手数料や、どこかを経由した場合のその経由銀行の手数料まで、輸入者に負担させるのは如何なものかとの観点から、L/C条件では輸入者の属する国以外の場所で発生した銀行手数料はすべて輸出者負担とするのが圧倒的多数です。
参考)L/C取引、銀行手数料と利息は誰が払う?
手数料の金額は銀行によって異なるので、L/C取引をする場合は契約を結ぶ前に自社が支払う手数料を把握しておく必要があります。銀行手数料だけで決済代金の1%ぐらいになる例もあります。
上記手数料以外に注意が必要なのは、L/Cの条件変更費用(アメンド費用)です。修正手数料は高額になりやすく、費用構造を理解していないとムダな支払につながる可能性があります。書類を正確に作成することが最大のコスト削減策ということですね。
L/C取引で発生する利息には2種類あります。一つは手形サイト(振出から決済までの期間)を問わず、輸出者が銀行に買取を依頼するときに発生する割引利息です。これは輸入者に関係のない話で100%輸出者負担です。
もう一つは手形サイトがユーザンス物(期間物)で発生する、振出日から満期日までの期間利息です。満期日まで決済を輸出者が待つという条件になりますので、これも輸出者負担です。
ところが実際のL/Cでは期間利息に関して、輸入者負担も多く目にします。これは当事者間の交渉により決まる部分で、契約時に明確にしておくことが重要です。
利息負担が曖昧だとトラブルになります。
船積書類の作成では、B/L(船荷証券)の正確性が最も重要です。B/Lは出荷された貨物の証明になり、受取人が貨物の所有権を得ることができます。Consignee(荷受人)欄の記載方法により、Order B/L(指図式船荷証券)とStraight B/L(記名式船荷証券)に分かれます。
記名式船荷証券(Straight B/L)は、荷受人の名前が特定されているので流通性がありません。ただし日本では裏書禁止の記載がない限り、第三者への譲渡が可能です。多くの国の海上物品運送法では第三者への譲渡はできないとされています。
参考)船荷証券(B/L)について
輸出者が船積書類と為替手形を買い手の銀行に送付し、輸入者が銀行から船積書類と為替手形を受け取る流れになります。書類の記載ミスは支払拒絶につながるため、細心の注意が必要です。
書類作成は正確さが命です。
L/C開設銀行の信用力が弱い場合、格付けの高い別の銀行が確認という形で支払い保証をし、信用を高めたL/Cが確認信用状(Confirmed L/C)です。カントリーリスクといったリスク要因がある場合に使われます。
開設銀行に加えて、開設銀行以外が支払い保証を行ったL/Cを確認信用状と呼びます。発行銀行でない銀行を「確認銀行(Confirming Bank)」といい、そこからこのL/Cの名前がつきました。
発行銀行の信用度が低い場合や、輸入国の政治・経済事情などから外貨送金に不安のある場合などに利用されます。Straight L/Cでも確認を付けることで、買取銀行のリスクを軽減できます。確認手数料は追加コストですが、安全性は向上します。
銀行リスクとして、発行銀行の信用低下・制裁対象化・破綻などにより支払い不能となる可能性があります。
格付けの低い銀行は特に注意が必要です。
L/Cは安全性が高い一方で、書類不一致・手数料増加・銀行リスク・期限管理など実務上の注意点が多く、仕組みを正しく理解していないとトラブルにつながります。近年は物流遅延の影響で船積期限の遅延リスクが高まっている点にも留意が必要です。
このリスク管理の観点から、取引開始前に発行銀行の格付けを確認する、複数の決済手段を検討する、保険を活用するといった対策が考えられます。発行銀行の財務状況が悪化している兆候がある場合は、確認信用状への変更を交渉するのも一つの手です。
貿易取引保険や信用状保険を活用すると、発行銀行の破綻リスクや政治リスクによる不払いリスクをカバーできます。保険料は発生しますが、高額取引や信用力の低い相手との取引では検討する価値があります。
リスクに応じた保険活用が重要です。
参考リンク:JETROの輸出代金決済に関する詳細情報
輸出代金のL/C決済におけるB/L直送要求:日本
Open L/Cでは輸出者が自由に買取銀行を選択でき、複数の銀行から条件の良い買取先を選べるメリットがあります。手数料の競争が働くため、コスト削減の余地があります。
一方でStraight L/Cは買取銀行が指定されているため、輸出者に選択の余地がありません。ただし発行銀行と買取銀行の関係が確立されている場合は、手続きがスムーズに進む可能性もあります。銀行間の信頼関係が構築されていれば、書類審査や資金決済が迅速に行われることがあります。
D/P(Documents against Payment:支払渡し)やD/A(Documents against Acceptance:引受渡し)といった荷為替手形取引は、L/Cより簡易な決済方法です。ただし銀行の支払保証がないため、信用リスクは高くなります。信頼関係が確立された取引先との継続取引に適しています。
T/T送金(Telegraphic Transfer:電信送金)は最もシンプルな決済方法で、手数料も安く済みます。前払い条件であれば輸出者のリスクは最小化できますが、輸入者側の負担は大きくなります。後払い条件では輸出者のリスクが高まるため、取引相手の信用力評価が不可欠です。
各方法にはメリット・デメリットがあります。