トランプ関税に強い株式銘柄で内需好調株を厳選紹介

トランプ大統領の相互関税政策により世界的な株安が進行する中、影響を受けにくい内需関連銘柄が注目されています。本記事では関税の影響を受けにくい国内企業や、米国でのサービス展開企業などを厳選して紹介します。あなたの資産を守るための銘柄選びのポイントとは?

トランプ関税に強い株式銘柄の選び方と注目企業

トランプ関税の影響と対策ポイント
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関税率の実態

日本への相互関税率は24%と、EUの20%より高く設定されています。中国34%、台湾32%など、アジア諸国への関税率は総じて高水準です。

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内需型企業の優位性

国内市場向けビジネスが中心の企業は、輸出依存度が低いため関税の直接的影響を受けにくい傾向があります。

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投資戦略のポイント

コンテンツ配信や版権ビジネス、国内サービス業など、物理的な輸出に依存しない企業に注目することが重要です。

トランプ関税ショックの概要と市場への影響

2025年4月、トランプ政権が発表した「相互関税」政策は世界的な株式市場に大きな衝撃を与えました。4月3日から自動車に25%の関税が課され、さらに半導体や医薬品に対する関税も近く発表されると宣言されています。この政策に対して中国や欧州は報復関税で対抗する構えを見せており、世界経済の冷え込みが懸念されています。

 

日本への相互関税率は24%と、EUの20%よりも高く設定されました。他の主要国・地域の関税率を見ると、中国34%、台湾32%、韓国25%、ベトナム46%など、アジア諸国への関税率は総じて高水準となっています。

 

この影響を受け、4月7日には日経平均株価が前日比2644円(7.8%)安という大幅下落を記録しました。野村證券は米国の関税政策を踏まえて、2025年末の日経平均株価予想を42,000円から36,000円へと下方修正しています。

 

このような状況下で、投資家はトランプ関税の影響を受けにくい銘柄を選別することが重要になっています。

 

トランプ関税に強い内需好調株の特徴と選定基準

トランプ関税の影響を受けにくい銘柄を選ぶ際の基本的な考え方は、「輸出依存度が低い企業」に注目することです。具体的には以下のような特徴を持つ企業が関税リスクに強いと考えられます。

 

  1. 国内市場向けビジネスが中心の企業
    • 日本国内での売上比率が高い企業
    • 海外展開をしていても現地生産が主体の企業
    • 国内消費者向けサービスを提供する企業
  2. 物理的な輸出に依存しないビジネスモデル
    • デジタルコンテンツ配信事業
    • 版権ビジネス
    • オンラインサービス提供企業
  3. 関税対象外の商品・サービスを扱う企業
    • 知的財産権ビジネス
    • 国内インフラ関連企業
    • 国内不動産関連企業

4月に入ってからの株価動向を見ると、情報・通信や小売業といった業績が海外動向に左右されにくい内需関連株が相対的に堅調でした。特に注目すべきは、4月に入って株価が上昇した銘柄数はわずか50社にとどまる中、その多くが内需関連企業だったという点です。

 

トランプ関税に強い株式銘柄の具体的な11選と投資ポイント

SBI証券の調査によると、「トランプ関税」に強いと考えられる主力銘柄として以下の11銘柄が挙げられています。これらの銘柄は年初来の株価騰落率や米大統領選挙以降の株価騰落率が良好な実績を示しています。

 

銘柄コード 銘柄名 年初来株価騰落率 大統領選挙以降の株価騰落率
7832 バンダイナムコホールディングス 32.4% 49.5%
8136 サンリオ 24.0% 40.5%
9766 コナミグループ 18.8% 23.9%
7011 三菱重工業 13.6% 11.6%
7575 日本ライフライン 10.8% 19.4%
9719 SCSK 10.8% 30.7%
6013 タクマ 10.6% 15.3%
9409 テレビ朝日ホールディングス 10.6% 30.8%
1893 五洋建設 8.7% 11.8%
8252 丸井グループ 7.4% 12.3%
9364 上組 2.0% 11.6%

これらの銘柄の特徴を分析すると、以下のような投資ポイントが見えてきます。

  1. エンターテイメント・コンテンツ関連企業:バンダイナムコHD、サンリオ、コナミグループなどは、知的財産権やコンテンツビジネスが中心で、物理的な輸出依存度が低い
  2. 国内インフラ関連企業:三菱重工業、タクマ、五洋建設などは国内需要が中心で、公共事業や国内インフラ整備の恩恵を受けやすい
  3. 国内サービス業:SCSK、テレビ朝日HD、丸井グループなどは国内消費者向けサービスが中心で海外依存度が低い

特に注目すべきは、GMOインターネットが4月に入って44.7%という高い上昇率を記録したことです。同社はインターネット広告の代理業を展開しており、グループ再編に伴うネット基盤事業の承継などによって2025年12月期の業績が急拡大する見通しとなっています。トランプ関税の影響を受けにくい内需好調株として買いが集まった好例と言えるでしょう。

 

トランプ関税下での米国市場で堅調な銘柄と投資戦略

トランプ関税の影響を考える上では、米国市場での動向も重要な参考になります。米国でも関税発表後に株価が上昇した銘柄があり、それらの特徴を分析することで投資のヒントが得られます。

 

SBI証券の調査によると、トランプ政権の「相互関税」が発表された翌日(4月3日)に株価が上昇した米国銘柄として、以下の5銘柄が注目されています。

  1. フィリップ モリス インターナショナル(PM)
  2. コカ-コーラ(KO)
  3. マクドナルド(MCD)
  4. AT&T(T)
  5. ギリアド サイエンシズ(GILD)

これらの銘柄に共通する特徴は、以下の点です。

  • 生活必需品・サービス関連企業が多い:コカ・コーラやマクドナルドなど、景気変動の影響を受けにくい企業
  • 国内サービス中心の企業:AT&Tなど、米国内でのサービス提供が中心の企業
  • 高い配当利回りを持つ企業:安定した収益と株主還元で投資家の支持を得やすい企業

また、関税の影響を受けにくいと考えられるサービス業の銘柄として、ネットフリックス(NFLX)、ウォルトディズニー(DIS)、ブッキング ホールディングス(BKNG)、モルガン スタンレー(MS)、ビザ(V)なども挙げられています。

 

これらの銘柄は、物理的な製品の輸出入に依存せず、デジタルコンテンツやサービス提供が中心のビジネスモデルを持っているため、関税の直接的な影響を受けにくいと考えられます。

 

トランプ関税と円安の複合効果を活かした投資戦略

トランプ関税の影響を考える上で見落としがちなのが、為替動向との複合効果です。関税政策によって円安が進行した場合、一部の企業にとってはマイナス要因がプラス要因に転じる可能性があります。

 

現在の状況を分析すると、以下のような投資戦略が考えられます。

  1. 円安メリットと内需の両立企業に注目
    • 国内売上比率が高いながらも、一部海外展開している企業
    • 円安による海外からの観光客増加の恩恵を受ける企業(ホテル、観光関連など)
    • 円安で国内回帰が進む産業に関連する企業
  2. 関税対象外の輸出企業の選別
    • デジタルコンテンツなど無形資産の輸出企業
    • 関税対象外の特殊素材・部品メーカー
    • 現地生産比率の高い海外展開企業
  3. 長期的な視点での投資判断
    • 関税政策は一時的な要因である可能性を考慮
    • 企業の本質的な競争力や成長性を重視
    • 配当利回りなど株主還元策が充実した企業に分散投資

特に注目すべきは、ダイヤモンド・ザイの調査で紹介されていた「コーエーテクモホールディングス」と「パルグループホールディングス」です。コーエーテクモHDは北米でのゲーム販売が好調であり、デジタルコンテンツ配信が中心のため関税の影響を受けにくいと考えられます。一方、パルグループHDは「3COINS」を展開する国内小売業で、海外依存度が低く内需中心のビジネスモデルを持っています。

 

これらの企業は、トランプ関税と円安の複合環境下でも堅調なパフォーマンスが期待できる銘柄と言えるでしょう。

 

トランプ関税に強い株式銘柄の長期投資視点での評価方法

トランプ関税は一時的な政策変更である可能性もあり、長期投資の観点からは、単に関税の影響だけでなく企業の本質的な競争力や成長性を評価することが重要です。長期投資家向けの評価方法として以下のポイントが挙げられます。

 

  1. 業績の安定性と成長性のバランス
    • 過去5年間の売上・利益成長率の推移
    • 景気変動に対する業績の安定性
    • 中長期的な成長戦略の実現可能性
  2. 財務健全性の評価
    • 自己資本比率の高さ
    • キャッシュフローの安定性
    • 有利子負債の水準
  3. 株主還元策の充実度
    • 配当利回りと配当成長率
    • 自社株買いの実施状況
    • 総還元性向の推移
  4. ESG要素の評価
    • 環境対応への取り組み
    • 社会的責任の遂行状況
    • ガバナンス体制の健全性

これらの観点から評価すると、前述の内需関連銘柄の中でも特に注目すべきは、バンダイナムコHD、コナミグループ、SCKSなどです。これらの企業は関税の影響を受けにくいだけでなく、デジタルトランスフォーメーションの進展やコンテンツ需要の拡大など、中長期的な成長トレンドの恩恵も受けやすいと考えられます。

 

また、三菱重工業や五洋建設などのインフラ関連企業も、国内の老朽インフラ更新需要や防災・減災投資の拡大など、中長期的な成長要因を持っています。

 

投資家は短期的な関税の影響だけでなく、これらの長期的な成長要因も考慮した銘柄選択を行うことが重要です。

 

トランプ関税の影響は一時的に市場を混乱させる可能性がありますが、冷静に企業の本質的な価値を見極め、長期的な視点で投資判断を行うことが、このような不確実性の高い環境下での資産形成の鍵となるでしょう。

 

野村證券が2025年末の日経平均株価予想を36,000円に引き下げたことからも分かるように、市場全体としては調整局面が続く可能性がありますが、そのような環境下でも堅調なパフォーマンスを示す内需関連銘柄に注目することで、ポートフォリオの安定性を高めることができるでしょう。