適合宣言書フォーマットと記載項目・作成手順を完全解説

適合宣言書のフォーマットは指令ごとに異なり、間違えると通関差し止めや市場回収につながる可能性があります。正しい記載項目・作成手順・保管義務を知っておきたくないですか?

適合宣言書のフォーマットと正しい作成手順・記載項目

適合宣言書(DoC)のフォーマットが「日本語」だと、EU輸出時に税関で差し止めを受けることがあります。


📋 この記事の3ポイントまとめ
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適合宣言書とは何か?

EU市場へ製品を輸出・販売するために必須の文書。製品がEU指令の必須要求事項を満たしていることを製造者自身が宣言するもの(Declaration of Conformity / DoC)です。CEマークの法的根拠となります。

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フォーマットの基本ルール

「標準モデル」は存在しますが、デザイン・フォント・レイアウトに指定はありません。ただし記載すべき必須項目は指令ごとに定められており、記載漏れは書類不備として通関時に差し止め対象になります。

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保管・更新の義務

適合宣言書と技術文書は最終製造日から最低10年間の保管義務があります。整合規格の改定や部品変更のたびに更新が必要で、怠ると事故発生時に「違反企業」として調査対象になるリスクがあります。


適合宣言書(DoC)とは何か|CEマーキングにおける役割

適合宣言書(Declaration of Conformity:DoC)は、EU市場に製品を出荷するうえで欠かせない法的文書です。製品名、製造者名、該当するEU指令、適用した整合規格、責任者のサインなどを記載し、「この製品はEUの法的要求を満たしている」と製造者自身が宣言します。いわば製品の「パスポート」のような存在です。


CEマーキングはあくまで「製品に貼るマーク」ですが、その法的根拠となるのがこの適合宣言書です。宣言書なしにCEマークを貼ることは違法行為とみなされます。CEマーキングの対象製品(電気機器、機械、玩具、個人用保護具など)を欧州市場へ輸出する場合、必ず作成・保持しなければなりません。


宣言書を作成できるのは、製造者(メーカー)またはメーカーが正式に認定した代理人(Authorized Representative)に限られます。つまり輸入業者や販売代理店が勝手に作成することは認められていません。これが基本です。


適合宣言書は「自己宣言」であるため、第三者認証機関(Notified Body)のサインは原則不要です。ただし、該当指令によってはノーティファイドボディの関与が必須となるケースもあり、その場合は宣言書に機関名・登録番号・証明書番号を記載する義務があります。


























項目 内容
英語名称 Declaration of Conformity(DoC)
作成者 製造者またはEU域内の正式代理人
主な対象 CEマーキング対象製品(電気、機械、玩具、PPE等)
保管義務 最終製造日から最低10年間
使用言語 EU公用語(日本語は不可)



EU各国の市場監視当局から提出要求があった際は、速やかに提出しなければなりません。これが条件です。


参考:適合宣言書の定義・記載要求の詳細(アシストCE株式会社)
適合宣言書 (EU Declaration of Conformity)とは|アシストCE株式会社


適合宣言書フォーマットの必須記載項目|指令別の違いも解説

「適合宣言書のフォーマットはどこかに決まった書式があるはず」と思っている方が多いですが、実は指定はありません。フォント、用紙サイズ、レイアウト、背景デザインに関しては自由です。意外ですね。


ただし、記載しなければならない必須項目は各EU指令によって定められており、それを漏らすことは許されません。EU委員会が「標準モデル(Standard Model)」を公開しているため、これを参考にするのが最も確実な方法です。以下は、ほとんどの指令に共通する必須記載項目です。



  • 📌 宣言書の識別番号:宣言書を特定するための一意の番号

  • 📌 製造者(または正式代理人)の名称と完全な住所

  • 📌 「本宣言は製造者の単独の責任において発行された」旨の記述

  • 📌 宣言の対象製品の識別:製品名、型番、モデル名、シリアル番号など

  • 📌 「対象製品は関連するEU法律に適合している」旨の記述

  • 📌 適用した整合規格の番号と年号(例:EN 60335-1:2012+A11:2014)

  • 📌 ノーティファイドボディの情報(該当する場合のみ:名称・番号・証明書番号)

  • 📌 宣言者の署名・氏名・役職・発行場所・日付


指令ごとの記載内容に差があるため、複数の指令が対象の製品では注意が必要です。たとえば低電圧指令(LVD:2014/35/EU)、EMC指令(2014/30/EU)、RoHS指令(2011/65/EU)が同時にかかる電気製品の場合、それぞれの指令の要求を1枚の宣言書にまとめることが義務付けられています。複数枚に分けることは認められません。これが原則です。


機械指令(2006/42/EC)では特に注意が必要で、「EU域内のコンパイラ(技術ファイル編纂者)の名称・住所」の記載が追加で求められます。また、半完成品(Partly Completed Machinery)の場合は「組込宣言書(Declaration of Incorporation)」が別途必要で、通常の適合宣言書とは記載要件がまったく異なります。これは見落としがちな落とし穴です。


製品が複数のモデルを含む「ファミリーモデル」として宣言する場合、すべてのモデル名を列記するか、モデル名の命名規則(例:QWEnnn-XXのような表記体系)を明示する必要があります。「QWEシリーズ」とだけ書いた宣言書では、特定のモデルが本当に適合対象かどうか確認できないため、書類不備として是正要求を受けることがあります。


参考:ジェトロ(JETRO)によるCEマーキング自己宣言ガイドブック(2023年版)
自己宣言のためのCEマーキング適合対策実務ガイドブック|JETRO(PDF)


適合宣言書フォーマットの言語規定|日本語は使えない理由

ここは関税・輸出実務に関わる人が最も見落としやすいポイントです。適合宣言書は日本語で作成することが認められていません。EU公用語(英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語など24言語)のうち少なくとも1つで作成する義務があります。


具体的には、「製品が販売・流通するEU加盟国の公用語」で提供することが求められます。たとえばドイツ市場向けにはドイツ語版、フランス市場向けにはフランス語版が必要です。EU全域で流通させる場合は、全24公用語を記載した宣言書を用意するか、各国語版を別途準備する方法があります。


実務的には英語版を「オリジナル」として作成し、各国語版をその翻訳として提供する企業がほとんどです。翻訳版には「オリジナルの宣言書の翻訳である」旨の記述が必要で、原本のコピーを添付することが推奨されます。英語が最も一般的かつ推奨される言語です。


日本の輸出実務では「英語で書いているから大丈夫だろう」と思いがちですが、フランスやポーランドへの輸出で現地語の宣言書が求められ、英語版しかなかったために通関が滞ったというケースは実際に存在します。痛いですね。


使用言語の問題は「書類の形式的な誤り」として、通関差し止めの直接原因になります。輸出先の加盟国が複数にわたる場合は、事前に必要言語のリストを確認して宣言書を準備しておくことが不可欠です。対策として、翻訳専門業者(欧州安全規制対応の翻訳に強い業者)への依頼も有効な手段です。






















対応方法 メリット デメリット
英語版1種のみ 作成コストが低い 英語圏外では現地語版を追加要求されるリスクあり
全EU公用語(24言語)対応 EU全域で通用 翻訳・管理コストが大きい
販売先国の現地語+英語 コストと安全性のバランスが良い 販売先が増えるたびに追加が必要




参考:CEマーキング指令における言語義務の実務解説
欧州CEマーキング・海外製品安全規制に要求される翻訳とは|ベリタス翻訳


適合宣言書作成の手順とよくあるミス|フォーマット記入時の注意点

適合宣言書を作成するには、まず「宣言できる状態」になっていることが前提です。これが大原則です。つまり、単に書類を整えるだけでなく、製品が実際にEU指令の必須要求事項を満たしていることを、リスクアセスメント・試験・技術文書によって裏付けてからでなければ宣言書に署名することはできません。書類だけ作って製品が未対応という状態は、摘発時に重大な法的リスクを招きます。


適合宣言書を作成する大まかな手順は以下の通りです。



  1. 🔍 該当指令・整合規格の特定:製品カテゴリに応じて適用されるEU指令をリストアップする

  2. 🧪 リスクアセスメントと試験の実施:整合規格(EN規格)に基づく試験を行い、テストレポートを作成

  3. 📂 技術文書(テクニカルファイル)の整備:設計図、回路図、部品表、リスクアセスメント報告書などを一式まとめる

  4. ✍️ 適合宣言書の作成・署名:必須項目を漏れなく記載し、責任者が自筆サインをする

  5. 📦 製品へのCEマーク貼付:宣言書と技術文書が揃ってから初めてCEマークを貼ることができる


実務でよく見られるミスのひとつが「タイプミス・表記揺れ」です。製品ラベルと宣言書で型番の大文字・小文字が異なる、住所のビル名の有無が食い違うといった細かい不一致でも、税関職員や市場監視当局が「別の製品では?」と判断して書類不備扱いにするケースがあります。


宣言書に署名できる人物についても注意が必要です。「当局からの提出要求に対応できる立場の人物」が署名者として適切とされており、社長・品質保証部門責任者・開発設計部門責任者などが一般的です。法的責任の所在を明確にするという意味でも、誰でもよいわけではありません。


また、製品仕様の変更・使用部品の変更・指令や整合規格の改定があった場合は、技術文書を更新したうえで宣言書も再発行しなければなりません。一度作って終わりではありません。これは必須です。宣言書はいつでも最新状態であることが前提で、古いバージョンのまま出荷し続けることは違反になりえます。


参考:適合宣言書作成の注意点・よくある間違い(機械安全の設計手法)
EU適合宣言の必須項目とよくある間違い|機械安全の設計手法


適合宣言書の10年保管義務と違反リスク|輸出担当者が知っておくべき罰則

適合宣言書(DoC)および技術文書は、製品の最終製造日から最低10年間保管する義務があります。これは「出荷して終わり」ではなく、製品がEU市場に出回っている間ずっと続く責任であることを意味します。10年という期間は、新卒で就職してから転職を2回するくらいの長さです。長期にわたる変更管理が不可欠です。


保管義務を怠った場合の最大のリスクは、製品事故が起きたときです。EU各国の当局は事故調査の開始後、製造者に対して技術文書と適合宣言書を「約1週間以内」に提出するよう要求するケースがあります。提出できなければ、規則を守らない企業として扱われ、徹底的な調査対象になります。これは避けたいですね。


違反が発覚した場合の罰則は国によって異なりますが、主な制裁内容は以下のとおりです。



  • 🚫 市場への出荷停止・製品の回収命令

  • 🔓 違反企業名のRAPEX(EU製品安全警告システム)への公開

  • 💰 罰金(例:EMC指令違反では100,000ドイツマルク相当の罰金)

  • ⛔ 操業停止処分・拘置措置(重大な違反の場合)

  • 🏭 製造物責任(PL法)に基づく民事訴訟リスク


有名な事例として、2001年にソニーの「PS one」がオランダの港でカドミウム超過を検出され輸入差し止めとなり、約130億円の売上損失を被った事件があります。CEマーキングの書類不備による通関差し止めも、規模は違えど同様の「出荷ストップ→損失発生」の構造です。


CEマーキングに関する違反が発覚する主なタイミングは3つ:①通関時の書類チェック、②EU域内での据付・使用時の安全査察、③製品事故・労働災害の発生時です。特に③は製造物責任の問題へと発展する可能性が高く、弁護士の関与が不可欠になります。


2027年からは新しい機械規則(Regulation (EU) 2023/1230)が全面適用される予定で、適合宣言書の要件もさらに厳格化されます。今から書類管理体制を整えておくことが、長期的な欧州輸出リスクを減らすための最善策です。


参考:CEマーキング違反と罰則事例(東京都立産業技術研究センター)
FAQ「CEマーキング」一覧|東京都立産業技術研究センター


参考:CEマーキング違反の実例とリスク詳細
欧州輸出におけるCEマーキング違反と罰則|事例・対策まとめ