消費生活用製品安全法の対象品目と輸入規制の完全ガイド

消費生活用製品安全法の対象品目とPSCマーク制度を徹底解説。特定製品・特別特定製品の全品目から輸入時の義務、罰則まで網羅。あなたの輸入ビジネスは本当に法律を満たしていますか?

消費生活用製品安全法の対象品目と輸入規制の完全ガイド

PSCマークのない特定製品を中古でも販売すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。


📋 この記事のポイント3つ
📦
特定製品は全12品目

消安法では「特定製品」「特別特定製品」「子供用特定製品」の3カテゴリに分けて計12品目を規制。PSCマークなしの販売は一切禁止です。

🚢
輸入事業者には保険加入義務あり

特定製品を輸入して販売するには、被害者1人当たり1,000万円・年間3,000万円以上を補償できる損害賠償保険への加入が法的に義務付けられています。

⚖️
2025年12月から海外販売者も規制対象

2025年12月25日の法改正施行により、国内に輸入事業者を介さずに直接日本の消費者へ販売する海外事業者も「特定輸入事業者」として規制の対象になりました。


消費生活用製品安全法の対象品目(特定製品)の全一覧

消費生活用製品安全法(以下、消安法)は、一般消費者が日常的に使う製品の安全性を確保するために設けられた法律です。この法律の中で特に危険性が高いと政令で指定された製品を「特定製品」と呼び、PSCマーク(Product Safety of Consumer Products)なしでは販売・陳列が一切できません。


特定製品は大きく2種類に分けられます。事業者が自社で検査できる「特定製品(自己確認品目)」と、さらに厳格な第三者機関の検査が必要な「特別特定製品」です。


【特別特定製品】4品目(第三者機関の検査が必要)


| 品目 | 主な対象例 |
|---|---|
| 乳幼児用ベッド | ベビーベッド(揺動型を除く) |
| 携帯用レーザー応用装置 | レーザーポインター、レーザー照準器、放射温度計 |
| 浴槽用温水循環器 | ジェットバス、24時間風呂 |
| ライター | 使い捨てライター、多目的ライター(点火棒) |


【特定製品(自己確認品目)】8品目


| 品目 | 主な対象例 |
|---|---|
| 家庭用の圧力なべ及び圧力がま | 圧力なべ、高圧力になる炊飯器 |
| 乗車用ヘルメット | バイク用フルフェース・ハーフ型ヘルメット |
| 登山用ロープ | ザイル(主身体確保用) |
| 石油給湯機 | 石油給湯器 |
| 石油ふろがま | 石油ふろがま |
| 石油ストーブ | 石油ストーブ |
| 磁石製娯楽用品 | マグネットセット |
| 吸水性合成樹脂製玩具 | 水で膨らむボール |


磁石製娯楽用品と吸水性合成樹脂製玩具の2品目は、2023年(令和5年)6月19日に新たに追加されました。対象品目は増え続けているということです。子どもが誤飲して腸閉塞や消化管穿孔を引き起こす事故が相次いだことが背景にあります。


なお、消安法には「対象外」の製品カテゴリも法律の別表で明確に定められています。船舶・自動車・原動機付自転車・高圧ガス容器・医薬品・医薬部外品・化粧品・食品・消火器具などは、それぞれ別の個別法によって安全規制が設けられているため、消安法の対象から除外されています。


経済産業省のPSCマーク制度・対象品目の公式一覧はこちらで確認できます。対象外品目の詳細な別表も掲載されています。


経済産業省:消費生活用製品安全法 対象品目・マーク一覧(公式)


消費生活用製品安全法の対象品目を輸入するときの必須手続き

輸入して日本国内で販売するためには、PSCマークを自分で付ける義務があります。海外製品には当然PSCマークは付いていません。そのため、輸入事業者として一定の手続きを踏んでからでなければ、特定製品を販売することは違法です。


手続きは以下の順序で進めます。


ステップ1:損害賠償保険への加入
被害者1人当たり1,000万円以上、かつ年間3,000万円以上を限度額とする損害賠償責任保険契約に加入(被保険者となる)ことが必要です。これは法的義務です。


ステップ2:製造・輸入事業者の届出
経済産業大臣(経産省)に対し、氏名・住所・特定製品の型式区分などを届け出る必要があります。届出の際には、加入している保険の証書の写しなどを添付します。


ステップ3:自主検査の実施
自らが行う検査によって技術基準への適合を確認し、検査記録を作成・保存する義務があります。記録を作成しなかった場合は30万円以下の罰金の対象になります。記録保存も必須です。


ステップ4(特別特定製品のみ):登録検査機関による適合性検査
特別特定製品(ライター・レーザーポインター・ベビーベッド・浴槽用温水循環器)については、第三者の登録検査機関による適合性検査を受け、証明書の交付を受けることが義務付けられています。


ステップ5:PSCマークの表示
上記の義務をすべて満たした後にはじめて、製品にPSCマークを表示することができます。特定製品は円形のPSCマーク、特別特定製品はひし形のPSCマークを使います。




重大事故が発生した場合には、事故を知った日から10日以内に消費者庁長官へ報告する義務もあります。この報告を怠ると、体制整備命令の対象になります。輸入者として販売する以上、アフターフォローの体制整備も必須です。


輸入品に必要な表示・マーク・手続きを網羅したガイドとして、MIPROが発行する以下の資料が参考になります。


MIPRO:輸入品の安全確保の手引き2025(PDF)


消費生活用製品安全法の対象品目を違反した場合の罰則・リスク

PSCマークなしの特定製品を販売した場合のペナルティは、想像以上に重いです。


具体的には、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方(併科) が科せられる可能性があります(消安法第58条~第62条)。


さらに見落としがちなポイントがあります。PSCマークのない特定製品は、中古品であっても同様に販売禁止です。これは古物商や個人でフリマアプリを使う人にとっても無関係ではありません。たとえば、PSCマークのついていないバイク用ヘルメットをメルカリ等に出品・陳列した行為だけでも、違反と判断される可能性があります。


加えて、以下のような場面でも罰則が発生します。


- 📌 検査記録を作成・保存していなかった場合:30万円以下の罰金
- 📌 危害防止命令・体制整備命令に違反した場合:1年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 📌 虚偽の重大製品事故報告をした場合:罰金刑の対象


「陳列しただけ」で違反になるという点も注意が必要です。実際に売らなくても、棚に並べた・出品ページを公開したという状態で違反と判断されるケースがあります。


愛知県警察のウェブサイトでは、古物商がPSCマーク対象特定製品を取り扱う際の注意事項を詳しく解説しています。


愛知県警察:消費生活用製品安全法の特定製品を扱う古物商の方へ


消費生活用製品安全法の対象品目が2025年12月に大幅拡大した背景

2025年(令和7年)12月25日、改正消費生活用製品安全法が施行されました。この改正は2点の大きな変化をもたらしています。


変化①:「子供用特定製品」という新カテゴリの新設


乳幼児用玩具(3歳未満向け)と乳幼児用ベッドが「子供用特定製品」として指定されました。これに伴い、3歳未満向けのおもちゃを製造・輸入・販売する事業者は、「子供PSCマーク」(子供の顔をかたどった専用マーク)を製品に表示することが義務付けられています。


従来のPSCマークとは別のマークが必要になった点が重要です。輸入玩具ビジネスを行っている方は、従来のPSCマーク制度とは別に、子供PSCマークの取得手続きが必要になります。


変化②:海外事業者が「特定輸入事業者」として新たに規制対象化


これまでは、日本国内の輸入事業者が規制を負っていました。しかし今回の改正で、越境ECなどを通じて日本の消費者に直接PSCマーク対象製品を販売する海外事業者も、「特定輸入事業者」として届出を義務付けられました。国内管理人の選任が必要な点も新しい要件です。


この改正の背景には、中国などの海外通販サイト経由での製品事故が急増したことがあります。Amazonや楽天などの取引DPF(デジタルプラットフォーム)を経由して国内に流入する外国製品の安全管理が問題視されていました。つまり関税や輸入ビジネスに関わる方ならば、この法改正は直接影響してくる話です。


国民生活センターが発行している改正消安法の解説誌も参考になります。


国民生活センター:改正消費生活用製品安全法の概要(PDF)


消費生活用製品安全法の対象品目を輸入ビジネスで扱うための実践的チェックリスト

特定製品を輸入ビジネスに組み込む際は、「知らなかった」では済まされない世界です。ここでは、輸入事業者として実際に取るべきアクションを整理します。


✅ STEP 1:取り扱う品目が特定製品かどうかを確認する


まず経産省の公式ページで、輸入しようとしている製品が「特定製品」または「特別特定製品」に該当するかを確認します。対象品目は随時更新されているため、一度確認しただけでは不十分です。


✅ STEP 2:特別特定製品かどうかで手続きを分ける


ライター・レーザー応用装置・浴槽用温水循環器・乳幼児用ベッドの4品目(特別特定製品)は、登録検査機関の検査が追加で必要です。費用と時間が通常の特定製品より多くかかります。


✅ STEP 3:PL保険(製造物責任保険)の見直し


法律上の最低ラインは「被害者1人当たり1,000万円・年間3,000万円以上」の補償です。これを満たすPL保険に加入しているかを確認します。未加入のまま届出もせずに販売すると、違反になります。


✅ STEP 4:事業届出の提出


届出を行わずに特定製品を輸入・販売すると、PSCマークを付ける権限がなく、法律違反状態で販売していることになります。保険証書のコピーを添付して経産省へ届け出ます。


✅ STEP 5:自主検査と記録の保存体制を整える


検査記録の保存義務があります。抜き打ちの立入検査が行われることもあるため、記録をきちんと残す仕組みを最初から作っておくことが重要です。


✅ STEP 6:子供用製品なら子供PSCマーク対応も確認


2025年12月25日施行の改正で、3歳未満向け玩具は従来のPSCマークとは別に「子供PSCマーク」が必要になりました。子供向けグッズを扱うなら、このマーク取得の手続きも並行して進める必要があります。




特定製品を輸入する場合の具体的な届出様式や技術基準の詳細については、経産省が公開している「法令業務実施ガイド」が非常に役立ちます。PDFで全文が公開されており、最新版(2025年8月改定)が利用可能です。


経済産業省:消費生活用製品安全法 法令業務実施ガイド(2025年8月版・PDF)