通関業務従事者は職務上インサイダー取引規制の対象になる可能性があります。
東京証券取引所は日本最大の金融商品取引所で、2022年4月に市場再編が行われました。
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現在は3つの市場に分類されています。最上位のプライム市場はグローバル投資家との対話を重視する大企業向けで、流通時価総額100億円以上という厳格な基準が設けられています。スタンダード市場は十分な流動性とガバナンス水準を備えた企業向け、グロース市場は高い成長可能性を持つベンチャー企業向けです。
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旧東証一部に相当するプライム市場は、単なる名称変更ではありません。上場基準と維持基準が旧制度より厳格化されており、企業統治の質が大幅に向上しています。
2024年11月5日から、取引時間が70年ぶりに変更されました。従来15時だった取引終了時刻が15時30分に延長され、15時25分から15時30分はクロージング・オークションという新制度が導入されています。30分の延長ですね。
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取引時間は前場が9時から11時30分、後場が12時30分から15時30分です。
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東証プライム市場では、輸出関連企業が圧倒的な存在感を示しています。
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「自動車」「機械」「電機機器」の3セクターで時価総額の合計は190兆円にのぼり、東証プライム市場全体の28%を占めています(2022年末時点)。これは東京ドーム約4万個分の経済規模に相当する巨大な市場です。
日本からの輸出先はトップが中国で1641億ドル(全体の21.6%)、次が米国で1353億ドル(17.8%)となっており、2カ国で輸出額全体の4割近くに達します。つまり中国と米国の経済動向次第で、日本の株式市場が大きく左右される構図ですね。
大企業の直接輸出企業割合は28.1%、海外向けの直接投資企業割合は32.0%です(2021年度)。中小企業でも直接輸出割合は21.0%、直接投資企業割合は14.2%となっており、多くの上場企業が輸出入業務に関わっています。
参考)https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/chusho/b1_3_8.html
通関業務従事者として日々扱う貨物の多くが、これらの上場企業の製品である可能性が高いということです。
為替レートの変動は、株式相場全体に大きな影響を与えます。
参考)円安で上がる株・円高で上がる株 為替が業績と株価に与える影響…
円安になると輸出企業の業績が押し上げられる仕組みです。トヨタ自動車の場合、わずか1円の円安で営業利益が450億円も増加します。2021年の例では、米ドルの想定レートが107円だったのに対し実際の決算時は110円だったため、為替変動の影響だけで営業利益が2550億円押し上げられました。
参考)円安になると株価は上がるのか?!為替と株価の関係
主要77社の2023年4月から9月期の営業利益は、前年同期比で約8100億円押し上げられましたが、その約半分が円安によるものでした。為替が業績の半分を決めるということですね。
一方で円高メリットを受ける企業も存在します。食品・飲料メーカーや製紙メーカーなど、原材料を輸入に依存する企業は円高によって輸入コストが下がり、採算が改善します。日本製紙は急速な円安によるコスト増に対応するため、2023年11月に紙パック製品を10%値上げすると発表しました。
ただし為替の影響にはタイムラグがあります。実際の輸出入決済における為替レートは、貨物の到着タイミングや物流の状況、相手先との取り決めによって異なるためです。
通関業務従事者には、株式投資において特別な注意が必要です。
参考)https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/attention/trading/stock_03.html
インサイダー取引規制は、会社関係者だけでなく「会社関係者から未公表の重要事実の伝達を受けた者(情報受領者)」も対象となります。つまり会社関係者でなくても、規制の対象になる可能性があるということです。
通関業務では輸出入申告の過程で、上場企業の未公表の重要事実を知り得る立場にあります。例えば大量の製品輸出や新規設備の輸入など、企業の業績に影響を与える情報を職務上把握することがあるでしょう。
参考)通関業者に通関業務を委託する際の注意点:日本
重要事実には「親会社の異動」「債権者による破産手続開始の申立て」「手形交換所による取引停止処分」などが含まれます。これらの情報が未公表の段階で株式を売買すると、インサイダー取引規制違反となります。
参考)インサイダー取引規制
違反者には証券取引等監視委員会による刑事告発や課徴金納付命令が行われます。罰則だけでなく、違反行為によって得た経済的利益相当額を基準とした課徴金を国庫に納める必要があります。職を失うリスクもありますね。
対策として、職務上知り得た情報に関連する企業の株式は取引しないという原則を徹底することが重要です。もし投資する場合は、公表済みの情報のみに基づいて判断し、職務上の情報とは完全に切り離して考える必要があります。
株式投資を始めるには、証券会社で口座を開設する必要があります。
参考)株式投資初心者は何から始める?|始める前の注意点も解説
ネット証券なら手数料が安く、24時間いつでも取引注文が可能です。会社員でも前日夜の注文や昼休みの取引、PTS(私設取引システム)夜間取引を活用することで、投資と仕事を両立できます。PTSを使えば夜間でもリアルタイムで株式取引ができるということですね。
初心者が注意すべき点は、元本割れのリスクです。株式投資は勉強せず闇雲に購入すると、元本割れや借金などのリスクを負う可能性があります。
通関業務従事者としての強みを活かすなら、為替変動と輸出入企業の関係性を理解した投資戦略が有効です。円安局面では自動車・機械・電機機器などの輸出関連株、円高局面では食品・製紙などの輸入依存企業の株式に注目することで、市場の動きを先読みできる可能性があります。
ただし前述のインサイダー取引規制を常に意識し、職務上の情報と投資判断を厳密に分離することが絶対条件です。自分が通関業務で関わった企業の株式は避け、公表情報のみに基づいて投資先を選定しましょう。
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日本取引所グループのインサイダー取引規制ページでは、具体的な規制内容と違反事例が詳しく解説されています。株式投資を始める前に必ず確認してください。
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