あなたの通関書類の書き方ひとつで、数百万円単位の炭素コストが発生するケースがあります。
通関業務の前提として、まず環境負荷の定義を正確に押さえる必要があります。日本の環境基本法では、人の活動により環境に加えられる影響で、環境保全上の支障の原因となるおそれのあるものを「環境への負荷」と定義しています。[1]
つまり、単純なCO2排出だけでなく、大気汚染物質、水質汚濁、廃棄物の発生なども含まれる概念です。 つまり広い概念です。[2]
通関の現場では、貨物の輸送、保管、梱包、さらには輸出入に伴う書類やIT機器の利用までが、企業の環境負荷としてLCAやカーボンフットプリントの算定対象になります。 ここが基本です。[3][4]
特に近年は、「製品ライフサイクル全体での環境負荷」が重視され、原材料調達から製造、流通、使用、廃棄・リサイクルまでの全工程での影響を定量評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)が各国で標準的な手法になっています。 LCAが原則です。[5][3]
このような背景から、通関担当者の扱う輸送条件やインコタームズの設定、書類上の重量・数量情報は、そのまま企業の環境負荷算定に直結する重要データになっています。 結論は、通関情報が環境指標の入口ということです。
参考)流業業界におけるLCA算定のポイントをカンタン解説!|CO2…
環境用語集「環境負荷」解説(環境省系サイトで定義と法令上の位置付けを確認できる部分の参考リンク)
環境用語集:環境負荷|EICネット
LCAは、製品やサービスの原材料調達から生産、流通、使用、廃棄・リサイクルまでの全ライフサイクルにおける環境負荷を定量的に評価する手法です。 つまり一気通貫の評価です。[3][5]
物流・通関の場面では、工場から港湾・空港までの国内輸送、国際輸送、輸入後の国内配送といった「輸送プロセス」が、LCA結果の中で非常に大きな比率を占めるケースが多く報告されています。 物流が鍵です。[7][8]
例えば、あるLCA研究では、製品ライフサイクル全体の温暖化負荷の中で、物流段階が占める比率を製品分類ごとに比較し、輸送距離100km、輸送手段、積載率などの前提でCO2排出量を算出しています。 こうした前提条件は、通関書類のインボイス重量や輸送モードの実態と強く結びつきます。[8]
具体的な輸送モード別の環境負荷の例として、海上輸送はトラックの約5分の1、航空機の約10分の1のCO2排出量であると示す物流解説もあります。 はがき1枚分(10g)程度の貨物を想像すると、同じ距離でも航空便よりもコンテナ船の方が、その小さな荷物1個あたりのCO2が大きく抑えられるイメージです。つまりモード選択が効きます。
参考)輸送船のメリットを解説!大量輸送・コスト・環境負荷の最新比較…
このため、輸出入貨物の輸送条件を決める局面で、通関担当がモーダルシフト(トラックから鉄道・船舶へ切り替え)などの情報を社内にフィードバックすると、LCAによる環境負荷削減の検討余地が大きく広がります。 ここに通関の出番があります。
参考)脱炭素にも有効なモーダルシフトで国内外の輸送をつないだ事例
ライフサイクルアセスメント解説ページ(LCAの具体的なステップと算定例、通関・物流の位置づけを補足的に確認できる部分の参考リンク)
LCA(ライフサイクルアセスメント)とは?|SHIZENハッチ
企業の温室効果ガス排出量は、Scope1(自社の直接排出)、Scope2(購入電力などの間接排出)、Scope3(サプライチェーン全体のその他の間接排出)に分けて管理されます。 Scope3が重要です。[7]
通関担当が深く関わるのは、Scope3の中でも「カテゴリ4:上流の輸送・配送」や「カテゴリ9:下流の輸送・配送」であり、原材料や製品の輸送に関わる排出量を把握する際に、インボイス重量や輸送距離、輸送手段に関するデータが不可欠です。 ここが条件です。[12][7]
物流領域では、輸送距離と重量、輸送手段に排出係数を掛け合わせるトンキロ法によってCO2排出量が算定されるため、通関書類に記載された重量と実際の輸送モードの整合性が、Scope3算定の精度に直結します。 つまり実務データが数字になります。[12]
多くの業界で、物流はサプライチェーン全体の排出量の中で最大級の比率を占めるとされており、再配達や少量・高頻度配送が増えると排出量が増加することも指摘されています。 痛いですね。
参考)Scope3とは?定義や仕組み・算定方法・物流事業者が関与す…
このため、通関担当が配送条件の見直しや集約輸送の検討に関する社内議論に参加し、「どのインボイスはどの輸送ルートで、どのくらいのトンキロになるのか」を整理しておくと、Scope3削減のための現実的な対策が取りやすくなります。 結論は、通関部門がデータのハブになることです。
Scope3と物流の関係を整理した解説(カテゴリ4・9の具体的な算定ステップとトンキロ法について詳しい部分の参考リンク)
Scope3とは?物流事業者が関与する排出の全体像
輸送に伴う環境負荷を削減する実務的なアプローチとして、モーダルシフトとCO2排出量の「見える化ツール」の活用が広がっています。 いいことですね。[13][10]
例えば、日本通運の事例では、工場から港までトレーラー輸送していたコンテナを鉄道輸送へ切り替えることで、大量貨物を短時間で効率的に輸送しつつ、CO2排出量と輸送コストの両方を削減しています。 東京港から長野まで約250kmをトレーラーだけで輸送していたケースを、鉄道用5トンコンテナに積み替えるスキームに変えたところ、環境負荷とコストの双方でメリットが出たと報告されています。[10]
また、大和ハウス工業の工場間輸送では、500km以上の長距離輸送についてトラックからJRコンテナ貨物輸送へ切り替えるモーダルシフトを行い、トータル物流コスト削減とCO2排出量低減を同時に実現した事例があります。 500kmといえば東京から神戸間に近い距離で、この区間を大型トラックではなく鉄道コンテナで運ぶイメージです。モーダルシフトが基本です。
参考)モーダルシフト事例—大和ハウス工業株式会社
通関担当者の立場では、こうした事例を踏まえ、長距離・大量輸送が発生するインボイスに対して、輸送部門やフォワーダーと連携してモーダルシフトの可能性を検討することで、自社の環境負荷削減と顧客への提案価値向上につなげられます。
さらに、海外輸送CO2計算ツール(例:NX-GREEN Calculator)のように、発地・着地・貨物量を入力するだけで、輸送モード別のCO2排出量を自動計算できるサービスも提供されています。 これは使えそうです。
参考)海外輸送 CO2計算ツール(NX-GREEN Calcula…
こうしたツールを使えば、例えば「上海港からロッテルダム港まで20フィートコンテナ1本を海上輸送した場合」と「同じ貨物を航空輸送した場合」のCO2排出量を比較し、環境負荷とコストのバランスを社内に提示できます。 通関担当が輸送条件のヒアリング段階でCO2排出量の試算を行い、結果を一枚の資料にまとめておくことが、環境負荷削減と顧客向け提案の両方の武器になります。
モーダルシフトとCO2計算ツール紹介(具体的なモーダルシフト事例とCO2試算ツールの機能を確認できる部分の参考リンク)
海外輸送 CO2計算ツール(NX-GREEN Calculator)
EUが導入する国境炭素税CBAM(Carbon Border Adjustment Mechanism)は、輸入品の生産に伴う温室効果ガス排出量に応じて課金する仕組みで、2026年1月から本格運用が開始されます。 これは必須です。[14][15]
CBAMの本格実施後、EUの輸入業者は毎年、前年度に輸入した対象製品の数量と温室効果ガス排出量を申告し、その排出量に相当するCBAM証書を購入して提出する義務があります。 このとき、排出量の算定には生産拠点ごとの直接排出・間接排出、すでに支払われたカーボンプライスなどの情報が求められます。[15][16][14]
通関実務の観点では、CBAM対象品目(鉄鋼、アルミ、セメント、肥料、電気、水素など)の輸出入に関して、HSコードの正確な分類と原産地情報の精度が、炭素コストの算定や申告義務の有無を左右します。 どういうことでしょうか?
参考)国境炭素税:EU-CBAMへの戦略対応で新たな勝機を拓く
例えば、1トンあたり数十ユーロ〜百ユーロ規模のCO2価格が想定されるEU ETSと連動したCBAMでは、製品1ロットで数百ユーロ、年間では数十万ユーロ規模の負担差が生じる可能性があります。 これは、パレット数十枚、コンテナ数本といったオーダーの輸出案件で、インボイス重量や製品分類の違いが、そのまま「炭素関税」の計算ベースになることを意味します。
参考)https://ecovadis.com/ja/regulations/carbon-border-adjustment-mechanism-cbam/
通関担当としては、EU向けの対象製品について、サプライヤーからの排出データ取得状況やCBAM登録状況を確認し、輸入者・輸出者に対して必要な情報の事前収集を促すことが、法的リスクとコスト増を防ぐうえで重要になります。 CBAMに注意すれば大丈夫です。
参考)EUの国境炭素税 CBAM(炭素国境調整措置)とは? | R…
また、環境負荷の高い製品・輸送ルートから、より低負荷な選択肢へ切り替える余地がある案件では、通関担当がLCAやScope3の視点を持ち、社内のサステナビリティ部門と連携して輸送条件や調達先の見直しを提案することで、炭素コストを抑えつつ国際競争力を維持する戦略づくりに貢献できます。 結論は、環境負荷を知らないと関税で損をする時代だということです。
参考)301 Moved Permanently
EU CBAMと通関への影響解説(制度の仕組みや2026年以降の運用、輸入者の義務を詳しく確認できる部分の参考リンク)
EUの国境炭素税 CBAMとは?概要と企業への影響