貨物利用運送事業法改正で義務化される実運送体制管理簿と通関業務への影響

2025年4月施行の貨物利用運送事業法改正により、通関業務従事者にも大きな影響が出ています。実運送体制管理簿の作成義務化や書面交付義務など、新たなルールを正しく理解していますか?

貨物利用運送事業法改正の概要と通関業務への影響

改正法は2026年4月から完全施行へ。

📋 貨物利用運送事業法改正の3つの重要ポイント
📝
実運送体制管理簿の作成義務化

元請事業者は実際に運送する業者の情報や下請け階層を記録・保存することが必須に

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運送契約の書面交付義務

運賃、運送条件などを明記した書面またはデータでの交付が必須となる

⚠️
多重下請け構造の是正

二次請けまでに制限する努力義務が課され、無許可業者への委託は禁止される

貨物利用運送事業者が知らずに行政処分を受けるリスク


実運送体制管理簿を作成しないだけで行政処分の対象になります。
2024年4月に改正され2025年4月から段階的に施行されている貨物自動車運送事業法および貨物利用運送事業法の改正は、物流業界に大きな変革をもたらしています。この改正は、いわゆる「2024年問題」によるトラック運転手の労働時間規制強化に伴う物流停滞への懸念と、軽トラック運送業における死亡・重傷事故の増加に対処するために行われました。
参考)【2025年6月成立】貨物自動車運送事業法の改正内容の要点を…


特に通関業務従事者にとって重要なのは、貨物利用運送事業者に対する規制強化です。改正法では、実運送体制管理簿の作成義務や運送契約締結時の書面交付義務が新たに課されています。これらの義務に違反した場合、直接的な罰則はありませんが、貨物自動車運送事業法第33条に基づく行政処分の対象となる可能性があります。
参考)流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法改正の概要と実務対…


行政処分を受けると事業停止命令が出る場合もあり、通関業務に大きな支障が生じます。つまり書類を適切に管理するだけで大きなリスクを回避できるということですね。
改正の背景には、多重下請け構造による責任の所在の不明確化や、無許可業者による不正な運送行為の横行がありました。国土交通省は、実運送を行う事業者までの委託関係を可視化することで、適正な競争環境を確保し、事故やトラブル発生時の責任の所在を明確にする狙いがあります。​
通関業務においては、輸入貨物の引き取りや輸出貨物の搬入に際して貨物利用運送事業者と連携する機会が多いため、これらの規制強化は業務フローの見直しを迫るものとなっています。特に、実運送体制管理簿の通知を求められた場合、速やかに対応できる体制を整えることが必須です。
参考)https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001860035.pdf


貨物利用運送事業法における実運送体制管理簿の作成義務化の詳細

実運送体制管理簿は委託関係の透明化を図る重要な書類です。2025年4月1日から施行された改正法により、元請事業者である貨物自動車運送事業者および貨物利用運送事業者は、実際に運送を行う事業者の情報を記録・保存することが義務付けられました。
参考)実運送体制管理簿の作成が義務化、対象者・記載が必須な事項・罰…


この管理簿には、以下の情報を記載する必要があります:​


  • 実運送を行う貨物自動車運送事業者の商号または名称

  • 実運送を行う貨物の内容および区間

  • 実運送事業者の請負階層(下請けに出した回数)

  • その他省令で定める事項

記載義務は運送ごとに発生しますが、継続的な運送委託で委託関係が明らかになっている場合は、運送ごとの作成は不要です。これは実用性を考慮した例外措置ですね。
参考)2025年4月1日施行_改正貨物自動車運送事業法についてわか…

管理簿の保存期間は3年間と定められています。違反した場合の直接的な罰金はありませんが、行政処分の対象となる可能性があります。また、実運送事業者から通知が来ないために作成できなかった場合、通知の不備を発生させた事業者に責任があるとして、当該事業者に行政処分が行われる可能性もあります。
参考)実運送体制管理簿とは?義務化の背景や作成ルール


貨物利用運送の運送契約締結時の書面交付義務とは

書面交付は電子データでも可能です。
改正法では、運送契約締結時に書面(電子的方法を含む)で契約内容を交付することが義務化されました。これは、口頭での契約や曖昧な取り決めによるトラブルを防ぐための措置です。
参考)実運送体制管理簿とは


書面に記載すべき内容には、運賃、運送区間、貨物の内容、運送期間などが含まれます。ただし、災害その他緊急やむを得ない場合や、真荷主が郵便物・信書便物の運送を委託する場合には、書面交付義務の対象外となります。
スポット輸送については「災害その他緊急やむを得ない場合」に該当しないため、基本的に書面を交付する必要があります。これは意外ですね。​
通関業務従事者が貨物利用運送事業者と連携する際には、この書面交付義務を理解しておくことが重要です。特に、輸入貨物の国内配送を手配する場合や、輸出貨物の集荷を依頼する場合には、適切な書面のやり取りが求められます。​

貨物利用運送事業法改正による多重下請け構造の是正措置

改正法では、多重下請け構造を是正するため、二次請けまでに制限する努力義務が課されました。これは、運送業界における過度な下請け構造がドライバーの労働条件悪化や事故増加の一因となっていたためです。
参考)【2025年6月公布】貨物自動車運送事業法改正のポイントは?…


具体的には、元請事業者が受託した運送を再委託する場合、二次請けまでに留めるよう努めることが求められています。これは法的な義務ではなく努力義務ですが、今後の法改正でさらに厳格化される可能性があります。​
さらに重要なのは、無許可業者への委託禁止です。2028年6月までに施行予定のこの規定では、貨物自動車運送事業の許可を持たない業者への運送委託が禁止され、違反した荷主には罰則が科されます。
通関業務において貨物の配送手配を行う際には、委託先が適切な許可を持っているか確認することが必須になります。この確認を怠ると、荷主として罰則を受けるリスクがあります。

貨物利用運送事業法改正が通関業務の実務に与える影響と対策

通関業務従事者は、輸入貨物の配送手配や輸出貨物の集荷手配を行う際、貨物利用運送事業者と頻繁に連携します。今回の法改正により、これらの業務フローに以下のような影響が生じる可能性があります。​
まず、実運送体制管理簿の通知を求められる場面が増えます。通関業者が荷主の立場で運送を委託する場合、委託先から実運送体制の情報提供を求められることがあります。このような要請に速やかに対応できる体制を整えることが重要です。
次に、運送契約の書面化が必須となるため、従来の口頭での手配や簡易的なメールでのやり取りだけでは不十分になります。運賃、運送区間、貨物の内容などを明記した正式な書面またはデータを交付・受領する必要があります。
対策としては、以下の取り組みが有効です。まず、取引先の貨物利用運送事業者が適切な許可を持っているか確認するリストを作成します。次に、運送契約の書面テンプレートを整備し、必要事項を漏れなく記載できるようにします。さらに、実運送体制管理簿の通知要請があった場合の対応フローを明確にしておきます。
これらの対策を講じることで、法改正による混乱を最小限に抑え、通関業務をスムーズに継続できます。コンプライアンス違反のリスクも大幅に減少しますね。
参考となる国土交通省の公式情報は以下から確認できます。改正法の詳細なQ&Aや解説資料が掲載されています。
国土交通省:改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)について
改正法への対応は、物流業界全体の透明性と安全性を高めるための重要なステップです。通関業務従事者としても、これらの変化を理解し、適切に対応していくことが求められています。
参考)【2025年4月施行】流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事…





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