地方港の貨物量が減っても通関業務は増えます。
地域経済の動向は通関業務従事者の日常業務に直結します。2025年8月には主要6港(東京、川崎、横浜、名古屋、大阪、神戸)のコンテナ取扱量が前年同月比8.9%増の114万8,574TEUと好調でしたが、9月には状況が一変しました。特に川崎港は輸出が49%増、輸入が26.8%増と唯一大幅な増加を記録した一方、他港では減少傾向が見られ、港ごとの状況に大きなばらつきが生じています。
参考)日本の輸出入動向に関する市場分析レポート(2025年12月)…
つまり港によって差が激しいです。
この変動の背景には、地域ごとの産業構造や輸出入品目の違いがあります。通関業務従事者は、担当する港湾や地域の経済動向を把握することで、書類作成や申告業務の繁閑を予測できます。例えば自動車産業の集積地である三河港とトヨタの生産・輸出計画の変更は、当該港での通関業務量に直接影響を及ぼします。
参考)通関業務と役割と目的 – 国際取引統合システムG…
地域経済ニュースから貨物量の増減を読み取る力が求められます。
地方港のコンテナ貨物取扱量は、令和2年からパンデミックの影響で減少しましたが、その後国際フィーダー航路の拡充により横ばい傾向となっています。新潟港と伏木富山港では令和6年9月に台風の影響で貨物量が減少し、反動で10月の貨物量が増加するなど、気象要因による変動も見られます。貨物量は令和5年から増加しており、着実に定着しつつあります。
参考)https://www.pa.hrr.mlit.go.jp/file/131547c7.pdf
気象情報のチェックが必須です。
しかし地方港特有のリスクも存在します。東北地方の小名浜港では東南アジア定期航路開設に伴い、従来東京港を利用していた企業が輸送コスト削減のため切り替えを行いました。このような航路変更は、通関業務従事者にとって新たな貿易パターンへの対応を意味し、HSコード分類や原産地証明などの書類確認作業が増加します。
北陸地域では関東方面や九州方面へのトラック手配が困難になりつつあり、輸送コストもこの数年で1~2割値上がりしています。輸送ルートの変更は通関申告内容にも影響するため、フォワーダーとの密な情報共有が求められます。
ルート変更時は要注意ですね。
2026年度の貿易環境は、米国トランプ政権の関税措置により大きく変化しています。2026年度わが国貿易収支の見通しでは、輸送用機器の輸出額減少が予測される一方、AI・データセンター関連需要増による電気機器や一般機械の増加が見込まれています。この変化は地域経済に波及し、特に自動車産業に依存する地域では輸出減に伴いトラック運送各社の売上高が前年より減少する可能性があります。
参考)トランプ関税と日本物流への影響:地政学リスクと国内課題の交錯…
関税で業務内容が変わります。
米向け輸出製品を地方工場から港まで運んでいた路線では荷物が半減し、トラック運転手が空車で待機するケースも発生しています。日本全体の企業経常利益は減少に転じ、実質GDP成長率は従来予測より0.5ポイント低下し、倒産件数は前年比+3.3%(約340件増)に達すると試算されています。特に中小規模の運送会社では資金繰りが悪化し、業界全体が厳しい経営環境に追い込まれています。
倒産増加が現実的です。
通関業務従事者にとって、関税率の変更は申告書類の作成や税額計算に直接影響します。関税措置発動前の駆け込み需要による一時的な業務増加も予想されるため、最新の関税情報を常にキャッチアップする体制が必要です。通関トラブルを防ぐには、HSコードの正確な分類と規制確認が重要になります。
参考)https://www.nx-soken.co.jp/topics/blog_20250520
国内取引との違い | 図解・貿易のしくみ - JETRO
上記リンクではカントリーリスクや貿易保険の基礎知識が解説されており、関税政策変更時のリスク管理の参考になります。
通関業務を通じて収集されたデータは、国家の貿易統計として活用され、貿易の動向や経済の状況を把握し政策立案や経済分析に役立てられます。また企業にとっても市場分析や戦略立案のための貴重な情報源となります。通関業務従事者は、この双方向の情報流通の要となる立場にあります。
情報の要になれますね。
具体的な情報収集方法として、主要8港(東京港、横浜港、清水港、名古屋港、四日市港、大阪港、神戸港、博多港)の港湾管理者統計を定期的にチェックすることが有効です。これらの統計は実入りTEUベースで公表されており、輸出入コンテナ貨物量の推移を月次で把握できます。2025年度の外貿コンテナ貨物輸送量見通しでは、海運輸出予測値が大幅下方修正されマイナス見通しに変更されるなど、タイムリーな情報更新が行われています。
参考)https://www.nx-soken.co.jp/topics/blog_20251118
月次チェックが基本です。
地域別の産業動向も重要な情報源です。例えば自動車部品の輸入が増加している四日市港のように、各港がハブとなる産業のサプライチェーン変化を読み取ることで、今後の貨物量予測や必要書類の準備に活かせます。通関トラブルの原因となる書類不備やHSコードミスを防ぐには、担当する地域の主要輸出入品目の特性を深く理解することが不可欠です。
地域経済の変動に柔軟に対応するには、信頼できる輸送・通関体制の構築が最優先です。貨物の輸送・通関に関するリスクは、フォワーダーや通関業者との連携によって大きく左右されます。輸送スケジュールの遅延や船積ミス、書類不備による通関トラブルは、日頃の情報共有や手配の正確性によって防げるケースが多くあります。
日頃の連携が鍵ですね。
具体的な対策として、以下の実務チェックリストが有効です。
チェックリストで漏れ防止です。
地方港を利用する場合、定期航路の有無や直行便・トランシップ便の違いが輸送コストに直結します。卸・小売業では定期航路開設により一部を地元港経由に変更し、インハウス・バンニングによる梱包・積み替えコストの削減を図る事例もあります。通関業務従事者は、こうした物流最適化の選択肢を荷主に提案できる知識を持つことで、付加価値の高いサービスを提供できます。
参考)https://www.jttri.or.jp/members/journal/assets/no07-03.pdf
港湾整備の進捗により、輸出貨物やクルーズ旅客の増加、新たな雇用を生む企業立地や設備投資が港湾背後圏で進み、地方経済に貢献しています。今後5年程度の間に、エネルギー、機械、倉庫業などの業種で、53港の背後圏へ約3.5兆円規模の投資が予定されています。この動きを追うことで、将来的な貨物量増加エリアを予測し、体制強化の準備ができます。
参考)https://www.mlit.go.jp/common/001214342.pdf
貿易のリスクとトラブル対策ガイド|実例から学ぶ注意点と成功のポイント - Digima
上記リンクでは貿易実務における代表的なリスクの種類やよくあるトラブル事例、事前にできる対策が詳しく解説されており、通関業務のリスク管理全般の参考になります。
通関業務におけるリスク管理は、多岐にわたる法令知識と地域経済動向の把握が求められる専門性の高い分野です。カントリーリスク、輸送トラブル、為替変動など国内取引にはない多くのリスクが常に潜んでいることを認識し、基本的な注意点を押さえ適切な手順とパートナーと連携すれば、リスクは最小限に抑えられ持続可能な通関業務体制を築くことができます。
参考)https://ojs.bonviewpress.com/index.php/jdsis/article/download/1078/510