調整金給与の計算方法と残業代への影響

通関業務従事者の給与に含まれる調整金は、残業代計算にどう影響するのでしょうか。移転価格調整金の税関申告や、給与改定時の社会保険手続きなど、知らないと損する重要ポイントを解説します。調整金の扱いを正しく理解していますか?

調整金と給与

調整手当を残業代の基礎に含めないと、未払い残業代が発生します。

この記事のポイント
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調整金の残業代計算への影響

調整手当の性質により残業代の基礎賃金に含まれるかが決まる

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移転価格調整金の税関申告

遡及的な調整金は税関修正申告と追加納税が必要

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給与改定時の社会保険手続き

調整給による補填でも固定賃金の変動は随時改定の対象

調整金の残業代計算における扱い


調整手当が残業代の基礎賃金に含まれるかどうかは、その手当の性質によって判断されます。基本給や能力給と同質の調整手当は、残業代計算の基礎に含める必要があります。
参考)残業手当の算出根拠に調整手当は含まれますか|人事のQ&A『日…


労働基準法では、調整手当は原則として残業代の算定根拠に含めなければなりません。法定除外賃金は制限的に列挙されているため、それ以外の「通常の労働時間又は労働日の賃金」はすべて算入する必要があります。つまり算定に含むのが原則です。​
調整手当を残業代の基礎から除外できるのは、臨時的に支給された場合や賞与の一環として支給されている場合のみです。定額性と支給期間から判断して、通常の労働の対価として支給される調整手当は、残業代計算に含めることが必須となります。
参考)残業代には調整手当は含まれる? 基本給に含む手当・含まない手…


調整金に関する最高裁判例の教訓

熊本総合運輸事件の最高裁判決(令和5年3月10日)では、調整手当の名目による残業代支払いが無効とされました。この事案では、時間外手当が増えるとその分調整手当が減る賃金体系が問題となりました。
参考)【残業代、トラックドライバー】残業手当等、調整手当の名目によ…


最高裁は、時間外手当と調整手当を合わせた「割増賃金」全体として、時間外労働等に対する対価として支払われるものかを判断すべきとしました。計算上区別された数額に名称が付されているだけでは不十分という判断です。
参考)【残業代】Case314 時間外手当が増えるとその分調整手当…

この判例から、基本給の相当部分を調整手当として支給する場合、十分な説明が必要であることが明確になりました。説明が不十分な場合、残業代支払いが無効とされるリスクがあります。賃金体系の変更時には注意が必要です。​
通関業務従事者が給与明細を確認する際、調整手当が適切に残業代計算に反映されているか確認することが重要です。計算に疑問がある場合は、労務担当者に確認することをおすすめします。

通関業務における移転価格調整金の取扱い

日本の輸入企業が海外の関連会社に移転価格調整金を支払う場合、その調整金は税関輸入申告価格を構成する価格とみなされます。移転価格調整金は、買手が売手に対して輸入貨物の輸入取引をするために現実に支払った「現実支払価格」の一部を構成すると判断されます。
参考)https://www.pwc.com/jp/ja/taxnews-indirect-tax/assets/wms-20240927-jp.pdf


輸入企業は、税関修正申告を行うことで移転価格調整金を税関申告価格に反映し、追加の関税や輸入消費税を支払う必要があります。これは法令で定められた義務です。
税関修正申告が漏れていた場合、税関事後調査等のタイミングで不足納税額が発生しているとして過少申告加算税が課される可能性があります。調査や質問がなされた後の修正申告は、原則10%の過少申告加算税の対象となります。加算税リスクを軽減するためには、速やかに税関修正申告を行うことが重要です。
移転価格調整金の税関修正申告の詳細な手続きと留意点について、PwC税理士法人の解説記事が参考になります
事前に税関当局と合意した内容に基づき、通関業者等を通して修正申告を提出し、関連する追加納税額を納付すれば手続きは完了となります。特定の代表申告に移転価格調整金をまとめて加算することも可能です。​

給与改定時の調整金と社会保険の随時改定

基本給やその他の手当を減額する際、補填を行うため一定期間「調整給」として支払うことがあります。この場合の社会保険の随時改定における取扱いには注意が必要です。
参考)給与の減額に伴う調整給の、随時改定における取扱い

「○○手当=△△手当+調整給」という場合、結果的に報酬の増減はないため随時改定に該当しません。一方、「○○手当>△△手当+調整給」または逆の場合、固定的賃金の差を計算して増減がある場合には随時改定に該当します。固定賃金の変動が基準です。​
随時改定は次の3つの要件すべてに該当する場合に実施されます。固定賃金に変動が生じた場合、支払基礎日数が17日以上の場合、変動前後の標準報酬月額に2等級以上の差がある場合です。
参考)昇給・降給と社会保険の随時改定に関する手続きを社労士が解説!…

給与改定にともない2等級以上、標準報酬月額に差が生じた場合は、随時改定の対象となる可能性があります。標準報酬月額は都道府県ごとに保険料率が異なり、全国健康保険協会の都道府県毎の保険料額表から確認できます。調整給を支給する場合でも、固定的賃金の変動額を正確に把握しておく必要があります。​
給与改定時の社会保険随時改定手続きの詳細については、社会保険労務士による解説記事が参考になります

通関業務従事者の給与体系における調整金の位置づけ

通関業務職の給与体系において、調整手当は給与の不均衡を是正し従業員間の給与バランスを調整する手当として位置づけられます。基本給のほかに会社が支給する手当の一つです。
参考)調整手当とは? 意味、手当の種類、地域手当、残業代として支給…

通関士資格を持つ従事者には、通関士手当が支給されるケースが多く見られます。ある通関業者の例では、通関士資格所有者に対して通関士手当20,000円が税関への通関士登録後より支給されています。資格手当の相場は5,000円から15,000円ほどです。
参考)通関業務職


給与規定の変更や計算ミスなどによって発生した臨時的な差額を調整するパターンもあります。残業代の計算に誤りがあった場合や、年末調整の不備で税金の調整が必要になった場合、調整手当を使って精算することができます。この場合は臨時的な支給です。​
通関業務従事者の基本給は月給200,000円から240,000円程度が一般的な水準となっています。通勤手当は実費支給で上限なしとする企業もあり、諸手当の内容は企業によって異なります。年収アップは勤続年数に応じて実現する傾向があります。
調整手当が固定残業代として支給される場合と、基本給に含めて支給される場合があります。いずれの場合も、残業代計算の基礎となるかどうかを明確にしておく必要があります。時間外残業の時給単価で争いになった際、調整手当を時間外残業の算定に含めていないと残業代が不足する事態が生じます。
参考)https://www.psrn.jp/feature/detail.php?id=22457


通関業務は税関への申告書類を作成して許可を受ける手続きであり、専門知識が求められる職種です。給与体系を理解し、自身の権利を適切に把握することが、長期的なキャリア形成において重要となります。​




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