通関業務で天然ガス価格を毎日チェックするあなたは、実はtradingviewチャートを見ているだけでは不十分です。
通関業務従事者にとって天然ガス価格の変動は、輸入申告価格の妥当性判断に直結します。2024年12月の日本平均LNG輸入価格は100万Btu当たり11.97米ドルでしたが、この数字が公表されるのは実際の輸入から2〜3ヶ月後です。
参考)2025年1月|JOGMEC石油・天然ガス資源情報ウェブサイ…
つまり申告価格が適正かです。
リアルタイムで価格動向を追跡しないと、異常値の見落としや事後的な修正申告のリスクが高まります。特にLNG輸入は契約形態が多様で、スポット価格と長期契約価格が混在するため、市場価格との乖離を常時監視する体制が求められます。
tradingviewのようなチャートツールを使えば、世界各地の天然ガス市場の価格を一元的に比較できます。ヘンリーハブ(米国)、TTF(欧州)、JKM(アジア太平洋)など複数の指標を並べて表示することで、日本向けLNG価格の妥当性を多角的に検証できるわけです。
参考)天然ガス先物チャート - NG先物相場 — TradingV…
価格急変時には通関検査が厳格化される傾向があるため、事前にチャート分析で変動の兆候を捉えておくと、輸入者への説明資料作成もスムーズになります。財務省の通関統計と照らし合わせながら、リアルタイムチャートで先行指標を読み解く習慣が、通関業務の精度向上につながります。
参考)天然ガス価格の推移(通関統計)|新電力ネット
tradingviewで天然ガス価格を追跡する際は、ティッカーシンボルの選び方が重要です。最も代表的なのは「NGAS」で、これはヘンリーハブの天然ガス価格を示します。一方「NYMEX:NG1!」は当限つなぎ足の先物価格を表示し、限月ロールオーバーの影響を排除できます。
参考)NGASのチャートと相場 — TradingView
どちらを使うかですね。
通関業務では輸入時期に応じて先物の限月を意識する必要があるため、NG1!のような当限つなぎ足チャートが実務的には便利です。チャート画面左上の検索窓にシンボルを入力すれば、すぐに該当銘柄が表示されます。
参考)TradingView(トレーディングビュー)の基本的な使い…
表示後は時間足の選択が次のステップです。1分足から月足まで幅広く用意されていますが、通関業務では日足または週足が適しています。日足なら直近1〜3ヶ月の価格トレンドを把握でき、週足なら年間を通じた季節性や長期トレンドを確認できます。
チャートタイプはローソク足が一般的ですが、トレンドの方向性だけを見たい場合はラインチャートに切り替えると視認性が上がります。右上の設定ボタンから、グリッド線の表示・非表示や背景色のカスタマイズも可能です。
複数の市場を比較したいときは、画面分割機能を使います。tradingviewは最大8つのチャートを同時表示できるため、ヘンリーハブ・TTF・JKMを横並びで監視すれば、地域間の価格差や連動性を瞬時に判断できます。
参考)天然ガスCFD対応+トレーディングビュー対応の国内業者を解説…
天然ガス価格は需給バランス、地政学リスク、原油価格との連動性など複数の要因で変動します。特に欧州市場ではロシア・ウクライナ情勢が価格に大きく影響し、2022年以降は構造的な価格変動が続いています。
参考)[2410.07224] Detecting Structu…
原油との関係が鍵です。
歴史的に天然ガス価格は原油価格と連動してきましたが、米国のシェールガス開発以降、地域ごとに独自の価格形成メカニズムが強まりました。日本が主に輸入するLNGは、契約の多くが原油価格にリンクする「原油価格連動方式」を採用しているため、WTI原油やブレント原油のチャートも併せて確認する必要があります。
参考)天然ガスCFDの特長と投資のコツ|はじめてのCFDなら外為ど…
為替レートも無視できません。LNG輸入価格は米ドル建てが基本なので、円安局面では円建て輸入価格が上昇します。tradingviewでUSDJPY(ドル円)チャートを天然ガスチャートと並べて表示すれば、為替影響を含めた実質的な輸入コストの推移を把握できます。
参考)https://www.mdpi.com/2227-7072/8/4/70/pdf
季節性も重要な指標です。冬季の暖房需要や夏季の冷房需要に応じて価格が変動するため、過去数年分の同時期データと比較することで、異常な価格高騰や低下を早期に検知できます。
参考)Redirecting...
在庫データはさらに高度な分析に役立ちます。米国エネルギー情報局(EIA)が毎週発表する天然ガス在庫統計は、需給の逼迫度を示す先行指標として機能します。tradingview上で在庫データをオーバーレイ表示する設定も可能です。
価格トレンドを視覚的に捉えるには移動平均線が基本です。tradingviewでは画面上部の「インジケーター」ボタンから簡単に追加でき、5日・25日・75日移動平均線を組み合わせると短期・中期・長期のトレンドを一度に確認できます。
参考)【トレーディングビュー】おすすめインジケーター特集!人気ラン…
ボリンジャーバンドも有用です。
価格が上下のバンドを突破したとき、異常な変動の可能性を示唆します。通関業務では申告価格の妥当性を問われる場面があるため、「価格がボリンジャーバンドの外側に位置している」というデータは、輸入者への説明材料として説得力を持ちます。
参考)https://jp.investing.com/commodities/natural-gas-streaming-chart
RSI(相対力指数)は買われすぎ・売られすぎを判断する指標で、70以上なら過熱感、30以下なら売られすぎと判断されます。天然ガス価格が急騰してRSIが70を超えた場合、短期的な調整が入る可能性が高く、輸入タイミングの判断材料になります。
参考)天然ガスCFDのテクニカル分析(OANDA:NATGASUS…
MACD(移動平均収束拡散法)はトレンドの転換点を示すインジケーターです。MACDラインがシグナルラインを上抜けると上昇トレンド、下抜けると下降トレンドのシグナルとされます。複数のインジケーターを組み合わせることで、価格変動の予兆を1〜2週間前に察知できる可能性が高まります。
tradingviewは最大30個のインジケーターを同時表示できますが、実務では3〜5個に絞るのが見やすさの点で推奨されます。設定したインジケーターはテンプレートとして保存できるため、毎回同じ設定を呼び出す手間が省けます。
残念ながら、tradingview上で天然ガスCFDを直接取引できる国内業者は2026年2月時点で存在しません。口座連携機能に対応しているサクソバンク証券やOANDA証券は、FXや株式には対応していますが、商品CFD口座への連携では取引ができない仕様になっています。
参考)TradingView(トレーディングビュー)からOANDA…
では代替策は何でしょうか。
GMO外貨の「外貨ex CFD」やFXTF GXは、独自にtradingviewチャートを内蔵しており、天然ガスCFDの取引画面とチャートを並べて表示できます。外貨ex CFDでは100種類以上のインジケーターと80種類以上の描画ツールが使え、最大8枚のチャートウィンドウを同時表示可能です。
つまり取引自体は国内業者の専用プラットフォームで行い、高度なチャート分析だけをtradingviewで実施する「二刀流」が現実的な運用方法です。tradingviewの無料版でも基本的なインジケーターや描画ツールは十分に使えるため、通関業務での価格監視目的なら無料版で問題ありません。
アラート機能を活用すれば、価格が指定した水準に達したときに通知を受け取れます。たとえば「NGAS価格が3.50ドルを上回ったら通知」と設定しておけば、業務中にチャートを常時監視する必要がなくなります。
参考)TradingViewの様々な機能 — あなたの分析とトレー…
通関業務に特化した使い方としては、過去の通関統計データをCSVでダウンロードし、tradingviewのカスタムデータ機能で読み込む方法もあります。これにより財務省公表の月次平均価格とリアルタイム市場価格を同一チャート上で比較でき、申告価格の検証精度が格段に向上します。
参考)https://jwba.or.jp/database/woody-biomass-database/price-transition02/
価格予測を実務に活かすには、まず「どの時間軸で予測するか」を明確にします。通関業務では輸入契約から実際の通関まで数週間〜数ヶ月のタイムラグがあるため、短期(1〜4週間)と中期(1〜3ヶ月)の予測が特に重要です。
契約タイミングが全てです。
短期予測では日足チャートでの移動平均線のゴールデンクロス(短期線が長期線を上抜け)やデッドクロス(短期線が長期線を下抜け)を監視します。これらのシグナルが出現したら、輸入者に対して「今後2〜3週間で価格が上昇(または下落)する可能性がある」と早期に情報共有できます。
中期予測では週足チャートで過去2〜3年分のデータを表示し、季節性パターンを確認します。たとえば北半球の冬季需要期(11月〜3月)には価格が上昇しやすく、春季(4月〜5月)には下落しやすい傾向があります。この季節性を理解しておけば、年間を通じた輸入計画の最適化に貢献できます。
地政学リスクへの備えも欠かせません。ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢が緊迫すると、欧州市場のTTF価格が急騰し、それがアジア市場にも波及します。tradingviewのニュースフィード機能を活用すれば、価格変動の背景にある地政学イベントをリアルタイムで把握できます。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9135009/
複数市場の価格差分析も実務的に有用です。たとえばヘンリーハブ価格が安定しているのにJKM価格だけが急騰している場合、アジア市場固有の需給逼迫を示唆します。この情報は輸入元の多様化や調達戦略の見直しを検討する材料になります。
参考)https://www.mdpi.com/1996-1073/12/20/3927/pdf
最後に、予測結果を輸入者や関係部署と共有する際は、チャート画面のスクリーンショットを活用します。tradingviewは描画ツールが豊富なので、トレンドラインやサポート・レジスタンスラインを引いた状態で画像保存すれば、視覚的に分かりやすい報告資料が作れます。「来月中旬に価格が4ドルを突破する可能性がある」といった具体的な予測を、根拠となるチャートとともに提示することで、通関業務の信頼性と付加価値が高まります。
LNG輸入は日本のエネルギー安全保障を支える重要なインフラです。通関業務従事者として価格変動を的確に予測し、リスクを最小化する役割は、今後ますます重要になるでしょう。tradingviewのようなツールを使いこなすことで、あなたの専門性は一段と高まります。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10838946/
天然ガス先物(当限つなぎ足)の最新チャート
NYMEXの天然ガス先物の当限つなぎ足チャートが確認できます。限月ロールオーバーの影響を排除した連続価格として、長期トレンド分析に最適です。
天然ガス価格の推移(通関統計)
財務省通関統計に基づく日本のLNG輸入価格の推移データが掲載されています。過去数年分の月次データをダウンロードして、tradingviewと併用することで分析精度が向上します。