実は2件に1件ぐらいのスマートコントラクトにはバグがあります。
スマートコントラクトとは、ブロックチェーン技術を活用して、事前に設定された条件を満たしたときに自動的に契約を実行するプログラムのことです。従来の契約では、人間が介在して確認や承認を行う必要がありましたが、スマートコントラクトではこれらが不要になります。
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仕組みは「if-then」というプログラミングの条件文で説明できます。例えば「商品が指定の港に到着したら(if)、自動的に代金を支払う(then)」といった具合です。つまり条件が成立すると処理が実行されるわけですね。
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身近な例でいうと自動販売機がこの仕組みと似ています。お金を入れてボタンを押すという2つの条件を満たせば、自動的に商品が出てきて取引が完了します。人が介在しなくても、決められたルール通りに取引が進むということです。
この自動化の仕組みにより、繰り返し同じ内容で取引を行うときには極めて高い利便性を発揮します。手間と時間がかかるだけでなく、人為的なミスが生じる可能性もある従来の契約と比べて、スピーディーかつミスのない取引を実現しやすいです。
スマートコントラクトは、ブロックチェーン上で動作するプログラムです。ブロックチェーンとは、取引記録を複数のコンピューターで共有し、改ざんが極めて困難な分散型台帳技術のことを指します。
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スマートコントラクトのコードと契約内容は、このブロックチェーン上に保存されます。複数の参加者が同じ情報を持つため、特定の誰かが勝手にデータを書き換えることはできません。改ざんや不正を防止できるということですね。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8284418/
ブロックチェーンに記録された情報は、ネットワーク上で誰でも閲覧可能です。この透明性の高さが、信頼性を支える大きな要素になっています。契約の内容や実行状況を、関係者全員が確認できるわけです。
また、ブロックチェーン技術により、仲介者を必要とせずに取引が成立します。従来は銀行や公証人などの第三者機関が契約の信頼性を保証していましたが、スマートコントラクトではシステムそのものが信頼を担保します。これが原則です。
スマートコントラクトを導入すると、契約や取引のスピードが大幅に向上します。従来は、内容の確認から交渉、契約書案の作成、同意まで多くの手順が必要でした。しかしスマートコントラクトなら、条件を満たした瞬間に自動的に処理が実行されるため、大幅な時間短縮につながります。
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人為的ミスを防げる点も大きなメリットです。決められた処理を自動で実行するため、人間による確認ミスがなくなります。手続きが複雑になるほどミスも多く、金額次第でその損害も膨れ上がりますが、自動化によってこのリスクを回避できます。
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コスト削減効果も見逃せません。契約手続きが簡素化され、仲介者にかかるコストが削減できます。従来の取引では、契約が成立するまでに仲介者が必要で手数料の支払いが発生していましたが、スマートコントラクトでは一連の流れが自動的に行われるため仲介者を必要としません。
改ざんや不正の防止も実現できます。ブロックチェーン上に記録された情報は、複数のコンピューターで分散管理されているため、特定の誰かが勝手に書き換えることは極めて困難です。透明性と信頼性が非常に高いというメリットがあります。
通関業務の分野では、スマートコントラクトを活用した業務効率化の取り組みが進んでいます。国際貿易では、サプライチェーン内の複数の業者によりさまざまな情報が主に紙ベースでやりとりされてきたため、複雑で時間と経費がかかる点が問題となっていました。
参考)貿易業界における課題とブロックチェーン導入のメリットとは
ブロックチェーンを取り入れることで、スマートコントラクトの実現が可能になります。手作業によるデータ処理をなくすとともに処理時間の短縮につながります。顧客へ提供するサービスの質を向上させながら、取引にかかるコストの削減も行えると考えられています。
実際の導入事例として、発注書やサービス契約など20種類以上の貿易関連書類を対象としたシステムがあります。コンテナの位置情報をもとに、システムが貨物到着案内を自動発行する処理を実装しました。コンテナの位置が所定の港の近隣海域に入ったとき、到着案内を送信するスマートコントラクトが実行されます。
参考)貿易実務のブロックチェーン利用,実践と課題
信用状のチェックや与信判断、通関申告などもスマートコントラクトで自動化できます。東京海上日動の実証実験では、信用状の発行・送付をブロックチェーンに載せており、さらに保険証券もブロックチェーンに載せる実証実験を進めています。
参考)https://www.jsie.jp/kanto/wp/wp-content/uploads/Kawano20190112Slide.pdf
通関書類の作成プロセスも効率化が可能です。高度な生成AI技術を活用し、顧客が入力した情報をリアルタイムで分析して、適切な品目説明と対応するHSコードを提示するツールも登場しています。迅速な通関手続き、正確な関税・税額の見積り、配送遅延のリスク低減、コスト削減が実現できます。
参考)フェデックス/AI を活用した2つの革新的な通関手続き支援ツ…
スマートコントラクトには、プログラムの脆弱性という重大なリスクがあります。一度プログラムを構築して契約を実行してしまうと変更が難しいです。プログラムにミスがあった場合に脆弱性を突かれて情報が悪用される可能性がゼロではありません。
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実際のところ、多くのケースで、具体的には2件に1件ぐらいはバグがあります。誰もが頑張ってバグがないように設計しているのですが、実際には高い確率で問題が発生しているわけです。プログラムにミスがないよう注意して構築し、実行前にも検証する必要があります。
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深刻な被害事例も複数報告されています。2016年のThe DAO事件では、リエントランシー攻撃と呼ばれる脆弱性により多額の被害が発生しました。また2017年のParity Wallet事件では、アクセス制御の初期化ミスにより攻撃者がコントラクトを削除し、約150万ETHが凍結される事態になりました。
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処理速度の遅延が起きる場合もあります。ブロックチェーンのネットワーク混雑状況によっては、取引の承認に時間がかかることがあるのです。痛いですね。
法制度との整合性も課題です。スマートコントラクトは契約の実行まで自動化する次世代の契約技術ですが、法的な位置づけや責任の所在が明確でない部分があります。導入前に検討すべき課題ということです。
参考)スマートコントラクトと電子契約の違いとは?【メリット・活用法…
この状況を踏まえて、実装前には必ず専門家によるセキュリティ監査を受けることをおすすめします。スマートコントラクトの脆弱性診断サービスを提供する企業もありますので、システム導入時に活用すれば大きなリスクを回避できます。
情報処理学会の貿易実務におけるブロックチェーン利用に関する実践報告では、実験システムの詳細や自動執行の仕組みについて解説されています。

ブロックチェーンのスマートコントラクトコードを書いてみよう: Five systems powered by Flow blockchain