港湾運送事業法 自家荷役 要件 届出 許可 違反 罰則 適用範囲

港湾運送事業法における自家荷役の扱いは、通関業務に直結する重要なポイントです。自社の貨物であっても、港湾での荷役作業には許可が必要な場合があることをご存知ですか?

港湾運送事業法 自家荷役

自社の貨物なら港湾での積卸しも自由にできると思っていませんか?

この記事のポイント
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港湾運送事業法の適用範囲

全国93の指定港では「他人の需要に応じた」港湾荷役に許可が必要。自家荷役は原則として適用外だが条件がある

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無許可営業の罰則

許可なく港湾運送事業を営むと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、あるいは併科される

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自家荷役と事業の境界

自社貨物でも対価を得ている場合は港湾運送事業とみなされる可能性があり、実態判断が重要になる

港湾運送事業法における自家荷役の定義と適用範囲


港湾運送事業法は、港湾における荷役作業の秩序を確立するため制定された法律です。この法律では「他人の需要に応じて」行う港湾運送を事業として規制しています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/375e7d9db36c68c111bdce3dc4a31a3ed27c49ec


自家荷役とは、自社が所有または管理する貨物を自社の労働力で積卸しする行為を指します。この場合、第三者からの委託ではなく、報酬も発生しないため、原則として港湾運送事業法の適用対象外となります。
参考)運送業の許可が不要な4つの場合とは?必要な条件もあわせて紹介…


ただし、港湾運送事業法が適用される港湾は全国93港が指定されており、京浜港、名古屋港、大阪港、神戸港、関門港などの主要港が含まれます。これらの指定港では、船舶への貨物の積込みや取卸し、荷さばき場への搬入搬出などが規制対象行為です。
参考)e-Gov 法令検索


つまり港湾ごとに判断が必要です。
指定港以外での荷役作業は原則として港湾運送事業法の適用を受けませんが、労使間の事前協議による判断が求められるケースもあります。自家荷役を行う場合でも、作業が指定港で行われるかどうかを事前に確認することが重要です。
参考)港湾運送事業法

港湾運送事業の許可要件と自家荷役の例外規定

港湾運送事業として荷役を行うには、港湾ごと、業種ごとに国土交通大臣の許可が必要です。事業の種類は一般港湾運送事業、港湾荷役事業、はしけ運送事業、いかだ運送事業、検数事業、鑑定事業、検量事業の7種類に分類されています。
参考)https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/kaishin/kouwannunnsoujigyouhou.pdf


許可を受けた事業者は、引き受けた作業の70%以上を自ら行う義務があります。この直営率の規定により、港湾運送の安定性と品質が担保される仕組みです。
参考)港湾運送事業


自家荷役が例外として認められるのは、自社の製品を自社の労働力で運搬する場合に限られます。しかし、グループ会社の荷物でも運賃が発生する場合は許可が必要になるため注意が必要です。
参考)運送業の許可が不要となるパターンを解説


どういうことでしょうか?
名目が「運賃」でなくても、実質的に運搬の対価として金銭を受け取っていれば、港湾運送事業とみなされる可能性があります。例えば建設現場に元請け業者の建材を運び、人工代として請求する場合も該当する恐れがあります。​

港湾運送事業法違反の罰則と通関業務への影響

港湾運送事業法に違反して無許可で事業を営んだ場合、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、あるいはその両方が科されます。また、届出義務違反や届出運賃以外での料金収受には100万円以下の罰金が定められています。
参考)法令:エラー

近年も無許可での港湾荷役が摘発されており、近畿運輸局が調査した事例では、事業者が許可基準を満たしていなかったことが判明しています。違反が発覚すれば事業継続が困難になります。
参考)港湾で働く人々を守るため、港湾運送事業法の無許可事業者による…

これは使えそうです。
通関業務を行う企業にとって、港湾での貨物の受け渡しは日常業務の一部です。しかし通関業の許可だけでは港湾荷役作業を行うことはできません。倉庫業や陸運業の許可も同様で、港湾運送事業の許可は別途必要です。
参考)https://www.customs.go.jp/tokyo/content/import_self.pdf


輸入通関では、船会社や航空会社に連絡して貨物の保管場所を確認し、倉庫から貨物を引き取る流れが一般的です。この際、デリバリーオーダー(D/O)と輸入許可書を提示して貨物を受け取りますが、倉庫から貨物を搬出する作業自体が港湾荷役に該当する場合、適切な許可を持つ事業者に委託する必要があります。​

港湾運送における直営率規定と自家荷役の実務対応

一般港湾運送事業者は、各月に引き受けた港湾運送のうち、船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役、いかだ運送の種別ごとに70%以上を自ら行わなければなりません。港湾荷役事業者が下請として作業を受けた場合は、100%自営する義務があります。
参考)http://keiyukai.info/wp-content/uploads/2017/11/auto-9VI3Cg.pdf


再下請は禁止されています。
この直営率規定は、港湾運送の品質と安定性を保つための制度です。労働集約型産業である港湾運送では、日々の業務量に波動性があり、適切な労働力確保が課題となっています。
自家荷役を選択する企業は、この直営率規定の影響を受けません。ただし、指定港での作業においては、作業の性質を明確にしておく必要があります。自社貨物であること、対価を得ていないこと、自社労働力で行うことを証明できる体制が求められます。
実務では、港湾運送事業者との契約内容を精査することが重要です。運送契約の形態には、船会社が荷役費用を負担するライナータームス(Liner Terms)と、荷主が負担するフリーイン・フリーアウト(Free In/Free Out)があります。契約形態によって費用負担と責任範囲が変わるため、自社がどの範囲まで対応するかを明確にしましょう。
参考)https://www.mlit.go.jp/kowan/content/001911416.pdf

港湾運送事業法の適用を受けない自家荷役の具体的条件

自社の荷物を運ぶ場合、貨物自動車運送事業法でも運送業の許可は不要とされています。港湾運送事業法においても同様の考え方が適用され、自家荷役は「他人の需要に応じた」行為ではないため、原則として許可不要です。
自家荷役が成立する条件は以下の通りです。まず、貨物の所有権が自社にあること。次に、作業を自社の従業員が行うこと。そして、第三者から運賃や対価を受け取らないことです。
厳しいところですね。
グループ会社間での荷物の移動でも、運賃が発生すれば許可が必要になるケースがあります。親会社と子会社、関連会社間での取引であっても、別法人である以上「他人」とみなされる可能性があります。​
さらに注意が必要なのは、名目上の区分です。運賃として明示的に請求していなくても、人工代、作業費、手数料などの名目で実質的な対価を得ている場合、税務署や運輸局から指摘を受ける可能性があります。​
指定港以外の港湾であれば、港湾運送事業法の適用を受けないため、より柔軟な対応が可能です。ただし労使協議が必要な場合もあるため、事前に港湾管理者や関係団体に確認することをおすすめします。​
国土交通省の港湾運送事業を取り巻く状況資料
港湾運送の契約形態や費用負担に関する詳細情報が掲載されています。自家荷役を検討する際の参考資料として有用です。
中部運輸局の港湾運送事業法について
港湾運送事業法の条文と解説が詳しく記載されており、自家荷役の適用範囲を判断する際の基礎資料になります。




港湾知識のABC(13訂版)