人工知能とAIの違い|定義・分類・通関業務での活用法

人工知能とAIは同じものなのか、それとも違うのか?通関業務に携わるあなたが知っておくべき定義や分類、業務効率化への応用方法を具体的に解説します。AI導入で業務は本当に効率化するのでしょうか?

人工知能とAIの違い

AIを導入すれば通関業務がすべて自動化できると思い込んでいませんか?

この記事の3ポイント
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人工知能とAIは同義語

AIは「Artificial Intelligence」の略で、日本語では「人工知能」と訳される。両者は同じ概念を指すが、定義は研究者によって異なる

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拡張知能と人工知能の違い

IBMが提唱した「Augmented Intelligence(拡張知能)」は人間の処理能力を拡張するもので、完全自律型の人工知能とは異なる概念

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通関業務でのAI活用

AI-OCRによる書類読み取り、HSコード分類支援、チャットボット対応など、通関業務の効率化に実用的なAI技術が導入されている

人工知能とAIは同じ意味


結論から言えば、人工知能とAIは同じものです。AIは「Artificial Intelligence」の英語表記の略称であり、日本語に訳すと「人工知能」となります。つまり、呼び方が異なるだけで、指し示している概念は同一です。
参考)https://gijiroku.ai/blog/artificial-intelligence/2778


ただし、AI・人工知能には明確に統一された定義が存在しません。研究者や専門家によってその解釈は異なり、東京大学の松尾豊教授は「人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術」と定義する一方、大阪大学の浅田稔教授は「知能の定義が明確でないので、人工知能を明確に定義できない」と述べています。
参考)AI・人工知能とは?定義・歴史・種類・仕組みから事例まで徹底…


一般的には、人間の脳で行っているような作業をコンピューターが模倣し、自然言語を理解したり、論理的に推測したり、経験に基づく学習を行ったりすることを目的とするプログラムをAIと呼びます。この定義で十分でしょう。​

拡張知能という人工知能の誤解

世間で「AI」と呼ばれているものの多くは、実は「Artificial Intelligence(人工知能)」ではなく「Augmented Intelligence(拡張知能)」であることをご存じでしょうか。IBMがWatsonを開発した際に提唱したのは、人間の知能を完全に再現する人工知能ではなく、人間には処理できない大量の情報を短時間で処理する「拡張知能」という概念でした。
参考)世間が大きく誤解しているAIの実態 人工知能ではなく「拡張知…

拡張知能は人間の仕事をサポートするものであり、完全に人間に取って代わる存在ではありません。現在のビジネスや医療などの分野で活用されているAIの多くは、この拡張知能に該当します。恐れる必要はありませんね。​
通関業務においても、AI-OCRやチャットボットといった技術は書類処理や問い合わせ対応を支援するものであり、通関士の判断を完全に代替するものではありません。人間とAIが協働することで、業務全体の質と速度が向上するという理解が正確です。

機械学習とディープラーニングの人工知能における位置づけ

機械学習とディープラーニングは、AIの中核を成す技術ですが、両者には明確な違いがあります。機械学習は経験をベースにしてコンピューターの性能を高める方法を探求するAI技術の一つです。
参考)AI(人工知能)に対するありがちな「誤解」とそれに対する回答…


ディープラーニングは機械学習の一種であり、多層のニューラルネットワークを用いて特徴量を自動的に抽出します。従来の機械学習では人間が特徴量を指定する必要がありましたが、ディープラーニングではコンピュータ自身がデータから重要な特徴を見つけることができます。つまりディープラーニングが基本です。
参考)機械学習とディープラーニングの違いとは?メリット・デメリット…

通関書類のHSコード分類支援では、商品説明をAIが解析し、適切なHSコードを推定する際に機械学習技術が活用されています。膨大な過去の分類事例を学習することで、通関士の判断を補助し、作業時間を大幅に短縮できます。​

通関業務における人工知能の具体的活用方法

通関業務では、AI技術が書類処理の自動化、精度向上、属人化の解消に貢献しています。AI-OCR技術を活用することで、インボイスやパッキングリストなどの通関書類を自動的に読み取り、データ化することが可能です。手作業での入力に比べて処理速度が向上し、入力ミスも削減できます。
参考)ジェネレーティブ AI が通関業務に革命を起こす 5 つの方…


AIチャットボットは通関手続きに関する基本的な問い合わせに24時間365日対応し、担当者の負担を軽減します。関連法規や過去の事例を瞬時に検索・照合し、人間が理解しやすい形で回答を生成することで、社内からの問い合わせ対応業務を効率化できます。​
ただし、AI-OCRには縦書き文書や特殊な記号・フォントを含む帳票に対応できない製品も存在します。日本語特有の縦書きや手書き風の文字、旧字体などが混在する書類では、読み取り精度が著しく下がる傾向にあるため注意が必要です。導入前に自社で扱う書類の種類を確認し、対応可能なAI-OCR製品を選定することが成功の鍵となります。
参考)AI-OCRは実務で使えない?導入後の課題をクリアするポイン…

人工知能にできないこと:通関業務従事者が知るべき限界

AIは万能ではなく、現時点では「あらゆる問題に応えられる賢いAI」は存在しません。これはAGI(Artificial General Intelligence:汎用的人工知能)と呼ばれる概念であり、まだ研究段階にあります。現在のAIに人間の認識能力や常識、感情なども含めた森羅万象のすべてを理解させることはできません。
参考)AI(人工知能)の定義とは?特徴や機能を徹底解説!


通関業務においては、法規制の解釈や例外的な案件の判断など、高度な専門知識と経験が必要な業務はAIだけでは対応できません。特に新しい法改正への対応や、取引内容の妥当性判断、リスク評価といった業務では、通関士の専門的な判断が不可欠です。
AI導入を検討する際は、「どの業務をAIに任せ、どの業務を人間が担当するか」を明確に区分することが重要です。書類の読み取りやデータ入力といった定型業務はAIに任せ、専門的な判断が必要な業務に人的リソースを集中させることで、業務全体の効率と品質を向上させることができます。これが原則です。




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