フレックスタイム制とは簡単に|仕組みとメリット・デメリット解説

フレックスタイム制の仕組みや導入方法、清算期間の考え方、残業代の計算方法まで通関業務従事者向けにわかりやすく解説します。知らないと損する労働時間管理のポイントとは?

フレックスタイム制とは簡単に

労使協定を届け出なければ30万円の罰金になります。
参考)フレックスタイム制における労使協定のポイントと重要性について…


この記事の3ポイント要約
📋
フレックスタイム制の基本

清算期間内の総労働時間を定め、従業員が始業・終業時刻を自由に決定できる制度

⚖️
労使協定が必須

清算期間1カ月超は労働基準監督署への届出が必要、違反時は30万円以下の罰金

残業代の計算方法

1日8時間超でも即残業にならず、清算期間の総労働時間超過分が時間外労働

フレックスタイム制の基本的な仕組み


フレックスタイム制とは、一定期間の総労働時間をあらかじめ定めた上で、従業員が日々の始業時刻と終業時刻を自由に決定できる労働時間制度です。この「一定期間」は清算期間と呼ばれ、多くの企業では1カ月または3カ月単位で設定されています。
参考)フレックスタイム制とは?メリット・デメリットや導入の注意点を…


通常の労働制度では「9時から17時まで」といった固定された勤務時間が定められていますが、フレックスタイム制では労働時間の総量だけを決めておき、その範囲内で従業員が自由に労働時間を調整します。例えば1カ月の総労働時間が160時間と定められている場合、ある日は5時間だけ働き、別の日に10時間働くことで調整できる仕組みです。
参考)フレックスタイム制 - Wikipedia


労働基準法第32条の3を根拠とする制度で、労働者が自身の生活と業務の調和を図りながら効率的に働くことができます。つまり法的根拠のある制度ですね。
参考)https://www.hrpro.co.jp/glossary_detail.php?id=75

通関業務は輸出入の時期によって繁閑の差が大きいため、フレックスタイム制を活用すれば業務量に応じて労働時間を柔軟に配分できます。繁忙期に長時間働き、閑散期に早めに退勤するといった調整が可能になるということです。​

フレックスタイム制における清算期間と総労働時間

清算期間とは、フレックスタイム制における労働時間を管理する一定の期間のことで、最大3カ月まで設定できます。多くの企業では賃金の計算期間に合わせて清算期間を1カ月とするケースが多いようです。
参考)フレックスタイム制とは?コアタイム・残業・メリット・デメリッ…


清算期間内で従業員が労働すべき総労働時間(所定労働時間)を定める必要があります。この総労働時間は、法定労働時間の総枠(1週間40時間×清算期間の暦日数÷7日)を超えてはいけません。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/001140964.pdf


例えば清算期間を1カ月(31日)とした場合、法定労働時間の総枠は「40時間×31日÷7日=177.1時間」となります。これが上限です。​
清算期間が1カ月を超えて設定されている場合、月をまたいだ労働時間の調整が可能になります。例えば「子どもの夏休み期間は早く帰りたい」という要望がある従業員の場合、3カ月の清算期間で8月の労働時間を減らし、代わりに他の2カ月で増やすなどの調整ができます。メリハリをつけやすいですね。​
通関業務では輸入品の検査が集中する時期や、年末年始・年度末などの繁忙期が明確なため、清算期間を3カ月に設定することで業務の波に合わせた労働時間管理が実現できます。

フレックスタイム制におけるコアタイムとフレキシブルタイム

実際のフレックスタイム制では、1日の労働時間帯を「コアタイム」と「フレキシブルタイム」に分けて実施するのが一般的です。
参考)フレックスタイム|渋谷区 千代田区 社会保険労務士 社会保険…


コアタイムとは労働者が必ず労働しなければならない時間帯のことで、例えば「10時から16時」のように設定します。フレキシブルタイムは労働者がその選択により労働することができる時間帯で、「7時から10時、16時から20時」などと定めます。
参考)フレックスタイム制を導入するためには?社労士が導入手順や注…

なお、これらを定めるか否かは任意です。コアタイムのないフレックスタイム制を「スーパーフレックスタイム制」と呼びます。完全な自由裁量ですね。
参考)【社労士が解説】フレックスタイム制には労使協定が必要?導入時…


ただし、IT企業A社の失敗事例では、コアタイム未設定により顧客対応遅延が発生しました。特に顧客対応が頻繁に発生する部署や、チームでの連携が不可欠な業務においては、全員が必ず勤務する時間帯を設けることで、業務の円滑な遂行と顧客への迅速な対応を担保できます。
参考)フレックスタイム制のデメリットとは?導入前に知っておくべき注…

通関業務は税関や荷主との連絡調整が頻繁に発生するため、適切なコアタイム設定が重要です。例えば「10時から15時」をコアタイムに設定し、税関の開庁時間や荷主の営業時間に対応できる体制を整えることで、業務の円滑化とフレックス制度のメリットの両立が可能になります。
厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」では、コアタイムの設定方法や運用のポイントが詳しく解説されています

フレックスタイム制における残業代の計算方法

フレックスタイム制の最大の特徴は、残業時間の計算方法にあります。通常の労働制度では1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えれば即座に時間外労働となりますが、フレックスタイム制では異なります。
参考)フレックスタイム制とは|仕組みやメリット・デメリット、残業の…


フレックスタイム制では、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間が時間外労働となります。つまり、1日8時間を超えて働いても、清算期間内の総労働時間が法定労働時間の総枠内であれば残業代は発生しないのです。
参考)https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501880.pdf


具体例を挙げると、清算期間が1カ月(31日、法定労働時間の総枠177.1時間)で総労働時間が160時間と設定されている場合、ある日に10時間働いても、月全体で160時間以内に収まれば残業代は発生しません。これが基本です。
参考)【フレックスタイム制とは】コアタイムの設定、残業代、メリット…

ただし、清算期間が1カ月を超える場合には、残業時間の算出方法に特有のルールがあります。具体的には、2段階の基準で判定します。各月の実労働時間が週平均50時間を超えた分と、清算期間全体で法定労働時間の総枠を超えた分が時間外労働となります。
参考)フレックスタイム制で残業代は減る?残業の考え方や計算方法も紹…

通関業務では月末や月初に業務が集中することが多いため、フレックスタイム制を活用すれば、忙しい時期に多く働いても清算期間内で調整することで無駄な残業代の支払いを避けられます。企業にとってもメリットがあるということですね。

フレックスタイム制導入の手続きと注意点

フレックスタイム制を導入するためには、法律で定められた手続きを踏む必要があります。まず就業規則等に、始業・終業時刻を労働者の決定に委ねる旨を定めることが必須です。
次に労使協定の作成が必要です。労使協定には以下の事項を定めます。


  • 対象となる労働者の範囲

  • 清算期間(1カ月以内または3カ月以内)

  • 清算期間における総労働時間(所定労働時間)

  • 標準となる1日の労働時間

  • コアタイムとフレキシブルタイム(任意)

清算期間が1カ月を超える場合には、労使協定を所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があり、これに違反すると30万円以下の罰金が課せられることがあります。精算期間が1カ月以内の場合には届出は不要です。
参考)フレックスタイム制の導入、どうする? 就業規則への記載は必要…


伊藤忠商事の失敗事例では、社員の認識のすれ違いや遅い時間の出社・退社の常習化が問題となりました。社員の出社時間がコアタイムぎりぎりの遅い時間へ後ろ倒しになり、朝のお客様の電話が取れなくなるといったことが起きたそうです。
参考)フレックス制度導入はむずかしい?導入で社員を混乱させないポイ…

この失敗から学ぶべきは、制度導入に伴い社員の認識を合わせ、気持ちよく活用していただくために適切なガイドライン策定が重要だということです。事前ヒアリング、トライアル運用と効果測定、定期的な改善を行うことが成功の鍵となります。
通関業務では24時間対応が求められる場面もあるため、フレックス制度とシフト制を組み合わせる場合には、制度の趣旨を明確にし、従業員への丁寧な説明と運用ルールの徹底が必要です。
フレックスタイム制導入の具体的な手順や就業規則の記載例は、こちらのページで詳しく解説されています




労働システムと勤労観―フレックス・タイムと週休二日制の導入 (1976年)