シワが1本入るだけで、その部分が駆血帯になって壊死リスクが生まれます。
医療用弾性ストッキングは、足首から上へ段階的に圧力を弱める「漸減圧構造」で設計されています。 この設計によって、下肢に滞留した血液やリンパ液を心臓方向へ効率よく押し上げる静脈還流促進が実現します。 つまり浮腫予防・血栓予防・血流促進という3つが基本効果です。 shinjuku-geka(https://www.shinjuku-geka.com/blog/kashi/9688.html)
圧迫圧の区分は以下の通りです。 e-yorisoudan(https://www.e-yorisoudan.com/blog/archives/379)
| 圧迫レベル | 圧迫圧の目安 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 弱圧 | 20〜29 mmHg | むくみ予防、長時間立ち仕事 |
| 中圧 | 30〜39 mmHg | 下肢静脈瘤の予防・治療 |
| 強圧 | 40 mmHg以上 | リンパ浮腫の治療 |
圧迫圧の選択は医師の指示が原則です。 自己判断で圧が強すぎるものを選ぶと、逆に血液の滞りを悪化させる場合があります。 これが基本です。 almediaweb(https://www.almediaweb.jp/varix/stockings.html)
深部静脈血栓症(DVT)予防目的では約20 mmHgの圧迫圧が標準とされ、この圧力は足部の静脈圧より低いため、1日中着用しても血行障害を引き起こすことはないとされています。 手術後の周術期には弾性ストッキングにより肺塞栓症の発生を約1/3に減少させるエビデンスが確立していますが、抗凝固薬(ヘパリン・低分子ヘパリン)ほどの効果はないとも明記されています。 js-phlebology(https://js-phlebology.jp/disaster/wp-content/uploads/2020/11/180709_disaster.pdf)
下肢静脈瘤の治療や予防、また術後管理について詳しくは以下の資料も参考になります。
下肢静脈瘤における医療用弾性ストッキングを用いた圧迫療法の圧迫圧選択と目的別解説(アルメディアweb)
禁忌を知らずに着用させることが、最も深刻な医療事故につながります。 特に問題になるのが下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)の患者です。日本医療機能評価機構はASOの患者に弾性ストッキングを着用させ「下肢の虚血による疼痛や色調不良」が生じた事故が散発していると報告しています。 禁忌の確認が原則です。 gemmed.ghc-j(https://gemmed.ghc-j.com/?p=48939)
主な禁忌・注意が必要な患者は以下の通りです。 nurse-singlemother(https://nurse-singlemother.jp/?p=3349)
「弾性ストッキングは血流を良くするもの」という認識だけでは不十分です。 動脈血行障害がある患者への着用は「血流を良くする」どころか「血流をさらに悪化させる」ことを、チーム全員が共有しておく必要があります。 maee(https://maee.jp/blogs/swelling-lab/011)
ASO患者への弾性ストッキング着用で下肢虚血が生じた医療事故事例(GemMed・医療機能評価機構報告)
正しく履いているつもりでも、1本のシワが局所的な過圧迫を生み出します。 これを「ターニケット効果」と呼び、折れやシワが採血時の駆血帯(ゴムチューブ)と同じ働きをして静脈血流を阻害し、浮腫や皮膚壊死を引き起こす可能性があります。 厳しいところですね。 aki-cv(https://www.aki-cv.com/stockings/)
重大な有害事象として報告されているものは以下の通りです。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/225632/)
これらが発生した場合は直ちに使用を中止します。 合併症を防ぐための履き方のポイントは次の通りです。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/225632/)
着脱のたびに皮膚観察を行うことがケアの最低ラインです。 サイズ不適合・ずれ・しわ・くびれなどの不具合があると、局所的な不適切な圧迫が加わり有害事象を生じます。 皮膚観察が条件です。 js-phlebology(https://js-phlebology.jp/disaster/wp-content/uploads/2020/11/180709_disaster.pdf)
弾性ストッキングの着脱方法と有害事象・スキンケアの注意点(ナース専科)
医療用弾性ストッキングの効果を最大化するには、採寸が最初の関門です。 サイズが合っていなければ、いくら正しく履いても圧迫療法の目的を果たせません。採寸が原則です。 knowledge.nurse-senka(https://knowledge.nurse-senka.jp/225632/)
採寸で測定が必要な部位は次の通りです。
たとえばふくらはぎの周囲径が「33 cm」であれば、一般的なはがきの長辺(28 cm)よりやや大きい円筒をイメージすると採寸値の感覚がつかみやすいです。このサイズに対してストッキングが小さすぎると血行障害が、大きすぎると圧迫不足でむくみが改善しません。 health-vein(https://health-vein.com/varix/varix-column/elastic_stockings/)
なお弾性ストッキングコンダクターという専門資格が日本に存在します。圧迫療法の指導を体系的に学べる資格で、病棟での患者指導や外来フォローアップの質向上に役立てられています。 これは使えそうです。 saitama-varix(https://saitama-varix.com/1441)
弾性ストッキングのサイズ測定と適切な着用方法について(日本シグマックス)
医療用弾性ストッキングは「洗っても劣化しない」と思われがちですが、繰り返しの洗濯と着脱で弾性繊維が伸びて圧迫圧が低下します。 一般的には毎日洗濯した場合、約3〜6か月で交換の目安とされています。圧が落ちたストッキングは履いても効果なし、です。 health-vein(https://health-vein.com/varix/varix-column/elastic_stockings/)
日常ケアと交換の判断ポイントを以下にまとめます。
「以前より楽」という患者の言葉が、劣化のサインであることを見落とす場面が現場では少なくありません。 効果が出ているのか劣化しているのかを区別する視点が必要です。
また入院中の血栓予防として使用している場合は、退院まで継続着用が基本です。 「少し楽になったから」と患者が自己判断で外してしまうケースに注意が必要です。患者教育が欠かせません。 rishou(https://www.rishou.org/activity-new/qa/qa-vol-242)
弾性ストッキングの長期管理・患者指導の詳細は以下も参照してください。
弾性ストッキングの着用継続期間・管理Q&A(理学療法士協会)
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