あなたの補液判断、1回で腎機能悪化させます
浸透圧利尿は、高血糖により尿中にグルコースが排泄されることで発生します。通常、腎臓は血糖約180mg/dLを超えると再吸収が飽和し、糖が尿中に漏れ始めます。ここが起点です。
尿細管内に残ったグルコースは浸透圧を上げ、水分を引き込みます。その結果、1日3〜6L以上の多尿になるケースも珍しくありません。つまり水が引き出される状態です。
この段階でNaやKも同時に喪失されます。電解質も失われます。結果として脱水と循環血漿量低下が進み、腎血流が落ちていきます。ここが悪化ポイントです。
臨床では「多尿=水分補給でOK」と考えがちですが、それだけでは不十分です。血糖制御が前提です。結論は同時対応です。
浸透圧利尿による脱水は、見た目以上に深刻です。体重の3〜5%の水分喪失でも、すでに臓器灌流に影響が出始めます。意外ですね。
特に注意すべきはナトリウム補正です。高血糖時は見かけのNa値が低下するため、補正式を使う必要があります。例えば血糖が400mg/dLなら、Naは約6〜8mEq/L上乗せして評価します。ここが盲点です。
カリウムも重要です。初期は血中Kが正常〜高値でも、実際は体内総量が減っています。つまり見かけに騙されます。
この状態でインスリン投与を急ぐと、Kが細胞内に移動し急激な低K血症を引き起こします。不整脈リスクです。K管理が条件です。
治療の基本は補液とインスリンですが、順序が重要です。まず循環血漿量の回復が優先されます。ここを外すと危険です。
例えば重度脱水では、生理食塩水を最初の1時間で1L程度投与することがあります。その後、血圧・尿量・Naを見ながら調整します。段階的対応です。
インスリンはその後です。いきなり開始すると浸透圧が急変し、脳浮腫のリスクが上がります。小児で顕著です。これは重要です。
またSGLT2阻害薬使用患者では、正常血糖でも浸透圧利尿が起きます。これが落とし穴です。ユージリケミックDKAの原因になります。例外パターンです。
臨床で見逃されやすいのが「軽度の多尿」です。1日2L台でも注意が必要です。初期サインです。
チェックすべき指標は以下です。
・尿比重低下(1.010以下)
・血糖180mg/dL以上持続
・BUN/Cr比上昇
・口渇の訴え
これらが揃えば浸透圧利尿を疑います。複合判断です。
また夜間頻尿もヒントになります。患者が「最近トイレが増えた」と言ったら要注意です。見逃しやすいポイントです。
外来では血糖だけでなく尿検査をセットで確認する運用が有効です。見える化が狙いです。検査追加が基本です。
現場でよくある誤りは「血糖が下がればOK」という判断です。しかし浸透圧利尿は時間差で影響が出ます。ここが厄介です。
例えば血糖が300→150mg/dLに下がっても、すでに3L以上の水分喪失が進行していることがあります。数字だけでは不十分です。
また高齢者では口渇が弱く、脱水が進行しても訴えが乏しいです。サイレント進行です。
このリスクに対しては、「尿量・体重・血圧」の3点を同時に追うことが有効です。シンプルです。3点監視が基本です。
ガイドライン詳細(高血糖緊急症対応)
https://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4