あなたは子宮収縮だけ見てると2時間で出血量2倍になります
弛緩出血の最も代表的な原因は子宮収縮不全です。分娩後、本来は子宮筋が強く収縮して胎盤剥離面の血管を圧迫し止血しますが、この収縮が弱いと出血が持続します。つまり子宮が「締まらない」状態です。
例えば正常では分娩直後の出血量は約500mL未満に抑えられますが、弛緩出血では1000mLを超えるケースも珍しくありません。これはペットボトル2本分に相当します。かなり多いです。
子宮収縮不全の誘因としては多胎妊娠、巨大児、羊水過多など子宮過伸展が代表的です。結論は子宮の伸びすぎです。
またオキシトシン受容体の感受性低下も関与します。長時間分娩やオキシトシン長期投与後に反応が鈍くなるケースが該当します。ここも重要です。
長時間分娩は見過ごされがちな重大因子です。分娩時間が20時間を超えると子宮筋は疲労し、収縮力が低下します。これは筋肉疲労と同じ現象です。
さらに問題なのは、オキシトシンを持続投与している場合です。受容体が飽和・ダウンレギュレーションを起こし、追加投与しても効きにくくなります。効かなくなります。
臨床では「追加すれば効く」という思い込みが残りやすいですが、実際には逆効果になるケースもあります。ここが落とし穴です。
このリスクを避ける場面では、オキシトシン依存を避ける狙いでカルベトシンなど長時間作用型子宮収縮薬を1回投与で使用する選択肢があります。確認するだけでOKです。
膀胱充満は非常に見落とされやすい原因です。産後に尿が貯留すると子宮底が押し上げられ、収縮が妨げられます。物理的阻害です。
例えば膀胱に500mL程度の尿が貯留すると、子宮の収縮軸がズレ、弛緩出血が悪化するケースがあります。数字で見ると明確です。
しかし実際の現場では「子宮底の高さ」ばかりに注目し、膀胱評価が後回しになることがあります。意外ですね。
このリスク場面では、子宮収縮改善の狙いで導尿を行うというシンプルな対応が有効です。排尿確認だけ覚えておけばOKです。
弛緩出血は単なる機械的出血ではありません。凝固異常が絡むと一気に重症化します。ここは重要です。
例えば胎盤早期剥離や羊水塞栓ではDICが併発し、止血機構そのものが破綻します。この場合、いくら子宮収縮を改善しても出血は止まりません。別問題です。
フィブリノゲン値が150mg/dL以下になると止血困難となる指標が知られています。数値で判断可能です。
この場面では、出血制御の狙いでフィブリノゲン製剤やFFP補充を迅速に検討する必要があります。早期判断が条件です。
弛緩出血の転帰は初期対応で大きく変わります。発見から10分以内の介入が予後を左右するとも言われています。時間勝負です。
しかし実際には「様子を見る」判断が入り、対応が遅れるケースがあります。これが致命的です。
例えば出血量が500mLを超えた時点で介入するか、1000mLまで待つかで輸血率が約2倍に変わるという報告もあります。差は大きいです。
このリスク場面では、重症化回避の狙いで「500mL時点で介入開始」とルール化するだけで対応の質が安定します。基準化が基本です。
以下は産科ガイドラインの参考情報です
産科危機的出血への対応指針(日本産科婦人科学会)