IL-1β(インターロイキン-1β)は痛風発作を「72時間以内に90%以上抑制できる」のに、多くの施設で第一選択になっていません。
IL-1βは、自然免疫系の中核を担うサイトカインです。その産生は「インフラマソーム」と呼ばれる多タンパク質複合体によって厳密に制御されています。
NLRP3インフラマソームが活性化されると、カスパーゼ-1が成熟型IL-1βに変換され、細胞外へ放出されます。この一連の反応が、発熱・関節炎・組織損傷といった炎症症状の引き金になります。つまり「IL-1βを止める=炎症の上流をシャットダウンする」ということです。
抗IL-1β抗体はこの成熟型IL-1βに直接結合し、受容体への結合をブロックします。現在日本で使用されているカナキヌマブ(ノバルティス社製・商品名イラリス)はIgG1型完全ヒト型モノクローナル抗体で、半減期が約26日と非常に長いのが特徴です。これは月1回投与が可能な理由でもあります。
IL-1受容体アンタゴニスト(アナキンラ)との違いも重要です。アナキンラはIL-1α・IL-1βの両方を阻害する一方、カナキヌマブはIL-1βに特異的に作用します。選択性の違いが、副作用プロファイルや適応疾患の差につながっています。
| 薬剤名 | 標的 | 半減期 | 投与経路 |
|---|---|---|---|
| カナキヌマブ(イラリス) | IL-1β特異的 | 約26日 | 皮下注射 |
| アナキンラ(キネレット) | IL-1α・IL-1β両方 | 約4〜6時間 | 皮下注射(毎日) |
投与間隔の違いはアドヒアランスに直結します。これは覚えておくべき差です。
カナキヌマブは日本において複数の適応症を持ちますが、疾患ごとに投与量・投与間隔が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
🇯🇵 日本での主な承認適応(2024年時点)
意外なのは「痛風関節炎」への適応です。痛風は生活習慣病という印象が
| 副作用 | 発現頻度の目安 |
| ------------ | -------- |
| 上気道感染 | 約10〜15% |
| 肝機能異常(ALT上昇) | 約6〜8% |
| 好中球減少 | 約4〜7% |
| 高コレステロール血症 | 約4〜6% |
| 消化管穿孔 | 0.1〜1%未満 |