あなたが何気なく続けているCHDFの算定で、1か月に5万円単位の取りこぼしが出ているかもしれません。
持続緩徐式血液濾過(CHDF)は、診療報酬上「J038-2 持続緩徐式血液濾過(1日につき)」として1,990点が設定されています[][]。
1,990点は10割換算で約19,900円であり、1週間連続施行すると単純計算で約14万円分の出来高になるイメージです[]。
これは、はがき約700枚分を積み上げたくらいの金額感と考えると、1回の算定漏れでも無視できません。
つまり金額インパクトが大きい処置ということですね。
対象患者は、末期腎不全、急性腎障害に伴う高度代謝性アシドーシス・尿毒症・電解質異常、薬物中毒など、告示でア〜ケの状態が具体的に列挙されています[][]。
特に「薬物中毒」や「エンドトキシン血症」など、ICU/救急領域での臨時導入が多い疾患が含まれます。
一方で、「敗血症に対しては一連につき概ね8回まで」「慢性腎不全などへの継続では月10回を限度に3か月間」など、疾患ごとに上限回数が異なる点が落とし穴です[][]。
上限回数の違いだけ覚えておけばOKです。
このように、CHDFは「高点数」「対象疾患が限定」「一連の上限回数あり」という三つの性質を持つため、1件あたりの算定判断ミスが病院収益に直結します。
現場では「とりあえずCHDFなら算定できる」というイメージでカルテ運用されがちですが、実は状態の変化に合わせた見直しが必要になります[]。
状態が敗血症から末期腎不全へシフトした場合に、一連として何回まで算定できるかの確認が重要です[]。
結論は「疾患ごとの上限管理が必須」です。
時間に関するルールとして、「夜間に開始し、午前0時以降に終了した場合は1日として算定する」と定められています[]。
ここでいう「夜間」は午後6時以降の開始を指し、終了が翌朝になっても「1日」とカウントされます[]。
一方で、夜間開始で12時間以上継続した場合には「2日」として算定できるとされており、例えば18時開始→翌朝6時終了のケースでは2日分の請求が可能です[]。
これが原則です。
また、「1月に14回に限り算定」とされている点も見逃しやすいポイントです[]。
例えば、月初から3日に1回のペースで実施すると、約6週間で14回に到達するため、カレンダー上の「月」を跨ぐ症例では回数管理が複雑になります。
月末29〜31日に連日施行した場合、翌月1日から再び算定枠がリセットされるため、ICUカンファレンスで医事課と回数を共有しておかないと「15回目以降を誤って請求」という事態も起こり得ます[]。
回数管理に注意すれば大丈夫です。
加算に関しては、入院中以外(外来・救急搬送など)の患者に対して、午後5時以降開始または午後9時以降終了、休日実施などで「時間外・休日加算300点」を上乗せできるとされています[][]。
つまり、夜間救急で急性腎障害に対してCHDFを導入すると、1回の実施で1,990点+300点=2,290点の出来高になります。
さらに、著しくCHDFが困難な障害者等では、1日につき120点の「障害者等加算」を追加でき、最大で1日2,410点まで増える計算です[][]。
加算の組み合わせが基本です。
こうした時間・回数・加算ルールを理解しておくことで、「12時間ギリギリに止めてしまい2日算定にならない」「回数上限を超えたまま請求して査定される」といった典型的な損失を防げます。
この記事を読んだ後は、CHDF中の患者ごとに「今日の算定日数」「今月の累積回数」「加算の有無」をベッドサイドメモやICUのホワイトボードに簡単に書き出すだけでも、かなりの算定漏れを防止できます。
現場の運用としては、透析チームとICU/救急チームで共通のチェックリストを持つことが有効です。
結論は「ルールを1枚に可視化して共有」です。
DPC/PDPSの下では、敗血症などの包括評価の病名で入院していると、CHDFに使用する特定保険医療材料(持続緩徐式血液濾過器など)が包括され、個別請求ができないケースがあります[][]。
たとえば「DPC180010 敗血症(1歳以上)手術処置2-3あり」でJ038-2を用いて血液浄化した場合、「濾過器は包括対象で請求できない」と実務上解釈されているとのQ&Aが出ています[]。
材料単価が高額なCHDFでは、1本あたり数万円クラスの材料費が包括に飲み込まれるため、人によっては「やっただけ赤字」という印象を持つ場面もあります[]。
痛いですね。
一方で、出来高算定が可能な入院形態や病名区分では、J038-2の技術料に加えて「持続緩徐式血液濾過器」として特定保険医療材料の算定が認められています[][]。
つまり、同じCHDFでも「DPCか出来高か」「どのDPCコードか」によって、病院収入が大きく変わるということです[]。
これを知らずに全例DPC包括とみなしてしまうと、外来や特定の入院ケースで請求可能な材料料を取りこぼすリスクがあります。
つまり病院経営への影響が大きいです。
ICUスタッフとしては、「どの症例で材料料まで算定できるか」の線引きを医事課と共有しておくことが重要です。
具体的には、月に一度程度、DPCコード別にCHDF実施症例を振り返り、「包括と出来高の境目」「請求できているはずの材料料が落ちていないか」を確認するだけでも、年間では数十万円単位の改善につながることがあります[]。
この確認作業は、Excelや院内システムに「CHDF実施フラグ」を立てておき、月次レポートから簡単に抽出できるようにしておくと負担が少なく済みます。
CHDF症例の見える化が条件です。
DPCとCHDF材料請求の関係を整理した詳細な議論は、日本透析医会雑誌の透析保険審査委員懇談会報告にまとまっています[]。
DPC包括範囲と透析関連処置の取り扱いの全体像を確認したいときに参考になります。
透析関連処置とDPC包括に関する日本透析医会の報告書(DPCとCHDF材料算定の背景解説)
近年の診療報酬改定では、「重症度、医療・看護必要度」の見直しと合わせて、内科系治療の評価が強化されてきています[]。
救命に関わる内科的治療として、吸着式血液浄化法や持続緩徐式血液濾過などが評価対象に含まれ、看護必要度の項目の1つとして扱われるケースが示されています[][]。
つまり、CHDFの実施は「技術料」と「材料費」だけでなく、「看護必要度スコア」にも波及し、病棟全体の入院基本料や加算に影響する可能性があります。
看護必要度とのリンクが基本です。
具体例として、持続緩徐式血液濾過を受けている患者では、頻回の観察・記録・機器管理が必要で、1時間あたり数回の安全チェックが行われます。
これは、1日で見ると「約24回の観察+トラブル対応」を含むケアであり、ナース1人が1日中付き添っているような負荷感です。
改定では、こうしたICU内科的治療を反映した看護必要度の評価が調整されつつあり、「内科系ICUが外科系より不利になりにくい」方向での見直しが行われています[]。
いいことですね。
この流れの中で、CHDF実施の有無を正確に記録しておくことは、算定上だけでなく、病床機能報告や病棟再編の議論にも関わってきます。
たとえば、年間CHDF件数が多いICUでは、「救命等に係る内科的治療」を強みとする診療実績として、地域医療構想や病床機能の議論の際にアピール材料となり得ます[]。
現場でできることとしては、看護必要度の入力時に「CHDF実施」をチェックボックス化し、取りこぼしのない入力を徹底することです。
CHDF実施の記録徹底に注意すれば大丈夫です。
「医療・看護必要度」の内科系評価アップやB項目測定緩和の具体的な変更点は、解説記事が分かりやすくまとめています[]。
内科系ICUにおけるスコア改善の戦略を検討する際の参考になります。
重症度、医療・看護必要度の見直しポイントと内科系評価アップの解説記事
CHDF算定に関して、現場で特に多い誤解の1つが「敗血症で始めたCHDFは、敗血症を脱しても同じ一連で上限8回まで」というシンプルすぎる理解です。
実際には、敗血症に対して一連につき8回まで算定可能とされつつ、敗血症から離脱後に末期腎不全など別の状態に対して継続した場合には、14回までの上限へ切り替えられるかどうかが議論となります[]。
この切り替えを検討せずに「とりあえず8回で止めておく」運用をしていると、本来14回まで算定できる可能性がある症例で、6回分(およそ12万円相当)の取りこぼしが起こり得ます。
意外ですね。
もう1つの誤解は、「夜間に始めて朝に終わるCHDFは、どう計算しても1日分」という認識です。
前述のとおり、午後6時以降に開始し12時間以上継続した場合には「2日分」として算定できるため、例えば18時〜翌朝8時(14時間)継続したケースでは、1,990点×2日=3,980点の請求が可能です[]。
ここで「とりあえず0時で1日カウント」とだけ覚えていると、本来請求可能な1日分を丸々落としてしまうことになります。
つまり運用次第で損失が変わります。
実務のTipsとしては、以下のような簡単な仕組みづくりが有効です。
・ICU入室時のオーダーセットに「CHDF(予定時間)」欄を作り、開始時間と想定終了時間をセットで入力する
・電子カルテのタイムライン上で「12時間以上継続予定」のフラグを立て、終了時に看護師が確認する
・月初に「今月のCHDF予定症例」を医事課と共有し、14回上限と連携する
これらはすべて、現場の負担を大きく増やさずに算定漏れを防ぐための仕掛けです。
シンプルなチェックを1つ追加するだけでも、年間の収支に与える影響は小さくありません。
結論は「仕組みで守る算定」です。
CHDFの算定ルールそのものは厚生労働省告示や「今日の臨床サポート」などに整理されていますが、実際の運用に落とし込む際には、しろぼんねっとのQ&Aなど、現場からの質問事例を読み込むとグレーゾーンの感覚がつかみやすくなります[][][]。
算定の質を上げたいときに、実例ベースのQ&Aを定期的にチェックすることをおすすめします。
J038-2 持続緩徐式血液濾過の告示内容(算定条件と加算の原文)
持続緩徐式血液濾過の一連回数と状態変化に関するQ&A
このあたりを踏まえて、現場で一番見直したいと感じる「誤解」や「運用ルール」はどの部分でしょうか?