「スキリージなら多剤不応例でも8割は何とかなる」はダメです。
IL-23阻害薬スキリージ(一般名リサンキズマブ)は、IL-23のp19サブユニットに結合し、IL-23シグナルを選択的にブロックするヒト化IgG1モノクローナル抗体です。 IL-12/23共通p40を標的とするステラーラと異なり、IL-23のみを狙い撃ちにする点が特徴で、下流のTh17系サイトカイン(IL-17A/F、IL-22など)の産生を抑制することで炎症カスケードを遮断します。 ここが基本です。 s-b-s-c(https://s-b-s-c.com/skyrizi-risankizumab/)
乾癬領域では、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬に対して、0週・4週投与後は12週間隔という年4回の維持投与で、高い皮疹消失率が報告されています。 16週時点で「ほぼ皮疹消失」に相当するPASI90〜100を達成する患者が多数を占める試験結果もあり、従来のTNF阻害薬からのスイッチで「外来ごとの皮疹観察ポイントが減る」と感じる先生もいるはずです。 結論は「維持間隔の長さと皮疹コントロールの両立がしやすい薬」です。 kyodonewsprwire(https://kyodonewsprwire.jp/release/201905136290)
炎症性腸疾患(IBD)では、クローン病と潰瘍性大腸炎の2疾患に対してIL-23阻害薬として初めて両方の適応を取得しており、免疫介在性炎症性疾患領域で計4つの適応症を持つ薬剤となっています。 クローン病では日本でも中等症〜重症成人に対して静注導入+皮下注維持の形で承認されており、潰瘍性大腸炎では海外データをもとに1200mg静注を4週間ごとに3回行う導入期と、180mgまたは360mg皮下注を8週間隔で行う維持期というレジメンが報告されています。 つまりIBD領域では「乾癬と同じ感覚で12週ごと」というより、ややタイトな8週ごとの維持が前提になるわけですね。 raresnet(https://raresnet.com/240731-01/)
このように、同じスキリージでも疾患ごとに用量・投与間隔・導入方法が大きく異なるため、オーダー時には「乾癬モードかIBDモードか」の切り替え意識が重要です。 400床規模の病院で乾癬とIBDをどちらも診ている場合、電子カルテのプロトコル名に「乾癬」「CD」「UC」を明記しないと、導入時1200mg静注と維持180mg皮下注を取り違えるリスクがあります。 この点に注意すれば大丈夫です。 raresnet(https://raresnet.com/221005-01/)
参考:スキリージ公式サイト(クローン病患者向け解説。IL-23p19阻害薬としての位置づけと機序イラストが視覚的に把握しやすい部分の参考になります)
クローン病でスキリージ®を使用される患者さんへ
IBD領域でのスキリージ投与設計は、クローン病と潰瘍性大腸炎で共通点と相違点があります。 どちらも導入期は静注1200mgを4週間ごとに0・4・8週の計3回投与する寛解導入療法、その後に皮下注180mgまたは360mgを8週間隔で投与する維持療法という流れが基本です。 つまり「3か月間は毎月点滴、以降は2か月ごとの自己注or外来注射」という感覚ですね。 koganei.tsurukamekai(https://koganei.tsurukamekai.jp/blog/20250904_blog.html)
クローン病では、INSPIRE・COMMANDに加えてウステキヌマブ(ステラーラ)との直接比較試験SEQUENCEで、52週臨床的寛解率および内視鏡的改善などの副次項目で優越性を示した点が注目されています。 たとえば52週臨床的寛解率がスキリージ群で50%前後、ウステキヌマブ群で40%弱など、絶対差にすると10ポイント前後の上乗せというイメージで、10人の外来患者のうち1人を「寛解ラインに乗せられるかどうか」が変わるレベルです。 いいことですね。 koganei.tsurukamekai(https://koganei.tsurukamekai.jp/blog/20250904_blog.html)
投与設計上の意外な落とし穴として、静注導入の1200mgは点滴静注600mg製剤を2バイアル使用するため、薬剤費が1回あたり数十万円規模になりうる点があります。 3回の導入で単純計算すると中小病院の1か月分の生物学的製剤薬剤費に匹敵することもあり、DPC病院ではクリニカルパス設計時に「どの時点で退院させ、どこから外来維持に切り替えるか」を詰めておかないと、病院収支面で痛いですね。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00070632)
IBD外来で多剤不応の患者を前にすると、「最後の切り札」として早期にスキリージに手を伸ばしたくなる場面があります。 しかし実際の寛解率は上述のように40%前後であり、投与間隔も8週ごとと決して頻回ではないため、「効かなかった場合にどう次の一手を打つか」「寛解導入中に感染症を起こした場合の中断ライン」を事前にチームで共有しておくことが重要です。 つまり「うまくいくケース」と「効き切らないケース」の両方をあらかじめイメージしておくことが鍵です。 raresnet(https://raresnet.com/240731-01/)
参考:小金井つるかめクリニック IBDブログ(INSPIRE/COMMAND/SEQUENCEなど主要試験の数字がコンパクトに整理されており、本項の具体的な寛解率・優越性の部分の参考になります)
IL-23 p19モノクローナル抗体製剤
乾癬領域でのスキリージは、「年4回投与で強い皮疹改善」というキャッチフレーズ通り、0週・4週投与後は12週ごとに皮下注を行うシンプルなレジメンです。 尋常性乾癬で16週時点の皮疹消失(skin clearance)を高確率で達成した試験では、PASI90〜100達成率が他の生物学的製剤より高いレベルにあると報告され、患者の生活感覚でいえば「季節が一つ変わる頃には皮膚がかなりきれい」というイメージになります。 結論は「スケジュールが簡潔で、効果も頭抜けているグループに属する薬」です。 abbvie.co(https://www.abbvie.co.jp/content/dam/abbvie-com2/japan/documents/press-release/2019_0524.pdf)
一方、外来実務では「12週間隔」が意外なトラップになります。 4週や8週と違い、カレンダーのリズムと合いにくいため、患者が1回でも受診を忘れると次回が16週、20週とズレていき、実質的に「投与抜け」の期間が長くなります。 たとえば4月1日・4月29日・7月21日・10月13日といった具合に、日本の祝日やお盆・年末年始が絡むと、一気にスケジュールが複雑化します。つまり「12週間隔だからむしろ管理が楽」という常識は、現場目線ではあまり当てはまりません。 s-b-s-c(https://s-b-s-c.com/skyrizi-risankizumab/)
このリスクを減らす場面の対策としては、導入時に「スマホのカレンダーで次回投与日を2つ前からリマインド設定しておく」「処方歴から次回予定日を薬局側でもメモし、来局が1週以上遅れたら電話確認する」など、シンプルな仕組みが役立ちます。 乾癬患者の多くは仕事・家庭の都合から土曜外来や夕方枠に集中しがちで、予約が取りづらいタイミングで投与タイミングが重なると「今日は諦めます」となりやすいのが現実です。 つまり「リマインドと予約調整の二重管理」が原則です。 kyodonewsprwire(https://kyodonewsprwire.jp/release/201905136290)
また、スキリージはIL-23のみを標的とする薬であるため、IL-12/23阻害薬ステラーラと比較すると、乾癬においてより高い皮膚症状改善効果が報告されている一方、「全身の感染症リスクは同じく油断はできない」という位置づけになります。 乾癬患者はメタボリックシンドロームや糖尿病合併が多く、単純な「免疫抑制」以上に、皮膚・爪の小外傷からの蜂窩織炎、帯状疱疹などが日常診療で問題になります。 こうした背景を踏まえ、導入前のHBV・TBスクリーニングに加えて、定期的な血糖・脂質プロファイル、体重のモニタリングをルーチン化しておくと、長期投与時の「じわじわ悪化」を拾いやすくなります。 つまり「乾癬だから皮膚だけ見ていればよい」わけではないということですね。 s-b-s-c(https://s-b-s-c.com/skyrizi-risankizumab/)
参考:皮膚科クリニックによるスキリージ解説記事(乾癬に対する作用機序・投与間隔・ステラーラとの比較がわかりやすくまとまっており、乾癬パート全般の参考になります)
【スキリージとは?効果と副作用を皮膚科医が解説】
IL-23阻害薬スキリージを評価する上では、同じIL-23阻害薬やIL-12/23阻害薬との比較が欠かせません。 代表的な比較対象は、同じIL-23阻害薬であるグセルクマブ(トレムフィア)や、IL-12/23阻害薬のウステキヌマブ(ステラーラ)です。 スキリージはIL-23のp19サブユニットのみを標的とするのに対し、ステラーラはIL-12とIL-23の共通p40を標的とするため、免疫学的な「幅の広さ」と「特異性」のバランスが異なると理解できます。 つまり「どこをどれだけ止めるか」の設計思想が違うわけです。 kyodonewsprwire(https://kyodonewsprwire.jp/release/201905136290)
乾癬の維持期投与間隔は、スキリージもステラーラも12週ごとで同じですが、クローン病や潰瘍性大腸炎の維持期ではどちらも8週ごととされ、投与間隔だけ見れば大きな差はありません。 しかしSEQUENCE試験では、クローン病患者において52週臨床的寛解率および内視鏡的改善でスキリージがステラーラに対して優越性を示しており、「既にステラーラを使ったが十分な効果が得られなかった患者にスキリージをどう位置づけるか」という実務的な問いが浮かびます。 これは使えそうです。 abbvie.co(https://www.abbvie.co.jp/content/dam/abbvie-com2/japan/documents/press-release/2019_0524.pdf)
ここで注意したいのが、「ステラーラ不応=スキリージも効かない」と単純に考えてしまう思い込みです。 実際には、同じIL-23経路を標的としていても、結合部位や抗体構造の違い、投与スケジュールの差などから、ステラーラ不応例でもスキリージで寛解に至るケースが一定数報告されています。 10人のステラーラ不応患者のうち、スキリージで3〜4人が寛解ラインに乗るイメージであれば、「別クラスの生物学的製剤へ完全スイッチ」だけでなく、「同じ経路内での再トライ」という戦略も現実的になります。 つまり「同じカテゴリーだから意味がない」と切り捨てるのは早計です。 koganei.tsurukamekai(https://koganei.tsurukamekai.jp/blog/20250904_blog.html)
一方で、費用面とモニタリング負荷は無視できません。 生物学的製剤はいずれも高額で、1回あたりの薬剤費が数十万円規模になりうるため、同一患者で複数の生物学的製剤を試すことは、医療経済的にはかなり重い選択肢です。 そのため、スイッチングを考える場面では、単に「効いていないから変える」ではなく、「どの時間軸でどのアウトカム(皮疹、内視鏡所見、ステロイドレス、入院回避など)を狙うか」を明文化し、3か月〜6か月単位で評価することが重要です。 結論は「スイッチングは“ゴール設定ありき”で臨むべき」です。 raresnet(https://raresnet.com/221005-01/)
参考:各種プレスリリース・学会資料(IL-23阻害薬とIL-12/23阻害薬の位置づけ、SEQUENCE試験の概要などがまとまっており、本項の比較・スイッチング戦略の背景になります)
アッヴィ合同会社 プレスリリース:スキリージ® 概要
最後に、検索上位ではあまり強調されていない「チーム運用」の視点からスキリージの安全性管理を整理します。 IL-23阻害薬はTNF阻害薬に比べて結核再燃などのリスクが相対的に低いと感じられがちですが、感染症リスクがゼロになるわけではなく、特にIBDや乾癬の患者では基礎疾患・併用薬(ステロイド、免疫調整薬など)によってリスクプロファイルが変わります。 つまり「安心だから細かいモニタリングは不要」とはいきません。 raresnet(https://raresnet.com/221005-01/)
導入前には、HBV(HBs抗原・HBc抗体・HBs抗体)、HCV、HIV、潜在性結核(IGRA+胸部画像)、一般血算・生化学などのスクリーニングを行うことが推奨されますが、これを「医師が頭の中で管理」していると抜け漏れが起きやすくなります。 現場では、看護師・薬剤師を含めたチェックリスト形式での事前確認、電子カルテのオーダーセット化、免疫抑制薬導入時の共通テンプレート化などが有効です。 〇〇が原則です。 kegg(https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00070632)
投与後のフォローでは、感染症状(発熱、咳、排尿時痛、皮膚発赤など)の早期把握に加えて、「患者が何を“普通の風邪”と自己判断しているか」をチームで共有しておくと、小さなサインを見逃しにくくなります。 例えば「37.5度以上の発熱が24時間以上続いたら外来に連絡」「排便回数が1日あたり3回以上急増したらアプリで記録して受診時に提示」など、条件付きの行動指針をあらかじめ紙1枚で渡しておくと、患者側も動きやすくなります。 つまり「何となく不安なら来てください」ではなく、「こうなったら連絡」の二本立てが大切です。 raresnet(https://raresnet.com/240731-01/)
さらに、スキリージのような高額薬では、投与中断や変更の判断が医療経済的にも大きな意味を持ちます。 「3回静注導入をしたが有効性が乏しい」「8週ごとの維持で内視鏡所見が悪化した」といった場面で、漫然と継続するのか、別薬へ切り替えるのか、外科的治療を視野に入れるのかなど、チームで意思決定プロセスを共有しておくことが、患者・医療機関双方のロスを減らします。 どういうことでしょうか? abbvie.co(https://www.abbvie.co.jp/content/dam/abbvie-com2/japan/documents/press-release/2019_0524.pdf)
独自の工夫としては、薬剤部が「生物学的製剤カンファレンスシート」を作成し、各患者ごとに投与歴・効果評価・副作用・費用概算を1枚にまとめ、3か月〜6か月ごとにIBDチーム・皮膚科チームでレビューする運用が挙げられます。 これにより、「とりあえず続けていた」ケースを可視化し、早めに方針変更や追加検査の検討ができるようになります。 結論は「薬そのもの以上に、“どう回すか”の設計がスキリージの価値を左右する」ということです。 s-b-s-c(https://s-b-s-c.com/skyrizi-risankizumab/)
参考:医薬品インタビューフォーム・公表資料(安全性情報・モニタリング項目・投与中断基準などが詳しく記載されており、本項の安全性管理・チーム運用の前提になります)
医療用医薬品 : スキリージ (スキリージ点滴静注600mg)