筋肉のグリコーゲンは血糖値上昇に使えません。
視床下部は血糖調節の司令塔として機能し、特に視床下部腹内側核(VMH)が重要な役割を担っています。 hepato.umin(https://hepato.umin.jp/onco/002.html)
VMHを電気刺激すると交感神経遠心性活動が亢進し、肝臓のグリコーゲン分解が促進されることが実験で確認されています。これは神経性の糖代謝調節の基本メカニズムです。 teapot.lib.ocha.ac(https://teapot.lib.ocha.ac.jp/record/40314/files/KJ00004827980.pdf)
一方、視床下部外側核を刺激するとグリコーゲンの合成が起こることも観察されており、視床下部内で相反する調節が行われています。つまり視床下部は血糖の上昇と低下の両方を制御しているということですね。 hepato.umin(https://hepato.umin.jp/onco/002.html)
血糖値が異常に低下すると、視床下部の特定の中枢が興奮し、その興奮が交感神経と下垂体に伝わります。交感神経の興奮は副腎髄質を刺激し、そこからアドレナリンが分泌されます。 kango-roo(https://www.kango-roo.com/learning/1710/)
このように、視床下部は血糖値の変化を感知し、神経系とホルモン系の両方を通じてグリコーゲン代謝を調節する中枢として機能しています。 try-it(https://www.try-it.jp/chapters-10519/sections-10674/lessons-10702/point-2/)
アドレナリンは副腎髄質から分泌されるホルモンで、侵襲時やストレス時に視床下部からの刺激により分泌が増加します。肝臓においてアドレナリンはグリコーゲン分解と糖新生を促進し、血糖値を上昇させます。 nutri.co(https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch3-2/keyword10/)
グルカゴンは膵臓のランゲルハンス島α細胞から分泌されるホルモンです。血糖値が低下するとα細胞がそれを感知し、グルカゴンを血液中に放出します。 kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/about-diabetes-internal-medicine/diabetes-fundamentals/diabetes-causes/insulin-glucagon-balance/)
グルカゴンの主な作用は以下の通りです。
- グリコーゲンの分解を促進 genken.nagasaki-u.ac(https://www.genken.nagasaki-u.ac.jp/genetech/genkenbunshi/pdf/H24.1.19.pdf)
- グリコーゲンの合成を抑制 genken.nagasaki-u.ac(https://www.genken.nagasaki-u.ac.jp/genetech/genkenbunshi/pdf/H24.1.19.pdf)
- アミノ酸などからの糖新生を促進 genken.nagasaki-u.ac(https://www.genken.nagasaki-u.ac.jp/genetech/genkenbunshi/pdf/H24.1.19.pdf)
視床下部からの情報は交感神経を経て膵臓のランゲルハンス島A細胞に流れ、グルカゴンの分泌を開始させます。アドレナリンとグルカゴンは血流に乗って肝臓へと向かい、グリコーゲンの分解を促進するのです。 try-it(https://www.try-it.jp/chapters-10519/sections-10674/lessons-10693/point-2/)
どちらのホルモンも肝臓のグリコーゲンを分解してグルコースに戻し、血液中に放出させる働きを持っています。結論は血糖値上昇です。 kobe-kishida-clinic(https://kobe-kishida-clinic.com/about-diabetes-internal-medicine/diabetes-fundamentals/diabetes-causes/insulin-glucagon-balance/)
肝臓と筋肉では、グリコーゲン分解の目的と機序が大きく異なります。
肝臓のグリコーゲン分解は血中へのグルコース放出を目的としており、GLUT2を介して血中に放出されて血中のグルコース濃度を上昇させます。交感神経刺激により肝臓ではグリコーゲンを分解し血糖が上昇します。 lifescience-study(https://lifescience-study.com/3-regulation-of-glycogen-metabolism-by-hormones/)
一方、筋肉のグリコーゲン分解は主にアドレナリンによって促進されますが、分解されたグルコースは筋肉内でのみ利用されます。これは筋肉細胞にはグルコースを血中に放出するための輸送体(グルコース-6-ホスファターゼ)が欠如しているためです。 lifescience-study(https://lifescience-study.com/3-regulation-of-glycogen-metabolism-by-hormones/)
運動早期には、骨格筋内に貯蔵されているグリコーゲンが分解されて大量のグルコース6-リン酸が産生されます。その結果、解糖系の律速酵素であるヘキソキナーゼが抑制され、血中からのグルコース取り込みが抑制されます。 satonaika-clinic(https://satonaika-clinic.com/blog/post-404/)
つまり、運動早期はグリコーゲンをエネルギー源として利用し、血中グルコースはほとんど利用しないということですね。その後、骨格筋内のグリコーゲンが少なくなり、細胞内のグルコース6-リン酸濃度が低下することでヘキソキナーゼが活性化し、GLUT4を介して血中のグルコースを大量に取り込んでエネルギー源として利用し始めます。 satonaika-clinic(https://satonaika-clinic.com/blog/post-404/)
このように、肝臓は全身の血糖維持のため、筋肉は自身の収縮のためにグリコーゲンを分解するという明確な違いがあります。
交感神経系によるグリコーゲン分解の調節には、β受容体が重要な役割を果たしています。
β受容体にはサブタイプが存在し、β1とβ2に分かれます。β2受容体の分布は肺臓、肝臓、膵臓、骨格筋血管、骨格筋などであり、その作用には気管支拡張、血管拡張、グリコーゲン分解などがあります。 med.toaeiyo.co(https://med.toaeiyo.co.jp/contents/cardio-terms/pathophysiology/2-72.html)
持久運動時の糖質代謝亢進にはVMHのβアドレナリン受容体が関与していることも報告されています。つまりβ2受容体が鍵です。 jsnfs-chubu(https://www.jsnfs-chubu.jp/wp-content/uploads/2024/02/55-4.pdf)
グリコーゲン代謝の異常は、様々な臨床病態に関連しています。
肝硬変では、肝臓や骨格筋での糖処理能の減少、インスリンクリアランスの低下や門脈大循環シャントによる高インスリン血症などにより、30%に糖尿病を、80%に耐糖能異常を合併しています。 jmedj.co(https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_5047)
また、肝におけるグリコーゲン貯蔵量の減少や糖新生が不十分なことから、夜間や早朝の低血糖も生じやすくなります。これらの糖代謝異常は生命予後や肝細胞癌再発リスクに悪影響を及ぼすため、その診断や血糖コントロールは重要な課題です。 jmedj.co(https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_5047)
肝硬変では機能する肝細胞数の絶対的な減少により、空腹時にグルカゴンの作用でグリコーゲンを分解してブドウ糖を血中に放出する能力や、糖新生を行う能力が低下しています。グリコーゲン貯蔵が不十分です。 note(https://note.com/rdmao/n/n38458b8d2ad9)
肝硬変に伴う脾機能亢進により赤血球寿命が短縮するため、HbA1cは実際より低値となりやすく、アルブミンの半減期の延長によりグリコアルブミンは実際より高値となりやすいため、血糖コントロールの指標の評価にも注意が必要です。 shimoyama-naika(https://shimoyama-naika.com/dm/diabetes-liver/)
このため、肝硬変患者の血糖管理においては、通常の糖尿病患者とは異なる配慮が必要となります。夜間や早朝の低血糖を防ぐため、就寝前の軽食摂取(Late Evening Snack:LES)が推奨されることがあります。
また、インスリンやα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)が有効な薬物として使用されていますが、低血糖のリスクや肝機能への影響を考慮した慎重な投与が求められます。 jmedj.co(https://www.jmedj.co.jp/blogs/product/product_5047)