あなたがBIS40維持でも術中覚醒は起きます
BISモニターは脳波を解析し、0〜100の数値で意識レベルを示します。一般的に100は覚醒、0は脳活動停止を意味します。全身麻酔では40〜60が目安とされています。ここが出発点です。
ただし、この数値は「意識そのもの」ではなく「脳波パターンの統計的推定」です。つまり絶対指標ではありません。ここが重要です。
例えば同じBIS50でも、プロポフォール単独とセボフルラン併用では脳状態が異なることがあります。薬剤依存性があるためです。つまり万能ではないということですね。
臨床では数値の「変化」を見ることが重要です。急な上昇や低下は意味があります。数値単体ではなくトレンドを見る。これが基本です。
BIS40〜60は「意識消失の確率が高いゾーン」とされています。これは複数研究で術中覚醒率が低い範囲とされているためです。多くの現場で採用されています。
しかし実際には、この範囲でも覚醒報告は0ではありません。報告では約0.1〜0.2%程度です。完全ではありません。
なぜでしょうか。BISは前頭部の脳波のみを評価しています。そのため、記憶形成や痛覚に関わる深部構造は反映されにくいのです。意外ですね。
さらにオピオイド主体麻酔では、BISが高くても患者は無反応というケースがあります。逆に低くても記憶が残る可能性もあります。つまり万能指標ではないです。
このリスクを避けるためには、鎮静・鎮痛・筋弛緩のバランス評価が必要です。BISだけ見ない。これが条件です。
BISが異常に低い場合、必ずしも深麻酔とは限りません。ここは見落とされやすいポイントです。
代表的な原因は以下です。
・筋弛緩薬使用によるEMG低下
・電気メスなどのノイズ
・電極接触不良
・低体温
筋電図(EMG)が低下すると、BISは人工的に低く出ます。これはアルゴリズムの特性です。ここが盲点です。
例えばロクロニウム投与後、BISが10〜20下がることがあります。しかし実際の意識レベルは変わっていない可能性があります。つまり誤認リスクです。
この状況で麻酔を浅くすると、術中覚醒のリスクが上がります。痛いですね。
対策として「筋弛緩投与直後のBIS低下は一旦無視する」という運用があります。これは現場で有効です。
BISが上昇する場面は重要なサインです。特に60以上への上昇は注意が必要です。
代表的な原因は以下です。
・麻酔薬濃度低下
・疼痛刺激増加
・手術侵襲の変化
・覚醒前段階
特に切開や牽引時にBISが急上昇する場合、鎮痛不足の可能性があります。ここが判断ポイントです。
例えばBISが45→65へ急上昇した場合、オピオイド追加で改善するケースが多いです。鎮痛が鍵です。
ただしノイズ上昇もあるため、EMGや波形確認も必須です。数値だけ見ない。これが原則です。
現場で重要なのは「BISをどう使うか」です。単なる数値ではなく意思決定ツールとして使います。
ポイントは3つです。
・絶対値ではなく変化を見る
・薬剤との関係で解釈する
・他モニターと統合判断
例えば、血圧上昇+BIS上昇なら鎮痛不足が疑われます。一方で血圧安定+BIS上昇なら覚醒寄りの可能性があります。組み合わせが重要です。
ここで役立つのが「麻酔記録の時系列確認」です。トレンド管理です。
このリスク(誤判断による覚醒や過剰麻酔)を避けるための行動は、「5分単位でBISと薬剤をセットで確認する」です。これだけで判断精度が上がります。これは使えそうです。
また、近年はエントロピーやPSIなど他指標も登場しています。併用も選択肢です。
BISは便利ですが万能ではありません。つまり補助ツールです。