ESBL産生菌の抗菌薬の内服治療と尿路感染症の選択

外来での尿路感染症治療において、ESBL産生菌に対する抗菌薬の内服選択に悩んでいませんか?この記事では、ガイドラインに基づく最適な処方や失敗を避けるポイントを詳しく解説します。あなたの処方は本当に安全でしょうか?

ESBL産生菌の抗菌薬の内服治療

感受性Sのセフェム内服は、半数が失敗しクレームになります。


ESBL産生菌の抗菌薬の内服治療と尿路感染症の選択
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内服治療の選択肢

外来で使える抗菌薬の現状とガイドラインでの推奨を解説します。

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ニューキノロン系の失敗

ESBL産生菌に対するキノロン系処方がなぜ危険なのかを深掘りします。

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保菌者への服薬指導

発症を防ぐための生活指導と医療連携のポイントを紹介します。


ESBL産生菌の尿路感染症における内服治療の選択肢

近年、外来の尿路感染症において、ESBL産生菌の検出頻度が増加しています。


一般的な膀胱炎であっても、原因菌がESBL産生菌であれば治療方針は大きく変わります。


外来患者の約1割(1日50人の外来なら5人程度)から検出されることもあり、決して珍しい菌ではありません。


つまり身近な脅威です。


ESBL産生菌はペニシリン系やセファロスポリン系など、幅広いβラクタム系抗菌薬を分解する酵素を持っています。


そのため、点滴薬であればカルバペネム系が第一選択となりますが、外来での内服治療では選択肢が非常に限られます。


具体的には、ファロペネムホスホマイシン、ST合剤などが候補として挙げられます。


ガイドライン遵守が基本です。


しかし、これらの内服薬を使用する際にも、それぞれの薬剤の特性や移行性を理解しておく必要があります。


例えば、ファロペネムは便中への移行も多く、腸内細菌叢への影響が懸念されるため長期投与には向きません。


また、ホスホマイシンは組織移行性が低く、膀胱炎には有効ですが腎盂腎炎には適していません。


どういうことでしょうか?


膀胱炎という局所の感染症であれば、尿中に高濃度で排泄されるホスホマイシンで十分に殺菌可能です。


ですが、腎盂腎炎のように血流や組織への移行性が求められる病態では、血中濃度が上がりにくい内服薬では力不足となります。


したがって、上部尿路感染症が疑われる場合は、安易な内服治療を避けて入院や点滴治療を検討すべきです。


血中濃度確保が条件です。


(場面/リスク)外来でファロペネムなどの内服薬を処方し、治療効果が乏しく再診に至るリスクがあります。


(狙い)処方前に感染部位に薬剤が十分到達するかを確認し、あなたの治療が失敗するのを防ぎます。


事前の確認は必須です。


(候補)サンフォード感染症治療ガイドのアプリで、各薬剤の組織移行性を調べる。


ESBL産生菌の治療におけるホスホマイシンやファロペネムの推奨度が確認できるガイドラインです。


JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 尿路感染症


ESBL産生菌が産生する酵素にはいくつか種類がありますが、現在国内で主流なのはCTX-M型と呼ばれるタイプです。


このタイプは特にセフォタキシムなどの第三世代セフェム系を強力に分解する特徴を持っています。


そのため、かつて頻用されていたフロモキセフなどのセファマイシン系でさえも、耐性化の兆しを見せ始めています。


厳しいところですね。


ESBL産生菌に有効なホスホマイシンとST合剤の効果

ESBL産生菌に対する内服治療として、ST合剤やホスホマイシンは重要な選択肢となります。


特にST合剤は、尿中への移行性が極めて高く、複雑性尿路感染症にも14日間(カレンダーの2列分)の投与で有効とされています。


感受性が保たれている株も多く、安価であるため外来診療では非常に使い勝手の良い薬剤です。


これは使えそうです。


一方で、ST合剤には腎機能低下患者に対する投与量の調節や、高カリウム血症といった副作用のリスクが存在します。


高齢者の場合、見た目以上に腎機能が低下していることが多く、通常量を投与すると副作用が発現しやすくなります。


また、皮疹や血液障害などの重篤な副作用にも注意を払う必要があります。


副作用に注意すれば大丈夫です。


(場面/リスク)外来治療で高齢者にST合剤を選択する際、腎機能低下による副作用の重篤化リスクがあります。


(狙い)過量投与による腎障害や電解質異常を未然に防ぐため、適切な用量調節を行います。


用量の調整だけは例外です。


(候補)処方前に、スマートフォンの腎機能推算アプリで必ず患者のeGFRを確認する。


ホスホマイシンは、細胞壁合成阻害薬であり、βラクタマーゼの影響を受けないためESBL産生菌にも有効です。


国内のガイドラインでも、単純性膀胱炎におけるESBL産生菌の治療薬として推奨されています。


ただし、単回投与ではなく、1日3回で数日間の投与が必要となる点に注意が必要です。


複数回の内服なら問題ありません。


さらに、ホスホマイシンは副作用が少なく、妊婦にも使用しやすいという大きなメリットがあります。


しかし、感受性試験の結果が日常の検査パネルに含まれていない施設も多く、使用に踏み切れないケースもあります。


その場合は、検査室に追加の感受性試験を依頼するなどの連携が求められます。


それで大丈夫でしょうか?


ESBL産生菌へのニューキノロン系内服が失敗する理由

ニューキノロン系抗菌薬は、過去には尿路感染症の特効薬として頻繁に処方されていました。


しかし、ESBL産生菌の多くはニューキノロン系に対しても同時に耐性を獲得していることが判明しています。


当院のデータや全国的なサーベイランスでも、ESBL産生菌の半数以上がレボフロキサシンに耐性を示します。


意外ですね。


そのため、外来でとりあえずニューキノロン系を処方すると、高確率で治療失敗に終わります。


治療開始から3日経っても熱が下がらない、あるいは症状が悪化して救急外来を受診するケースが後を絶ちません。


患者の信頼を失うだけでなく、腎盂腎炎から敗血症へと重症化するリスクも跳ね上がります。


痛いですね。


(場面/リスク)外来でESBL産生菌の可能性を考慮せず広域抗菌薬を処方し、敗血症に移行するリスクがあります。


(狙い)初期治療の失敗をいち早く察知し、取り返しのつかない重症化を防ぐ必要があります。


早期発見が原則です。


(候補)尿培養検査を提出した際は、電子カルテのToDo機能で3日後の結果確認をリマインド設定する。


また、ニューキノロン系の乱用は、さらなる耐性菌の出現を助長するという大きなデメリットを持っています。


地球規模での薬剤耐性対策の観点からも、安易なキノロン処方は厳に慎むべきです。


あなたが処方する際は、必ず薬剤感受性試験で感性であることを確認してからにしてください。


耐性の確認ということですね。


一部の医師は、まだキノロン系を万能薬だと信じて疑わず、漫然と処方し続けているのが現状です。


ESBL産生菌の存在を念頭に置かない診療は、現代の感染症診療において明らかに時代遅れと言わざるを得ません。


常に最新のアンチバイオグラムを意識し、施設ごとの感受性率データを把握することが求められます。


耐性菌はどうなりますか?


ESBL産生菌の保菌者に対する外来診療での服薬指導

ESBL産生菌を保菌している患者が外来を受診した際、どのような服薬指導を行うべきかは悩ましい問題です。


保菌しているだけであれば無症状であるため、直ちに除菌のための抗菌薬を内服する必要はありません。


しかし、いざ尿路感染症を発症した際には、治療が難渋することを患者自身に理解してもらう必要があります。


説明なら違反になりません。


保菌者には、普段から手洗いや排泄ケアの徹底を指導し、感染の発症を予防することが最重要となります。


また、他院を受診する際や入院が必要になった際には、自身がESBL産生菌の保菌者であることを伝えるよう指導します。


お薬手帳の表紙に保菌の事実を目立つように記載しておくのも、非常に有効な方法の一つです。


情報共有だけ覚えておけばOKです。


(場面/リスク)保菌者が他院を受診した際、ESBL産生菌の存在が伝わらず、不適切な抗菌薬が処方されるリスクがあります。


(狙い)医療機関同士の連携ミスを防ぎ、最初から適切な抗菌薬が選択されるように導きます。


連携の場合はどうなるんでしょう?
(候補)患者のお薬手帳の表紙に、保菌者であることを明記したシールを貼付する。


さらに、患者から家族にうつらないかという質問を受けることも少なくありません。


健康な家族に感染してすぐに重症化するリスクは低く、過度な隔離や消毒は必要ないと説明して安心させます。


ただし、おむつ交換後やトイレ後の流水と石鹸による手洗い(20秒間=ハッピーバースデーの歌2回分)は徹底させましょう。


手洗いは無料です。


ESBL産生菌の保菌は、一度確認されると数ヶ月から数年単位という長期間にわたって持続することが知られています。


そのため、外来での継続的なフォローアップと、患者との信頼関係の構築が不可欠となります。


正しい知識を伝え、患者が不必要な不安を抱かないようにサポートしていくことが医療従事者の役割です。


結論は教育です。


ESBL産生菌における抗菌薬内服の期間とフォローアップ

ESBL産生菌による尿路感染症の治療において、内服薬の投与期間をどのように設定するかも重要なテーマです。


一般的に、単純性膀胱炎であればホスホマイシンなどで3日から7日間程度の投与が推奨されています。


しかし、複雑性尿路感染症や前立腺炎を合併している場合は、十分な期間の投与が必要になることもあります。


治療には期限があります。


ESBL産生菌に対する各抗菌薬の具体的な治療方針が記載された手引きです。


厚生労働省 抗微生物薬適正使用の手引き 第四版


内服治療を開始した後は、症状の改善度合いを慎重に評価し、必要に応じて尿培養検査を再検することが望まれます。


特に、治療開始後も微熱が続く場合や、頻尿・排尿時痛といった局所症状が改善しない場合は要注意です。


薬剤が効いていない、あるいは別の耐性菌が新たに出現している可能性を疑って対処しなければなりません。


尿の再検査は問題ないんでしょうか?


(場面/リスク)内服治療終了後に自覚症状が消失しただけで治癒と判断し、無症候性細菌尿を見逃すリスクがあります。


(狙い)完全に除菌されたかを確認し、再発や重症化のリスクを根本から断ち切ります。


追加の検査は有料です。


(候補)内服終了から1週間後のタイミングで、再診と尿培養検査の予約を入れる。


最終的に、ESBL産生菌に対する内服治療は、薬の選択から投与期間、フォローアップまで一貫した戦略が求められます。


決してとりあえずこの抗菌薬を出しておけば安心というような、安易なアプローチは通用しません。


あなたを含む医療従事者が、患者の背景や感染部位などを総合的に判断し、最適な治療を提供することが求められています。


いいことですね。